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47話:携帯購入

あれからの部活もいつも通りだった。

練習は3年生がぬけて、する人数が減ったが、ただそれだけだ。

いや、むしろ3年生の1番速い先輩がいなくなった分、学校周りを走るスピードが緩くなって、楽に走れるようになった。


マルちゃんは相変わらず俺を避けて、2周走ればもうダウンしてやめているし、ノンキもやる気が感じられず、とてとてと自分のペースで走っている。



ヤマピョンはというと、前以上におどおどするようになった。時々何か俺に話そうとする仕草をするのだが、何も話さない。


「えっと、なんか話があるなら聞くよ?」

ってそんなに強く聞いたつもりは無いのに、ふるふると首を振って、結局何も話さないままだ。


と言う訳で、今の長距離はそんな感じだ。

















今日は5月11日土曜日だ。

前々から買いにいこうと思ってたが、中々暇がなくて買いにいけなかった携帯をついに買いにいく。ついでにその後は妹と遊びにいく予定だ。


…………午前中から行く予定だったのに、何故か家を出たのは午後2時になってからだったけどな……。


で、今は携帯ショップに向かってる訳だ。

昨日夜遅くまで起きて親から親権者同意書も手に入れたからな。購入に向けての準備は完璧さ。


「サツキ、俺携帯買うの初めてだし、どんな機種がいいか教えてくれよ」


「べつに私のとお揃いでいいじゃん、これヤス兄も可愛いって言ってたでしょ?」


「そんなかわいらしいの俺が持てるか!?ケンにどんだけ馬鹿にされるんだよ?」


「んー、じゃあこの色を止めて、シルバーとかブラックのにすれば?」


「あ、それならありだな。その機種ってどんな色があるんだ?」


「えー、知らないよ?ほんとにシルバーとかブラックとかあるのかな?」


「くそ、ピンクしか無かったら別の機種にしてやるからな」


「ぶーぶー、可愛い妹のお願いが聞けないのー?」


「それとこれとは別なの」


……お、携帯ショップに着いたな。


「さて、どれにするかな……」


とりあえず、入り口にあるサンプル品を眺めてみるが……うん、どれがいいやらさっぱり分からん。


「何をお探しですか?」


お、お姉さんが出てきたっぽい。


「え、え、えと」

「ああ、新規のお客様ですか?とりあえずご説明いたしますのであちらのカウンターへどうぞ」


「あ、はい」


……………………。


……………………。


……………………。


……………………!!


……………………。


「くそっ、この色しか置いてないなんて…………」


そう、サツキのと一緒の機種にしようと思ったら、ピンクしか在庫が無かったのだ。


他のにしようとしたら、サツキが怒った。別にいいじゃんか。


機種が一緒じゃなくたって。

無視して別のにしようとも思ったんだが、一番安いのが結局サツキの機種で、それ以外のは異常に高かった。


なんか、基本料金やらを安くしといて、商品価格を高く設定する事で儲けをだすとか何とか……。

あれだけ安い安いCMで言っときながら、ちゃんと儲けるとこで儲けてんだなあ。

機種は高いですってCMで言えばいいのに。


くそう、ちゃんとブラックとかシルバーとかも置いとけよ!


「やったね、ヤス兄!これで私と完全にお揃いだよ!」


「ピンクなんて……今度学校でケンになんて言われるんだろうな……」


「大丈夫!馬鹿笑いされて終わりだよ!いつもの事じゃん」


「そんなのがいつもの事なんて嫌だ!絶対に笑われないように隠す!」


「すぐにばれるよー、さっきケンちゃんにメール送っちゃったもん、『ヤス兄携帯ゲット!』って」


「何でお前はすぐにケンにメール送るの!?」


「ヤス兄いじり同盟のメンバーだから。今会員はケンちゃんの家族全員と、ヤス兄を除いた家族全員。後お隣さん3軒が同盟に入ってるよ」


「めちゃくちゃ多いなおい!最近朝挨拶するたんびになんか言われてたのはサツキのせいか!?昨日もいきなり隣に住んでるおばちゃんが俺の腕つかんで、サツキしか知らない秘密をしゃべってきたんだけど!?」


「あ、ばれた?うーん、どれの事だろ?」


「中2の正月の時の事!ってかそんなに色々しゃべってるの?」


「あー、あれか。ケンちゃんもケンちゃんの家族も知ってるよ、その時のメールは当然保護してあるし」


「見せてくれ!!」


俺はサツキの携帯を借りて、そのメールを見た。


ーーーーーーー


From:サツキ

to:ケンちゃん


やほー、ケンちゃん、昨日ぶり!!

そう言えばすっごい面白い事件があったの思い出したんだ。

ついでだから教えちゃうね。


あれはヤス兄が中2の正月の事だったんだけど……。

ヤス兄は凧をあげて遊んでたんだ。そしたら、いつの間にか木に引っかかったんだって。

木に登って凧を取りにいったんだけど、取ったはいいけどあまりにも高い木で降りられなくなったんだって。ヤス兄って馬鹿だよねー。

私はそのとき家で正月の特番見てたんだけど、全くヤス兄が帰ってこないまま2時間もたっちゃったから心配になって、ヤス兄が行ったとこ見に行ったんだけど……。


ヤス兄はだんだんとトイレに行きたくなって、もう我慢できない!ここでしちゃえ!そう思った瞬間、私が来ちゃったんだって……。もうオチが読めたかな?


「ヤス兄どうしたの?」


「な、何でも無いから」


「もしかして降りられないの?馬鹿だねー、まるで猫だね」


「いいから、とりあえず誰か呼んできてくれない?」


「えー、私、そんなに邪魔?どっか行って欲しいの?ひどいなヤス兄」


「いいから!ヤバいんだって!ほんとお願い!どっか行って!」


「うう……ヤス兄、私の事、嫌いになっちゃったんだね……」(当然嘘泣きだけどね、ヤス兄の焦った顔は面白かったあ)


「そ、そんな事無い!全然嫌いなんかじゃない!」


「だって、どっか行けって言った……」(もう焦りまくりのヤス兄の顔。心の中で大爆笑)


「だから、ヤバいんだって!!あ、あ、あ、あああああーーーーー!!!!!」


なんかヤス兄が絶叫したから上を見たら、じょろろろって水が漏れてきてんの。


「うわ―お漏らしだー!!」


「サツキ見るな見るな見ないでくれー!!!」


もう泣きべそかきながらお漏らししてお願いするんだもん。ちょっとひいちゃった。

でも、すぐに家に帰ってヤス兄のその姿、カメラに収めたよ。今度ケンちゃんにも見せてあげるね。


ケンちゃんも面白いネタあったら教えてね。ではでは、ばいばーい!!


ーーーーーーー


…………。


「えと、妹よ、こんなメールが他にもたくさん?」


「まだまだネタは私の心の中にストックしてあるけど、そうじゃないのは大体送ってるからね。軽く40はあるんじゃないかな?心の中には後半分はありそうだよね」


「まじ!?ケンのやつ何でも知ってるなと思ってたら、そんなに知ってるのか!?」


「これだから携帯は手放せないよね」


「そんな事に携帯使うなよ!」


「大丈夫だよ。ヤス兄の携帯はそんな事には使われないから。どんなネタが漏れてるかを全部ヤス兄が知ったら面白くないでしょ」


「もうこれ以上止めて!!」


こうして、携帯購入騒動は幕を閉じた。


きっと止めないんだろうなあ、そうだろうなあ………


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カカの天下
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ええじゃないか
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