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435話:顧問ゲットに向け相談中

ムムちゃん。263話にて初登場。キキ先生(西森先生)の子供。

 今日は5月13日水曜日。学校から帰ってきて、サツキ、アヤ、ケンと夕飯を食べているところ。

 今日の夕飯のメニューは今回はクックパッドに載っていたテリテリ豚肉巻き。適当に切ったネギ、ほうれん草、えのき、人参などを豚薄切り肉で巻いて、弱火でじっくり焼いていく。火が通ってきたところで、醤油と酒、砂糖、酢を混ぜ合わせた調味料を入れて煮からめる。

 それ一品じゃさびしいということで、卵と玉ねぎでオムレツ作って、ついでにわかめとねぎの味噌汁と冷奴。

 ……ううん、ユッチが家に来てくれると勝手にもう一品作っといてくれるんだよなあ。いたらいたでうるさいやつだなあと思うけど、いないといないで寂しくなる不思議。


「ヤフお兄ふぁん」


 パクリと肉巻を食べながら、アヤがもごもごと俺に何か話しかけてる。


「アヤ、何言ってるかわからないから、口の中空っぽにしてから話せって」


「ふぁーい」


 もぐもぐと口を動かしながら、ようやくごくんと口の中身を食べ終えた。

 そのまま次の肉巻を口に運ぶアヤ。


「ってなんか話しようとしてたんだろ!? 食べる前に話しろよ、アヤ!」


「ふぁってふぉいしいんだもーん」


 いや、喜んでくれるのはうれしいんだけどさ。

 このメニューを考えた人はすごいなあと思いながら、俺も肉巻を1つぱくり。うん、うまい。

 ようやくアヤの口の中から肉巻がなくなったところで、話をし始めた。


「一昨日の長距離反省会の時に、キキ先生に長距離専門の顧問をお願いしようって話してたけど、どうなったの?」


 ああ、その話か……ぶっちゃけ全く進んでなかったりするんだよな。


「俺、先生に人気ないからなあ。前に長距離の顧問、すべての先生にお願いした時、けんもほろろに断られたんよ。んで、なかなかもう一回お願いするってのがやりにくくてさ」


「そうそう、ヤス兄ってば評判悪いんだもん。びっくりしたよー」


 悪かったな。評判悪くて。


「ええっ。なんでヤスお兄ちゃんが評判悪くなるの? 別にヤスお兄ちゃん、不良でもなんでもないでしょ? 髪の毛にリーゼントつけてるわけでもないし、制服のボタン全部外してるわけじゃないし、木刀もってるわけでもないのに」


 アヤの不良のイメージってどんなのだよ。


「やっぱり4月の集団宿泊研修がすべてだったよな。ヤス」


 嫌なことを思い出させんなケン。アオちゃんやポンポコさんとはその集団宿泊研修で仲良くなったから、やな事ばっかりじゃなかったけどさ。


「ヤスお兄ちゃん、何したの?」


「……えっと、最初の昼のバーベキューの時に、油を入れるつもりでガソリン入れて、しかもめっちゃ燃え広がっちゃって、さらにガソリン缶に引火して危うく宿泊所を火事にさせるところだったんよ」


「え? ほんとなの? 何やってんのヤス兄?」


 いや、いれたのはアオちゃんなんだけどな。


「んで、初日の夜にポンポコさんと宿泊所抜け出してた。戻ったら、俺がいないって大騒ぎになってた」


「……ヤス兄、バカ?」


 そんなさげすんだ目で俺を見ないでくれ、サツキ。振り返ってみると俺だって自分自身、なんでそんな事やってんだと思ってんだし。


「あ、あと最近だと、3月頃にユッチをジャイアントスイングして遊ぼうとして、ものすごい誤解されそうになった」


「ジャイアントスイングして遊ぼうって考えてるところで、すでにめっちゃ怒られそうだけどな」


 ええ、怒られましたよ。


「そんときにまわして遊ぼうとしてたって言い訳したんだよなあ。普通、まわして遊ぼうって聞いて、そっちを考える人いないよな。汚れた大人っていやだよね。言葉って大事だよね」


「……ヤス、バカか?」


 ケンまでそんなさげすんだ目で見ないでくれ……へこむってば。


「ヤスっていろいろ変なことやってるよな。んで、なんで突然顧問?」


 いや、半分くらいはケンも一緒にやってるじゃんか。

 そう突っ込みたかったけれど、ぐっと我慢して質問に答えた。


「大山高校の陸上部って強くなってきてるけどさ、結局今のところ、短距離が強くなってるだけで長距離はさっぱりなんだよな」


「ヤス兄1人しかまじめにやってる人がいなかったんだもん。しょうがなくない?」


 まあ、そりゃそうなんだけどさ。

 ぱくぱくと食べていたら、いつの間にか肉巻が最後の1個になってしまっている。

 ううん、やっぱり最後に食べて、口にこの味を残していたいな。最後まで取っておくか。


「で、顧問がいたほうが練習時間も増やせるし。大人がいるのといないのとでは、いろいろとできることが変わってくるんすよ。そこでキキ先生に頼もうと思ってたんだけど、なんかいい案ないか?」


 自分からお願いしても、にべもなく断られるし。


「なんかそれ、前も似たような話してなかったか?」


 あったような気がするけど、いつの間にかうやむやになったんだよ。


「色仕掛け」


「却下」


 ケン、何言ってんだ。キキ先生結婚してんだぞ。


「浮気現場の証拠を」


「却下」


 ケン、キキ先生の奥さん知らないのか。めっちゃ美人だぞ。キキ先生めっちゃ愛妻家だし。浮気なんかするわけないじゃないか。


「ヤス兄ってキキ先生の子供のムムちゃんと知り合いだったでしょ? ムムちゃんからキキ先生にお願いしてもらうようしてみたら?」


 うん……それはありか。キキ先生、子供に甘そうだし。


「ヤスお兄ちゃんがやりにくいんだったら、あたしからお願いしてみよっか?」


 あ、それもありか。俺がお願いしたら駄目でも、他の人がお願いしたらOKもらえるかも。

 最後の肉巻をパクリと口に入れて、もぐもぐをじっくり味わう。やっぱり肉巻上手いなー。俺が食べ終わると同時くらいで、ちょうど、サツキもケンもアヤも食べ終えた。


「それじゃ、明日にでもアヤはアヤでキキ先生にお願いしてみて。俺もムムちゃんにお願いしてみるから」


「あいさー。ああ、この肉巻おいしかった―。ヤスお兄ちゃん、またこれ作ってね」


 あいあい、了解。それじゃ、明日から行動を開始してみますか。

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