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412話:インターハイ地区予選、出場選手、発表

今日は4月27日月曜日。まず、練習前に陸上部員全員が集合した。これからインターハイ地区予選へ向けて、色々連絡事項があるらしい。

短距離、長距離が全員勢ぞろい……全部で30人くらいが円を作る。陸上部ってこんなに人数がいたんだなあとつい思ってしまった。


「さて、インターハイ地区予選が近づいてきました。だいたい人が、ここを目標に今まで練習してきたと思います。県大会が本当の勝負! と思っている人もいるかもしれませんが、この地区予選を勝ち進まないとどうしようもありません。手を抜くなんて事は決して考えないように」


『はいっ!』


いつも明るく笑っているウララ先生も、今ばかりはとても真剣な表情になっている。部員も全員真面目な顔で耳を傾けている。


「さて、県大会に一人でも多くいけるよう、本人の希望も添えつつ、最終判断は私の独断と偏見でエントリーする種目を決めました。これからそれを発表していきます。発表と同時にゼッケンも渡していきますので、受け取ってください」


2、3年生がざわざわと騒ぎ出す。やはり誰が何にエントリーするか気になるところ。

……ポンポコさんに先に教えられてしまったんで、あんまり楽しみではないなあ。


「ええと……まずは短距離から。マー君、100m、200m! 実力どおりに出せば絶対に100mは県大会に出場できるから!」


「はいっ!」


「ボーちゃんは110mハードル、400mハードルです。いつもどおり、練習どおりやっていこう。目指せ東海大会!」


「はい、頑張ります」


「メガちゃんは200m、400m。頑張って」


「はい」


……先生、正直や。掛けてあげる声の文字数がメガちゃん先輩だけがくんと減ってます。


「ケンは400m、800mね。私としては800mに期待してるよ」


「はいっ!」


……ケン、800に出るんだ。初めて知った。ケンって今まで800の練習なんてしてたのかなあ。

その後も順々に出場選手を発表していくウララ先生。1人1人納得いった顔をしていたり、ものすごい不満顔をしていたりさまざま。

女子はユッチが100、200。アオちゃんが400。キビ先輩が100mハードル、400mハードル。ゴーヤ先輩が400m。去年の新人戦と同じ種目だな。

ゴーヤ先輩とキビ先輩は負けたらそこで引退になる……ぜひ頑張って県大会に行って、1日でも長く部活に来てほしいな。


「それじゃ次は長距離ね……ヤスは1500mと5000mの2種目。1500mは初めてだったかな? 予選から思いっきり飛ばしていってみると、もしかすると可能性があるかもよ」


「はい」


おしおし、少しでも可能性があるんだったらがんばろー。


「……ノンキとマルちゃんは……今回は出場なし……もっと力つけてきてからね」


……はあ、まあなあ、そりゃそうか。しかし、参加させないということもあるんだね。


「はーい」


……もうちょっとくらい悔しそうな顔をしろよ、ノンキもマルちゃんもさあ。そんなんだったらいつまでたっても足なんて早くならねえよ。


「さて、後はリレーだけど……まず、男子4継は1走、ボーちゃん、2走、ケン、3走、メガちゃん、4走、マー君。マイルも出場選手は同様、走る順番だけ変更。1走、ボーちゃん、2走、マー君、3走、メガちゃん、4走、ケン」


ケン、マイルでアンカーを務めるんか。ってかそれよりもケンって400、800、4継、マイルの4種目に出場するってことなのか……すんごいなあ。


「次に女子だけど……」


女子はユッチ、アオちゃん、キビ先輩、ゴーヤ先輩の4人で決定だろ。何をそんなに発表することを悩む必要があるんだろうか。


「女子の4継は……1走、キビ、2走、ユッチ、3走……アオちゃん、4走、ゴーヤ」


……なんか今、悩むところがあったんだろうか。アオちゃんのところで一瞬躊躇をしていたけど。


「女子のマイルは……1走、アオちゃん、2走、キビ、3走、サツキ、4走、ゴーヤの4人で行きます」


「ええっ!?」


いろんな人の『ええっ』が重なった。ユッチが外れているのにもびっくりしたし、サツキが入っているのにもびっくりしていた。

サツキもユッチもアオちゃんもびっくりしているところを見ると、この発表は今の今まで知らなかったみたいだ。驚いてないのはゴーヤ先輩とキビ先輩だけ。

先生とゴーヤ先輩、キビ先輩の間では既に話がついてたんだろうか……それにしてもびっくりだ。


「う、ウララ先生! ボクもマイルに出場したいい!」


「これは、ゴーヤとキビにも納得してもらって決めた内容です。ユッチが最終日、200m3本ととマイルを2本、全てに出場して、走りきれるならば、ユッチにしようと思ったんですが、おそらく両方に出場したら、200でもマイルでも決勝でほぼ確実にばてると思います」


「だ、大丈夫だよお! ボク走れるよお!」


「補欠で登録してあるので、ユッチの方が勝てるチャンスがあると思ったときにはユッチに変更します。けれど、8割方、サツキに決定と思ってください」


「そ、そんなあ……!」


がっくりとうなだれているユッチ……まあ、そりゃそうだよな。個人種目よりもリレー種目に情熱を燃やしていたんだもんな……まさか、選手から外されるとは……。


「これは4継でも一緒です。アオちゃんよりもサツキのほうが勝てると思ったら、迷わずサツキに変更しますので、そのつもりで」


「は、はい……」


……アオちゃんも緊張した面持ちで返事をする。いつも虎視眈々とリレーメンバーの座を狙ってると言っていたサツキも、今年の時点で取れるとは思っていなかったのか、未だにびっくりした顔で固まっている。


「以上、それでは練習を開始します!」


『はいっ!』


なんやら短距離の空気は気まずくなっているけれど……まあ、俺は俺で、いつもどおり頑張るだけだ。頑張れ、みんな、頑張れ、自分。

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