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421話:インターハイ地区予選、1日目

今日は5月8日金曜日。インターハイ静岡東部高校陸上競技対校選手権大会1日目。

場所は去年と同じ、愛鷹広域公園陸上競技場で行われている。


……大山高校は今日は女子400mリレー、男子400mリレー、俺の男子1500m、ボーちゃん先輩の男子110mハードル、キビ先輩の女子100mハードル、ゴーヤ先輩、アオちゃんの女子400m、ケンの男子400mの計7種目にエントリーしている。

自分の出番は男子400メートルリレーが終わったあと。


……これから、今日の第1種目、女子400メートルがスタートする。女子400メートル、予選はまったく問題ないと思う、そもそも地区予選自体は通過できると思っている……ほんとは応援しなきゃいけないんだろうけど、自分のことでいっぱいいっぱいな俺は、ユッチたちを応援しようという気分になれない。


1500mなんて走ったことないよ……俺はいったいどんな風に走ればいいんだよ。


「ヤス、緊張するな。今日の1500mはほとんど練習してきていない。場に慣れるだけのつもりで出場している。ヤスにとっての目標は明後日の5000mだ。明後日にいい結果が出ればそれでいい」


ポンポコさん、それはわかってるんだけど、どうしても緊張しちゃうんすよ。


「それよりも、ユッチやアオちゃんの応援をしよう。問題はまったくないとは思うが、やはり今期初めての走りのときは、誰だって緊張してしまうからな。応援はあったほうがうれしいだろう?」


そ、それはその通りだけど、応援するだけの余裕が俺にはないんです。周りを見ると1500mに出場する人たちが周りでアップしてて、どの人もめちゃくちゃ早そうに見えるんす。


「ヤス、ユッチたちの走りを見たほうが緊張が解けるかもしれん。今のヤスにはそれが必要だ、行くぞ」


「ちょちょ、ポンポコさん! ちょっと待ってってば! アップをしないと!」


「緊張解くほうが先だ、それにもうヤスはやりすぎなくらいアップをしている。自分に自身を持て」


……そんな事言ったってさ。









競技場内へやってきた。今は第3走者が控えているところ、200メートルのスタートラインあたりに来ている。第3走者スタート地点前の応援席ではサツキとアヤ、それとカケルやナベといった1年生集団が立っている。1年生の応援地点はここなのか。

大山高校は3組3レーン。今2組目がスタートしたところだからもう後ほんの少し後で大山高校の番になる。


「あ、ヤス君とポンポコさんじゃないですか。応援しにきてくれたんですね」


「あ、うん。頑張って」


「ありがとうございます、頑張ります!」


「アオちゃんせんぱーい、そこそこに頑張ってくれればいいですよー。決勝に残る程度のタイムで走ってくれれば、私がリレーメンバーの仲間入りできますしー」


おいサツキ、今から走るランナーになんてことを言ってるんだよ。


「サツキちゃん、うるさいです。サツキちゃんにはメンバーの座は譲ってあげませんから! っもう、ヤス君はお兄ちゃんなんだから、たとえ無理でもきちんとサツキちゃんをしつけてくださいよ」


「……『たとえ無理でも』がめっちゃ余分な気がするんだが」


「気にしないでください……ふぅ……っと、今からですね。頑張ります!」


……俺たちと軽口がたたけるくらい、アオちゃんって意外と緊張してないんだな。さすがだ。


「女子400mリレー予選、3組目……」


っと始まるな、静かにしていないと。


「位置について……よーい……」


パン!


ピストルの銃声とともに、第一走者が一斉に走る。第一走者のキビ先輩、いいスタートを切ったみたい。


「キビ先輩! 頑張れー!」


ここからじゃ声が届かないようなきもするが、一生懸命声を張り上げて応援する。第4走者に追いつけ追い越せ!


「佐藤せんぱーい! ファイトー!」


こら後輩ども。


「……誰やねん佐藤先輩って」


「ヤス、知らなかったのか? キビ先輩の苗字は佐藤だぞ」


……しらなかったっす。自分の中でキビ先輩はキビ先輩でしかなかったから。きびきび動くからキビ先輩ってあだ名だとばかり思ってたなー。

サトウキビとゴーヤ……沖縄のコンビみたい。


「ちなみにキビ先輩の名前はヤスは知っているか?」


「しらないっす。キビ子とかそんな名前じゃないの?」


「……後でキビ先輩に言っておく」


ちょ、ポンポコさん!? 何てこと言ってるのさ!?


「キビ先輩の名前は『ひなた』だ。今度言ってみるといいぞ。ヤス」


あーい……ってそんな事いってる間にいつの間にかキビ先輩からユッチへのバトンパス。


「ユッチ! ファイト!」


「ユッチ先輩! 負けるなー!」


小さい体ですごい足の回転率で走るユッチ。普通の人がタッタッと走る間に、ユッチはタタタタッと駆け抜ける。

ボルトの活躍を見てると、小さい人は短距離に向いてないんじゃないかとか思うけど、ユッチみたいに頑張れば結果はついてくるよな。


「頑張れユッチ! ラストだユッチ! ファイトー!」


ユッチからアオちゃんへのバトンパス……スピードに乗りつつ……。


「はいっ!」


「はいっ!」


おし、うまくバトンパスできた!


「アオちゃん! ファイトー!」









……結果は予選1位の通過。タイムは50秒60。このチームでのベストタイムだ。新人戦に比べて飛躍的にタイムが伸びている。


「お疲れユッチ、ナイスラン!」


「あっ、ありがとヤスう! ああもお、すっごい緊張しちゃったよお!」


「いやいや、予選1位通過じゃん、全然緊張することないだろ?」


タイムだって去年に比べたら1秒以上も伸びてる。それだけ練習してきたんだから、そこまで緊張なんてすることもない気がするんだけどな。


「そんなことないよお! 去年の新人戦のときは、ボクとアオちゃんのバトンパス、かなりもたついちゃったんだもん。また同じ失敗しないかすっごい不安だったってばあ」


「へえ、ユッチでもそんなこと思うんだ?」


「ゆ、ユッチでもってなんだよお! ボクは普通の高校生だもん! 緊張だってするよお!」


ま、そりゃそうか……誰だって緊張するよな。


「ヤス、ちょっとは落ち着いたか? この次の次にあるヤスの1500メートル、緊張せずに思いっきり走って来い」


「ういっす! 了解っす!」


ま、いい結果を出したユッチたちに負けないよう頑張るべさ。

こんばんは、ちょっと短編ばかり書いてました。


待ってた方、ごめんなさい。


短編シリーズ、もしよろしければ読んでやってください。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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