表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
416/442

416話:禁欲生活中

今日は4月30日。

朝起きてみたら、アヤもサツキもユッチも、昨日のことなんか全て忘れてたみたいにけろっとしてた。

昨日の夜、同じ部屋で3人、一緒に寝てたからよかったのかもしれない。


それはそれでよかったんだけど……。


「なあケン、この前ポンポコさんからさ、『これから試合がある5月10日まで、禁欲生活を送りなさい』という指令を受けたんだよ」


「はあ……そんで?」


「どうすれば、残り2週間禁欲生活を続けられると思う?」


「知らねえよ。そんなん俺に聞くなよ」


……ケン、冷たいっす。


「ケンは禁欲生活指令は出てないのか?」


「出てないけどやってねえよ。ってかさ、前々から不思議に思ってたんだけど、ヤスの部屋とサツキちゃんの部屋って隣じゃん。妹に聞かれないようにどうやってそんなことしてんだ?」


「サツキが寝てからすれば何も問題ないだろ?」


「……甘いな、甘すぎる。サツキちゃんは全てを見抜いて聞いている」


まじか!? いやいや、そんなの聞かれたら恥ずかしすぎるだろ。


「夜になるとさあ、『うがー!』とか『どえー!』とか暴れたくてしょうがないんすよ」


「我慢しろよ、今のその発言、めっちゃ変質者っぽいぞ」


そんな事言われても……。


「ってかケンって今何日ぐらい我慢してんの?」


「そんなのをヤスに教えたくはないんだが……そんなこと聞くなよ」


いいじゃんか。いろんな人に、どうやってやっているかを聞いて参考にしておきたいんだよ。


「大体4月の中ごろから我慢してるから……そろそろ2週間ぐらいじゃね?」


す、すげえ! そんなに我慢できるものなのか!


「お願いですケン先生! 夜にムラムラしなくなる何かいい方法を教えてください!」


「ヤス、声でけえよ……なんで真昼間の時間帯に教室でこんな会話をしなきゃいけないんだよ」


ケンにそう言われて周りを見ると、なんだか哀れむような視線をとても感じる。だが、今の俺はなりふりかまってられないくらいの極限状態になっているんだ。


「いいから教えてください! もうそろそろ限界なんです!」


「ヤス……犯罪者にだけはなるなよ」


……すっげえひどい発言をさらっと言われてしまった。


「まず、我慢する第1の方法としてだな、ものすごい忙しくなってみる。そうするともう夜中に何かしたいと思うより、何かを食べたいと思うより、何よりもすぐに眠りたいという気持ちになるぞ、そうすれば禁欲生活は送れる」


「なるほどなるほどー」


「逆にものすごい暇人になると、いつの間にか我慢が出来なくなってくるからなー。日曜日の昼間に何も予定が入ってなかったりすると、すごく要注意だったりする。時間つぶしのつもりで何かを始めてしまうかもしれないからな」


ふむふむ……用事は常に入れて置くように……と。


「試合前1ヶ月から2週間ぐらい前までにくたくたになるくらい走ってばかりでいて、家に帰ったら何もする気力が起きない、という状態にするのが一番望ましいな。ただし、残り1週間を切ってしまってからこんなことを続けていると、とても疲れてしまって全然走れなくなってしまうので、今から禁欲生活を始めようというヤスにとってはあんまり効果的じゃないな」


「だめじゃん!」


そんな実現性の低い方法ではなくて、もっと実現性の高い方法を教えてくれよ。


「ヤスってこんなせりふ聞いたことあるか? 『3日、3週間、3ヶ月、3年』」


「物事に飽きるタイミングだろ? 他には……物事に慣れてきて失敗しやすくなる瞬間のことかな。たぶんこっから3日坊主って言葉が生まれたんじゃないか?」


「おお、よく知ってんなー。このセリフがよく使われるのは自動車の事故しやすい瞬間だよな。車を運転するようになって3日目と3週間目、3ヶ月目と3年目は特に気をつけなきゃいけないらしいぞ。他には、就職して会社を辞めるタイミングでも『3日、3週間、3ヶ月、3年』って言われてるよな」


へえ、そうなんだ。


「んでだな、禁欲生活も似たようなもんなんだよ。3日我慢してたら、なんとなくそっからしばらくは大丈夫になる。その後3週間我慢したらまたやりたくなる瞬間が出てくるんだよ。俺は最長でも1ヶ月くらいまでしか我慢したことないから、3ヶ月とか3年のタイミングはあるのかないのかよく知らんけど」


……3年も禁欲生活を送り続けられる人がいるんだろうか。無理だろ。


「というわけで、ヤスは今『3日』のタイミングの頃合に来てるんだよ。3日が終わればしばらくはきっと我慢できる」


なるほどなるほど……じゃあ、今日1日頑張って我慢すれば何とかなるのか。


「サツキちゃんとかアヤちゃんが家にいて、ムラムラするかも知れんけど頑張れヤス」


「そうなんすよー……大変なんすよー。朝に起こしに言った時とか、パジャマが着崩れてると、目のやり場にも困るし、色々困るんすよー」


「なんかムカつくが……まあ、頑張れ」


おう、ありがとケン。頑張って我慢します。


こんばんは、ルーバランです。


1月我慢した時は5000mの記録が30秒伸びました。ちょっと感動しました(^^


それでは今後ともよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ