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51話:プレゼントを買いに、店内

店内は別世界だった。


ヤマピョンとポンポコさんと俺の3人でアクセサリーショップに入った感想はこれだった。



平日なので、そこまで客は多くはないが、男の姿なんてほとんど見かけない。

あ、1人発見。

彼女と一緒に来たみたいだけど、彼女に放っておかれてるみたいで、すごく居心地悪そうにしてるなあ。


「さて、サツキに何をプレゼントすればいいんだろうな?」


俺はきょろきょろと店内を見回した。


そんなに大きくはないけれど、様々な物が取り扱われているようだ。

イヤリング、ピアス、指輪、ネックレス、ブレスレット等々……、携帯ストラップや香水なんて物も置いてある。


しかし、兄がプレゼントして問題ないアクセサリーって何さ?

ピアスは穴をあけて欲しくないし、イヤリングなんかプレゼントしても、テニスとか自転車とかで動き回ってるヤツだからすぐ無くしちゃうだろう……そういえば、指輪とかプレゼントしてもいいもんなのかな?全く分からん。


「なあ、ポンポコさんは兄弟から何をもらうと嬉しい?」


「私は……去年は長兄からは指輪をもらったぞ。一度しかしていないが」


指輪か、指輪はプレゼントOKなのか。


「でも、何で一度しかしてないの?」


「…………」


「ポンポコさん?」


黙ってしまった。何かあったんだろうか?


「……馬鹿兄が悪い!何故サイズを左手薬指に合わせたものを買うのだ!?他の指ならまだましだが、薬指では恋人からのものみたいではないか!」


……く、薬指か、確かにそれは駄目かもしれないな。


「それでも一度だけはつけたさ……。その指輪はとても綺麗だったからな」


お、ポンポコさんも中々優しい所があるね。


「ところが、つけた途端、長兄は大喜びでそれ以外の兄弟は号泣を始めた。その後は兄弟で取っ組み合いのケンカが始まって、夕方から始まったケンカなのに、収拾がついたのは夜明けだ……もうこんな馬鹿兄弟の前ではもう2度と指輪はつけん」


「……そ、そっか」


「だから、ヤスも指輪はやめておけ。……まあ、ヤスの場合はサイズを知らないだろうから買えないな」


ごめんなさい、知ってます。


言うとどんな反応されるか怖かったので、心の中で思うだけにしておいた。


「しかし……そうするとネックレスか、ブレスレットかって所かなあ。」


俺は適当に物色を始めた。ポンポコさんもヤマピョンもいろいろ見始めたみたいだ。


「……お、これなんか可愛くていいんじゃないかな?」


俺が手に取ったのは羊がくっついたブレスレット。もこもこした羊がちょこんとついていてかわいらしい。


「妹さんにはこういうものはどうなんだ?」


ポンポコさんが選んでくれたのは、色とりどりのビーズ。ピンク色のや、レッド、パープル、ブラウン、イエロー、グリーンと、様々な色があるし、形もさまざまだ。

ビーズを使って、自分の好きなものを作るって事か。中々いいかもしれない。実はさつきもこういうの好きかもしれないし。


「うん、俺の選んだヤツよりいいと思う。これにしよっかな」


俺がそれに決めようとした時、くいくいと俺のシャツを引っ張って俺を呼んで、ヤマピョンが1つの商品を差し出した。


「…………こ、これ」


ヤマピョンが差し出したのはネックレスだった。ネックレスには四葉のクローバーがついている。四葉のクローバーがキラキラ輝いていてすごく綺麗。……ヤマピョンってすごくセンスがいいかも。


「いいな……これ。値段はいくらなんだろ?」


値段を見てみると2100円。十分に購入可能だ。


「うん、サツキへの誕生日プレゼントはこれにするよ。ヤマピョン、ありがと」


ヤマピョンがコクコクとうなずく。

ポンポコさんのビーズも捨てがたいけど、幸せの象徴でもある四葉のクローバーに惹かれてしまった。

……せっかくポンポコさんもここまで来てくれて選んでくれたのに、結局ヤマピョンの方を選んでそのまま帰るのはなんだか悪い気がするな。

俺が思っている事に気付いたのか、ポンポコさんは手を振って答える。


「気にしなくていいぞ。そのネックレスは確かに綺麗だからな。つけていると本当に幸せが舞い降りてくる気がする」


「でも、せっかく選んでくれたのに悪いなって……」


「そうか?そんな事を気にする必要は無いと思うが……。ヤス、5月27日に誕生日会でもするのか?」


「え?ああ、そのつもりだけど?」


中3にもなって誕生日会かよっ!?って思ったやつ、でてこい!俺がしばいてやる。


「では、このビーズは私が買って、その時に私がプレゼントしてもいいか?」


「え?ポンポコさんも参加するの?」


「参加しては駄目なのか?」


ポンポコさん、寂しそうに言わないでくれ。

高校入ってから思ったんだが、その顔されると断れない……。


「いや、全然構わないよ。多分参加者はケンと俺とサツキの3人だけだったし、ポンポコさんが増えるのはサツキも喜ぶと思う……でも、家の方は大丈夫?19時頃から始めるから、家に帰るのかなり遅くなると思うけど」


遅くなるから、サツキの友達は呼ばずに、ケンと俺と3人だけで行うのだ。

サツキは自分の友達とは土曜日に何かをするらしい。


「………………………………………………………………まあ、大丈夫だろう。私の兄弟も………………大丈夫だ」


ポンポコさん、答えるまでのその間は何だ!?

本当に大丈夫なんだろうな!?


「分かった。じゃあ来週、部活終わった後、俺んちに行こか。ヤマピョンも来る?」


せっかくなのでヤマピョンも誘ってみる事にした。

多い方が楽しいだろうし。


「…………む、無理……」


そうか、無理か。

ヤマピョンもすごく残念そうな顔してるから、本当に無理なんだろう。


「じゃあしょうがないな、またなんかあった時誘うよ」


「……う、うん……」


そう言って、俺は四葉のクローバーのネックレスを買いにレジに行った。

……お、これは……。


















店を出てから、ポンポコさんの手にポンッと乗せる。


「ポンポコさん、これあげる」


俺が渡したのは、ピンクのヘアゴム。アクセントに猫の顔がついてる。

レジの前にいろんな種類の小物が置いてあり、その中にこれがあった。値段も手頃だったので、つい買ってしまった。


「突然なんだ?もらうような事をしていないが」


「今日誕生日プレゼント買うのに、付き合ってくれた俺のお礼の気持ち。ほら、ポンポコさんもオシャレしたいって言ってたじゃん?ヘアゴムぐらいだったら、兄弟達も文句言わないだろうし、別のをつけてみるのもいいんじゃないかな?」


普段はポンポコさんは三つ編みを黒のゴムでまとめてる。カラフルなものも悪くないかなと……。


「ふむ、そういう事ならいただこうか、ありがとう。今度早速つけてみる事にする」


「うん、きっと似合うよ」


うん、後は……。


「ヤマピョンにはこれあげる」


シマウマのキーホルダーがついた携帯ストラップ。ポンポコさんにだけあげるのは不公平だしな。


「…………と……ありが……とう……」


「あいよ」


うん、喜んでくれたみたいで何よりだ。どっちも安物だったから、ちんけだとか言われたらどうしよかと思ってた。


その後、駅まで歩いてってポンポコさんとヤマピョンと別れた。














そして、月曜日の部活。

ポンポコさんは俺の買ってくれたヘアゴムをしててくれた。

……よかった、結構似合ってる。これで不似合いだったら最悪だもんな。


「あれ?ポンポコ、そのゴム見ないね。結構似合ってるよ」


ユッチが気付いたみたいだ。

ふふ、ポンポコさんにイメージチェンジの発端を促す俺の功績をたたえるがいい!!


「ああ、ヤスにこの前もらったんだ」


「え、あのヤスが!?何がどういう経緯でそんな事に!?」


…………ポンポコさん、別に言わなくていいよ。

ユッチ、『あの』って何だよ『あの』って。お前は俺をどういう目で見てるんだ!?


「付き合ってくれた俺の気持ち、と言ってくれたぞ。似合ってるか?」


「えええええええええっ!!ヤスとポンポコが!?」


ユッチ、びっくりし過ぎ!ってか付き合ってない!


「ポンポコさんとヤス君付き合いはじめたんですか?ヤス君は手が早いですね……陸上部1年で第1号です」


アオちゃん、違う!付き合ってません!


「ポンポコさん!なんかぬけてる!おかしいって!」


「ヤス君、そんな焦らなくてもいいですよ……私たちにばれたからって」


「だからアオちゃん違うから!」


くそっ!何で俺の話は信じない!?

ユッチは驚きすぎて放心状態になってる。


「それでいつなんですか?付き合う事になった日は」


「ん?ああ、先週の金曜日だ」


何一つ間違ってないんだけど、言い方がおかしい!


「ポンポコさん!なんか言ってない事があるでしょ!ちゃんと全部言おうよ!」


「ん?そうだったか?……ああ、私の兄弟達に文句を言われないように、だったか?」


「確かにそんな事も言ったけど!それじゃ勘違いされる!」


「ご家族にまで既に配慮されてるんですね。もう公認なんですか?」


「だからアオちゃん!公認も何も!付き合ってないから!ポンポコさんもなんか他の事言って!?」


もうこの話題はやだ!さっさと打ち切ろう!


「他の事か……そうだな、今度ヤスの家に行くぞ」


「ポンポコさんのアホーーーーー!!!!!」


何でその話題!?

確かに来るけど!呼んだけど!


「ヤス君、恥ずかしいからってアホなんて言っちゃ駄目ですよ」


「違うから!アオちゃん、お願いだから俺の話を聞いて!」


「私は嘘なんて一言も言ってないぞ」


「ポンポコさんは確かに嘘言ってないけどさ!」


「ほら、全部ほんとなんじゃないですか。ああ、部員とマネージャーの恋物語なんてまさに王道ですね。このままいけば次に現れるのはどちらかの新たな恋敵?それとも陸上のライバル?」


「アオちゃんはほんとそういうの好きだな!でも違うから!残念ながら違うから!何べんでも言うけど残念だけど違うんだ!」


「ヤス君、顔真っ赤ですよ、照れちゃって可愛いです」


あー、いい加減聞け!俺の話を!













ええ、あの後ウララ先生が現れて、ようやく事態に収拾がつきました。

アオちゃん、今後はあおるのはやめてくれ。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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