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437話:UFO

 5月16日土曜日。今日は俺とアヤの2人だけ。父さんと母さんはいつも通り仕事。サツキは部活に行っている。県大会出場選手だけ、追い込みをかけるということで出かけてった。

 その後帰りは、ユッチやアオちゃんとご飯を食べて、おしゃべりしてくるって言ってたから、きっと帰ってくるのは夕方。


 県大会に出場できなかった選手は、休養も大事ということで本日は休み。

 午前中はアヤと2人で洗濯して掃除して、ゴロゴロとしてた。そろそろお昼の時間なんだけど、昼ご飯作るの、めんどくさいなあ……。


「アヤ、お昼何か食べたいものある?」


 ソファに寝転がっておせんべを口にくわえながら雑誌を読んでいるアヤに聞いてみた。

 パリッとおせんべを割ってもごもごと食べた後に、雑誌から目を離さずに答えた。


「んー? ヤスお兄ちゃんが作るものだったらなんでもいいよー?」


 ……ううん、一番困る発言だ。ふかひれ食べたいとか言われても困るけどさ。

 どうせアヤと俺の2人だけだし、たまには手抜きでもいいよなー。


「アヤってインスタントラーメンって食べたことあるか?」


「あるよー。フィリピンでも食べてたし。フィリピンでも日清食品のラーメンとか売ってるよー」


 へえ、そうなのか。世界全体で日清食品のラーメンが食べられてるなんて聞くと、なんだか不思議な気分になる。


「というわけで、今日はインスタントラーメンでもいいか?」


 自分でもどういう訳かちょっとわかってないけど。


「いいよー。そのかわり午後からどっか遊びにいこー? ほらほら、こことか。今バラ園がきれいみたいだよ!」


 そのかわりが一体どのかわりかわからないぞ、アヤ。


「ま、まあそれはまた昼ご飯食べながら考えよ。えっと、今インスタントラーメン、何があったかな」


 そう言いながら、アヤの追及を逃れるために立ち上がって今からキッチンへ移動する。


「あ、ヤスお兄ちゃん、逃げたー!」


 逃げて悪いか。バラ園ねえ……。家でゴロゴロして他いんだけどなあ。まあ、あとで考えよ。

 さてと、今家にインスタントラーメンって何があったかな。カップヌードル、UFO、欽ちゃんヌードル、夜店の一平ちゃん……あ、やばい。このフルーチェ今日が賞味期限じゃん。気づいてよかったー。

 これだけあれば充分だろ。あとはリンゴでもきれば立派なお昼ご飯だ。


「もおっ、ヤスお兄ちゃんってば逃げないでよー。バラ園もいいけど、ただ単に芝生に行って日向ぼっこするのもいいよね。フリスビーでも持ってってさ」


「アヤ、アヤはどれ食べたい?」


「ヤスお兄ちゃん、はぐらかさないでよ! あたしと一緒にお出かけするのいやなの!?」


「や、全然? アヤがふくれっ面するのが可愛くって」


 ナイスフォローだ、俺。こういうことを言えばきっと『突然、何言ってるの!? 照れるでしょ』みたいな流れになって、そのままうやむやになるに違いない。


「おだててごまかそうとしたってそうはいかないんだからね! 突然ヤスお兄ちゃんが褒めだした時は、話を変えたいときだってサツキから聞いたもん」


 ……サツキ、なんてことを。これ以上はどうにもごまかせない気分になってきたので、俺は降参することにした。


「それじゃ、午後からどっかの公園にでも出かけるか」


「うんっ! さっすがヤスお兄ちゃん!」


 ……アヤってアウトドア派だよなー。休みの日になると、必ず絶対にどこかに出かけたがるし。

 ゴロゴロしていたがる俺やサツキとはちょっと違う。


「んで、アヤはどれ食べたい?」


「えっとねー……UFO? なにこれ」


「日清食品の焼きそばのインスタントラーメン」


 見たことないのか、フィリピンにはこれはないのかも。


「なんか変な名前ー。それじゃ、これにする!」


 んじゃ、UFOはアヤで、俺はカップヌードルにしよかな。


「あ、あとフルーチェが賞味期限きれそうだから、後で食べよ。こっそりな」


「りょーかーいっ! サツキには内緒だねっ」


 そーそー。サツキには悪いけどな。

 俺とアヤは2人、カップを持ってポットの注ぎ口まで行く。


「それにしてもカップヌードルってホント便利だよねー。お湯入れるだけで出来ちゃうなんて」


 そう言いながら、アヤはUFOのふたをピリピリとあけた。

 

「そだなー……っておい!? アヤ駄目駄目!?」


 そのままトポトポとお湯を入れるアヤ。

 あああ、やっちまった。これ後からとるの熱いんだよ。


「えっ? なんでなんで」


「UFOの中には袋が3種類くらいあって、その袋を全部取り出してからお湯入れるんだよ」


「ええっ!? なんでそんなことするのさー。それ、すっごくめんどいよ?」


 さあ。なんでと言われても自分は知らない。日清食品に聞いてくれとしか。


「むー……めんどくさいなー。ところでヤスお兄ちゃん、午後からどこの公園行く?」


 そうだなー。自分もカップヌードルにお湯を入れながら考える。


「近場がいい? 遠くがいい? 電車に乗っていくんだったら結構遠くまで選べるけど」


「んー、ヤスお兄ちゃんと一緒だったらどこでもいいけどー……」


 だから選びにくいからやめてくれその返事。

 お湯が入りきって、蓋をして上に重りを載せる。


「電車に乗るより、歩いたり自転車に乗る方が楽しいよっ。近場にいこっ近場っ!」


 ふむ、近場かー、近場って言うとどこがいいかな。


「さっきアヤが見てた雑誌ってこの辺のマップっしょ? なんかいいとこ載ってなかった?」


「えっと。どーだったかなー。あっ、雑誌、居間においてきちゃった」


 アヤがそういったので、俺とアヤとで雑誌を見に行った。

 ここもいいなーとか、こっちの方が楽しいよーと言いながら、楽しく午後、行くところを決めている最中。

 旅行のプランでもなんでも、何で行くところの事考えているときってこんなに楽しいんだろう。


 しばらくうんうんと悩んでいたが、ふと気づいた。


「アヤ、カップヌードルどうした!?」


「へっ? あ、あああー! あたしも忘れてたー!」


 ドタドタと慌ててキッチンに戻ったけれど、完全に後の祭りの状態……。

 さっきまでの楽しい気分とは裏腹に、今日のお昼は、悲しく伸びきったカップヌードルをアヤと2人で食べた……。

インスタントラーメン食べてる時に失敗したこと2つ。

誰もがきっとしたことあるのではないでしょうか。


それでは。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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ええじゃないか
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