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429話:インターハイ地区予選3日目、開始

 今日は5月10日。とうとうインターハイ地区予選3日目。

 今日、大山高校が出場する種目は男子200m、女子200m、男子5000m、男子1600mリレー、女子1600mリレーの計5種目。

 大山高校の部員たちは、もう競技場には全員が集まっている。今日出場する部員は少しずつ緊張した面持ちで、音楽を聴いていたり本を読んでいたり、思い思いに自分の競技まで時間をつぶしていた。


 今日の最初に行われる競技は女子1600mリレー。1走、アオちゃん、2走、キビ先輩、3走、サツキ、4走、ゴーヤ先輩の4人。

 1組目での出場だ……すでに4人はアップを済ませ、召集を受けスタート付近にいる。

 初めてのサツキの出場ということで、付き添いを買ってでて、選手以外に自分とポンポコさんが付き添いとしてここに立っている。ユッチも付き添いに来たがったけれど、女子200mの準備をしなければということで、ブーブー文句を言いながらアップに行った。


「ど、ど、どうだサツキ? 緊張してないか?」


「緊張してるのヤス兄じゃん。私は平気だよ」


 そ、そんな事ないぞ。俺は全然緊張してないぞ。


「さ、サツキだったら、だ、大丈夫って信じてる。は、半年も前から、先輩たちに混ざってずっとずっと練習してきたんだから。け、け、けどな。やっぱり初めてって言うのは誰だって緊張するもんだから」


「ヤス、ヤスはもうしゃべるな。緊張してなくても、ヤスを見てるだけで緊張するようになってしまう」


 ひ、ひでえポンポコさん。こ、これでも俺はサツキを心配してだな……。


「というかヤス君、サツキちゃんばっかり心配して、私たちの心配はしてくれないんですか?」


「そうだそうだー。私とゴーヤは、負けちゃったらここで引退になるんだぞー。私たちの心配もしろー」


 アオちゃんとキビ先輩から非難というか、ちょっとムッとしたような声で言われてしまった。

 ……確かに、1600mリレーの付き添いとしてきたのに、サツキの応援しかしなかったら、怒るよな。


「さ、雑談はそれくらいにして。1組目、そろそろスタートだ。アオちゃん、準備する。いつも通りに走れば問題ないから」


「はい、ゴーヤ先輩」


 そう言ってアオちゃんは来ていたジャージを脱ぎ、俺に手渡しユニフォーム姿になる。

 こういう緊張してるときだってのに……下にユニフォームを着てるってわかってるのにドキッてしてしまう自分がちょっと嫌。


「それじゃ、頑張ってきます」


「アオちゃん、頑張れ!」


 アオちゃんのジャージを持ったまま、ぐっと握り拳を作ってガッツポーズをとる。

 キビ先輩、サツキ、ゴーヤ先輩も順々にユニフォーム姿になっていき、先ほどまで色々と雑談していたキビ先輩やサツキもしゃべらなくなり、試合に集中を向ける。

 まだ予選とはいえ、この予選の結果で決勝のスタート位置が決まってくる。気を抜いていい試合なんてない。

 いよいよスタートの時間になった。審判員が台の上に立つ……。


「位置について」


 その声がかけられると、第一走者の選手が全員クラウチングスタートのフォームになる。


「よーい」


 腰を上げ、ピストルの音と同時にスタートできるよう、選手たちは集中を研ぎ澄ませる。アオちゃんも同様だ。

 パン! というピストルの音と同時、アオちゃんが飛び出した。……うん、俺、短距離は素人だけど、素人の自分が見てもすごくいいスタートだ。


「アオちゃん、ファイトお!」


 一生懸命走るアオちゃん、腕を振り、足を上げ、ひた走る。

 第2走者のキビ先輩がリレーのバトンを受け取りに、ラインに立つ。

 アオちゃんから、キビ先輩にバトンが渡った。

 1600mリレーだと、第2走者が受け取った時点だと、誰が一番になっているのかわかりにくいが、なんとなく大山高校が一番にバトンパスをした気がする。


「キビ先輩、負けんな!」


 キビ先輩、さすがに400mは走りなれてるだけあって、落ち着いた走りをする。

 100mを過ぎたところで、セパレートコースだったのがオープンコースになる。その瞬間、キビ先輩はトップに立っていた。

 ……おし、このままトップで走り続けてくれ。


 200mの時点でキビ先輩がトップだったので、第3走者のサツキが一番内側にてバトンを受け取る。

 マイルだとこのバトンの受け取りのところで他の走者とぶつかったり、すぐそのあとのカーブでの場所取りとかで、内側でバトンを受け取れることはとても大事だ。

 そんな中、無事キビ先輩が、トップで戻ってきた。後続とはそこそこの距離が開いているので、ぶつかり合うような心配もいらない。


 そして、キビ先輩からバトンを受け取り、サツキの高校初デビュー、第3走者として走り出した。


「サツキ、頑張れ!」


 前半の150m辺りまで、サツキのペースはあまり早いと思えなかった。後続との距離が徐々に縮まっていく。

 アオちゃんとキビ先輩が作った貯金がだんだんと無くなっていくが、200mを超えてから、サツキのスピードが上がった。

 追いついてきていた後続の選手も、だんだんと距離を離していく。

 後続の選手たちは追いつくためにオーバーペースになっていたのかもしれない。


 そのまま、サツキは後続に追いつかれることもなく、ゴーヤ先輩にバトンパス。

 ゴーヤ先輩にわたってからは、2位以下を完全に引き離してのゴールになった。


 1組目1位でゴールしたことにより、決勝進出が確定した。それと同時に自動的に県大会への切符も手に入れた大山高校女子1600mリレー。

 ……なんだか、自分が心配していた以上に安定した走りを見せたサツキ。

 今日、5000mがあるし、人の心配をする前に、自分の心配をしないとだな。おし、頑張るぞ。

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カカの天下
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