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411話:自家発電禁止令

今日は4月24日金曜日。今日も今日とてせっせと外周中。


「……はっ……はっ……」


「……はっ……はっ……」


「……むっ……りー……」


「アヤー、負けんなー。後1分頑張ってみろ!」


いつも5分くらいで必ず落ちていくあやに、大声でエールを送る。今日は一応6分持ってるけど……後ちょっと頑張って!


「はっ……ふー……」


ああ、だんだんと引き離されていく……。


「アヤ! ファイトー!」


「えー……すー……」


そう捨て台詞?を残し、後は一気に引き離されるアヤ。いつもみたいに立ち止まるのではなく、走り続けようとしているぶん、昨日よりちょっと進歩している。

……そこは嬉しいのだが、なんて捨て台詞を残していくんだよアヤ。なんだかシイコがすっごい冷たい目で見ているんだけど。


「……なんだよシイコ……」


「はっ……別に……」


くぅ……こいつとの人間関係が直されるような時はいつか来るのだろうか。









今日も1時間、ゆっくりとジョグをして練習完了。昨日よりちょっとペースをあげてみたら、その途端にカケルがついて来れなくなってしまった。

……こう、マラソンとかでガードランナーって言う名前の人とか、30キロくらいまでペースメーカーをしている人がいるけど、すげえなあ。後ろのランナーにあったペースなんて考えて中々走れねえよ。

走り終わった1年生たちが1人、また1人と戻ってくるが、全員きつそうにしてる。


「…………」


「…………」


ううん、声も出せんほどきつくなってるんすね。まあ、しょうがないかな。


「ヤス、お疲れ。全く疲れていないように見えるが」


「ポンポコさん、ありがとっす。確かにほとんど疲れてないっす。もう一年生が練習来るようになった仮入部期間からずっとこんな感じの練習が続いててさあ」


まあ、誰かが育ってくるまでの我慢だ。1月ぐらい頑張れば、カケルが育ってくるだろ。


「……ヤス、インターハイ地区予選である、東部高校陸上競技対校選手権大会という大会が近日あるのだが知っているか?」


東部高校陸上競技対校選手権大会……そういえばあったなあ……最近一年生の面倒のことばっかり考えてて完全に頭から抜け落ちてた。


「5月8、9、10日にある。私が1500mと5000mにエントリーさせておいた。1500mが初日5月8日。5000mが最終日5月10日にある」


ふむふむ……って何勝手にエントリーしてんの!? ポンポコさん。まあ、出るつもりだけどさ。


「でだな、今の調子で練習をし続けていたら、100パーセント勝てない。万が一ぐらいの可能性で勝てるのではないかと思っていたのだが、今では億が一くらいの可能性しかなくなってしまっているぞ」


「……まじっすか」


「まじだ」


……うわ、そんなざっくりといいやがりますかポンポコさん。……けど、そりゃ当たり前か。どれだけ練習したかで基本勝負は決まるんだもんなあ。疲れない練習しかしてなかったら勝てないよなあ。


「でも、そういうって事は俺は自分の練習に専念していいから、1年生の指導はポンポコさんがやってくれるって言うことっすよね」


「何を言うか。私は短距離のマネージャーだからやらないぞ。ヤスがやるに決まっているだろう」


……えええ? 今、さっきのポンポコさんのセリフは私が肩代わりしてくれるって風にしか聞こえなかったんだけどなあ。


「って事は俺は1年生の指導をしつつ、練習しろって事なんやんね? 無理だろ?」


「無理なことではないぞ。まず部活が終わった後に20時から1時間走る」


それは週に2、3回やってるぞ。最近、ほんと時間がなくてなかなか毎日は出来なくなってきたけど。


「朝4時半に起きて、早く起きたぶん、1時間走る時間に当てる。これで計3時間走れる。これを毎日続ければ、億が一の可能性で県大会出場の切符が手に入るかもしれない」


「俺に睡眠時間をどれだけ削れというんだよ!? 俺普段寝るのが12時頃なんだけど! 4時間半しか寝られないじゃんか!」


そんな生活をし続けて去年ぶっ倒れたんだから! 勘弁してくれよ!


「ヤス、そんな遅くまで何をやっているのだ? 卑猥なDVDや本ばかり見ていてはダメだぞ」


「見てねえよ!」


「本当か?」


「……いや、時々……週に1回くらい……いや、嘘です。2日に1回くらい見てます」


見たいんだもん。悪いか。


「そうなのか……見るのか……ふむ、やはりヤスも見るんだな」


いや、そんなしみじみ言わないでください。俺はどんな風に反応すればいいんですか。


「どんなのをみるのだ?」


……何でそんなに興味津々なんすかポンポコさん。


「『妹大好き!』とか……『ボクと彼女とアイツとあの子』とか……『ちらっ、あの娘のおっぱい!』とか……って何を言わせるんすか!?」


そんなのを言う俺って一体何なんやねん。ポンポコさんもタイトルを聞いて耳まで真っ赤にさせている。


「何故私は聞いてしまったのだ……? 聞くのではなかった」


自分で聞いて落ち込むなよポンポコさん!


「ヤス、もうひとつ言っておく。県大会に出場する確率が億が一が万が一になるために、卑猥なDVDや本は5月10日まで必ず封印をしろ。サツキやアヤの風呂を除くという行為もしてはならないぞ」


「……え? な、なんでっすか?」


ってか風呂は覗かないよ。そんな事したら抑えがきかなくなるじゃないっすか。


「一番よく言われている理由は体力がなくなるからだな。それよりも何よりも、文字通り精力がなくなってしまうのが一番の問題だと私は思う」


「せ、精力っすか?」


「そうだ、精力だ」


……ぽ、ポンポコさん何を言うんすか? 頭がどうかなってしまいましたか?


「走りながらカルピスは出さないよ? 自家発電なんて、走ってる最中には何にも関係ないっしょ? まったくもう、ポンポコさんってばエロイなあ」


「エロイのはお前の頭だ! お前はどれだけアホなのだ!」


あ、あれ? 俺何か間違えた? 精力ってカルピスを出す力のことではないのか?


「普通にスタミナ、根性、という意味で精力と言ったのだ! ギリギリの戦いの時に、最後の最後で力が出せるかどうかは精力……根性が一番影響するからな」


「ああ、そういう意味だったんか。てっきり俺はポンポコさんが突然桃色遊戯をしたくなったのかと思っちゃったよ」


「だれがせ、せ、……白いおたまじゃくしの話などしたのだ!?」


「白いおたまじゃくし?」


「せ、せ、せい……お前のあそこから元気いっぱいに出て行く白いものだ! 察せ!」


その言い方のほうがよっぽど卑猥に聞こえるのは自分だけだろうか……白いおたまじゃくし……これからおたまじゃくしを見ると卑猥なものと想像してしまいそうだ。


「ヤス、カルピスが飲めなくなったらヤスのせいだからな……」


……ごめんなさい……女子とエロい話を普通に会話が出来る、上手い方法を誰か教えてください。

おはようございます、ルーバランです。


隠語を使う方がエロく見えてしまうのは何故だろう……。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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