428話:インターハイ2日目終了
インターハイ地区予選2日目が終わった。
結果はケンは800m準決勝で20位、県大会に行けず。ユッチは100m準決勝、10位のタイムをだし、県大会出場決定。キビ先輩は400mハードル、3位入賞。もちろん県大会出場を決めている。
男子400mハードルでボーちゃん先輩も4位入賞を決めた。男子100mのマー君先輩は、14位という結果に終わり、残念ながら県大会に出場はならなかった。
……男子100mは競技人口が多いから仕方ないとはいえ、なんか悔しいな。けど、敗退はしたけれど、マー君先輩は自己ベストも出したし、4×100mリレーでは県大会出場も決めているしで、そこまで落ち込んでいる雰囲気はなかった。まだ、明日も4×400mリレー、200mも待っていることだし、くよくよしてるわけにもいかないってのもあるんだろう。
ケンやマー君先輩が決勝進出出来なかったため、競技自体はまだ続いているが、大山高校の出場する種目はなくなった。そのため、撤収作業にかかり、帰り支度を行い全員が集合し、現在は顧問であるウララ先生から話を聞いている。
「はい、皆さんお疲れ様でした」
『お疲れ様です!』
ウララ先生の言葉に、全員で返事をする。
「去年に比べ、すでに多くの選手が県大会に出場出来て、とてもうれしく思ってます。個人種目でもリレー種目でも出場出来ていて先生としても鼻高々です。これも、すべて皆さんが、1年間の間ずっとずっと頑張ってきた成果です」
『はい!』
「まだ明日があります。3年生にとっては、最後の大会。負けてしまえばそこでおしまいです。ですが、県大会に行けば、まだこれからしばらく、一緒に頑張っていけます。私はこのメンバーで、もう少しの間、やっていきたいと思っています。明日も県大会に出場できるよう、頑張っていきましょう!」
『はい!』
はい、という言葉を、先ほどよりも力強く叫んだ。もっとこのメンバーでやっていきたいって気持ちはきっとほとんどの部員が持っている。特に短距離メンバーは、全員思っているだろう。
……長距離メンバーも、もう少しまとまりたいなあ。
「それでは、今日はここまで! 皆さんお疲れ様!」
『ありがとうございましたー!』
……さて、帰るか。今日はもう、出来る限り早く寝て、明日に備える。
明日の5000mに向けて、疲れは絶対に残したくないしな。
「サツキ、ケン、アヤ、帰ろーぜー」
「あ、悪いヤス。これから明日の1600mリレーに向けて、先輩たちと最後の練習してくんだよ。ちょっと時間かかると思うから先帰っといてくれよ」
ありゃ、ケンは無理なのか。残念。
「ヤス兄、私もこれからアオちゃん先輩たちと、リレーのバトンパスの最終確認とかいろいろと練習してくるんだ。だから先帰ってて。」
サツキもか……残念すぎる。
「あ、ヤス兄、今日の夕飯はとんかつでよろしくー」
「あーい、了解」
ちゃっかり献立を要求してくるサツキ。うん、ゲン担ぎも大事だしな。俺も、かつ食べて、ゲン担いどきたいし。今日の夕飯はとんかつにしとこ。
「ヤスお兄ちゃん、あたしもちょっとサツキと先輩の練習に付き合ってから帰る。昨日今日って、あんまり練習できてなかったし。体動かしとかないと」
……アヤもかあ。って事は、帰りは俺一人かぁ……。寂しいなあ。
きょろきょろと同じ方向に帰る人が他にいないかと探し回っていたら、同じようにきょろきょろしてるユッチと目があった。
にぱぁ、と笑って駆け寄ってくる。
「ヤスぅ! 一緒に帰ろお!」
「……なんか恥ずかしいからその顔やめれ」
「ええっ!? ぼ、ボクどんな顔してたって言うのさあ!?」
見てて恥ずかしくなってくるような、嬉しそうな顔。そこまで素直に自分の気持ちが表情に出るのはうらやましくもあるけど、
「それより、ユッチって今日はアオちゃんと帰るとか言ってなかったか?」
「アオちゃんが、リレーの練習してから帰るって言ってさあ。一緒に帰れない、って言うんだよお。別にそんなん気にせず待つよおっていったのにさあ」
ユッチ、お前もか。うんうん、気持ちわかる。1人で帰るってさびしいもんな。
「はぁ……ボクもリレー出たかったなあ」
「まだ根に持ってるんかい、気にするなって。ユッチは明日も200mあるんだから。そっちに集中しろよ」
「それはわかってるんだけど……入部した時に言ったでしょお? ボク、個人競技よりも、リレーで結果だしたいんだよお。個人競技はどれだけ頑張っても、自分1人の頑張りでしょ? でも、リレーって、1人ががんばってもどうにもならなくて、みんなががんばったから、勝てる種目じゃんかあ。そういうのが、一番好きなんだよお。ほら、よく言うでしょ? 喜びを半分に、悲しみは2倍にって!」
「逆だろ。喜びを半分にしてどうする」
「あ、あ、揚げ足とるなあ!」
そこ突っ込まなくてどうする。
……まあ、わからなくもないけどな。やっぱりみんなで頑張った事のが嬉しい気がするし。
「ま、県大会ではユッチが選ばれるかもしれないんだから。まずは明日、200mに集中」
「ううう……うん。分かったあ」
まだきちんと納得した顔はしてないけど、何とか自分を納得させてるみたいだ。
「それと、今日は100m県大会出場決定、おめでと」
「あ、うん! ありがとお! じゃあ、ヤス、帰ろお! 今日の晩御飯何い?」
……既にうちに来る気満点かよ。
ま、1人で家にいるのもさびしいし、まあいっかと思いながら、ユッチと2人で家に帰っってった。