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408話:コンドコント、パート2

ユッチは1年生と間違えられてプンスカ怒りっぱなしだし、シイコは謝っても謝ってもユッチが許してくれなくて、どんどん沈んだ顔になっていくし、カケルは相変わらず空気だし……。何でこの席だけこんなに空気が重いんだろう? 他の席はもっと盛り上がったりはないが弾んだりしてるのに、うちだけまるでお通夜みたいに沈んだ空気になっている。

……抜けてえ、この空気から早く抜け出してえ。


「さて、みんな盛り上がっているところかと思いますが、それぞれ自己紹介を兼ねた演し物をやってもらおうかと思うんだけど準備してきた人ー?」


「あ、俺とサツキがトップバッターやります!」


「……速いねヤス君、サツキちゃんもいいかな?」


「いいですよー」


ありがとサツキ! 助かりましたです! これでこの重苦しい空気から抜け出せる。







「どーも、近藤家の兄貴、ヤスです」


「どーも、近藤家の妹、サツキです」


『2人あわせてコンドコンドです!』


「私とヤス兄と、向こうの席に座っているアヤと、兄、妹、従妹、3人そろって陸上部に所属です。よろしくおねがいします、それではまたー」


「それではまたー……ってサツキ、ダメだろ!? まだ何にも演し物してないのに」


「だって今日、何も打ち合わせしてないもん。全てアドリブでやれって言うの? 無理無理ー」


「打ち合わせしたのに!? 何でそんなことを言うのさ!?」


「んー……めんどくさいから?」


「妹よ、それはないんじゃないすか? 今日は恋について語ろうといったじゃないか!」


「赤かったり白かったりする魚だよね」


「それは『鯉』だろ」


「ごめん、ごめんよ……でもわざとなんだ」


「それは『故意』だろ」


「ただいま当店では500円で色々買えちゃいます!」


「それは『コイン』だろ」


「ヤス兄、私に付いて」


「『来ーい』……って違うだろ!? 恋だよ恋! 愛してる、大好きです、僕は死にましぇーんの恋だよ!」


「私がそういう話嫌いなの知っててそういう話題をチョイスするところがやらしいねー」


「いいのいいの。高校生にもなれば半分以上は彼氏彼女がいる、もしくはいたというのに、この陸上部は過半数が『カレカノいない暦=年齢』の人たちばかりなんだから。こういう話をしてみんなにもカレカノを作ってもらわないと」


「ヤス兄も『カノジョいない暦=年齢』の癖にー。自分のこと棚に上げてるー」


「……うっさいっす。んでやっぱりさ、俺的にはカレカノが出来る方法って、告白だと思うんよ」


「あー、あるかもねー」


「その中でも絶対に告白ってシチュエーションが大事だと思うんだよね」


「つり橋のど真ん中で告白するんだね、ヤス兄」


「それただのつり橋効果やん!? つり橋わたったら効果が切れちゃうよ! もっと現実的なシチュエーションで行こうよ。そうだなー、公園のベンチで待ち合わせしてて、座っているサツキに俺が歩いてって告白をするシチュエーションを想定するから、相手役をやってくれよ」


「や」


「じゃあよろしくー……って『や』ってなんだよ!?」


「だってさヤス兄、私今思ったんだけど、兄が妹に告白するってどうなんだろーって思わない?」


「別にかまわないんじゃないのか? いや、むしろめっちゃオッケー。どんどん兄妹間恋愛をしてしまおう。だからちゃんと相手役をやってくれよ」


「しょうがないなー、わかったよ」


「それじゃ向こうから俺が歩いてくるからなー……テクテク」


「ごめんなさい」


「速い! まだ何も俺言ってないから! せめて言葉を発してから返事してくれよ」


「もー、しょうがないなー」


「それじゃもういっか」「ごめんなさい」


「速いから! まだ歩いてもいないから!」


「だってヤス兄、言葉発したし」


「ちーがーう! 俺が歩いてきて! サツキの前に立って! そこで言葉を発してから返事してくれ!」


「もー、わがままだよヤス兄。どうせ断られるんだから早く終わらせよーよ」


「何で振られる前提!? いいからワンスモアチャンス!」


「はいはい、これがラストだからねー」


「おしおし、じゃあテイクスリー、テクテクテク……お待たせサツキー」


「ヤス兄、突然こんなところに呼び出して何の用事なの?」


「俺、今日はサツキに言いたいことがあるんだ……俺、サツキのことが好きなんだ」


「ごめんなさい」


「……にべもねえなあ」


「だって兄妹だもん、どうしようもないでしょ」


「その設定まだ生きてたのか!? じゃあ兄妹設定はなくしていいから、今度はお医者さんと患者のシチュエーションでいこうよ」


「ヤス兄ってシチュエーション好きだねー」


「うっさいっす……んじゃ、サツキがお医者さんで俺が患者ね」


「はーい、患者さーん、今日の調子はどうですかー」


「苦しいです、とても胸が痛いです。サツキ先生、どうやら俺は重大な病にかかってしまったみたいです、恋という病にかかって、胸にキューピットの矢が刺さってしまったようです……これからも俺の隣で、この恋という病を治してくれませんか」


「下心満載の病ですね、あ、ウイルス打っておきますねー」


「ドキドキしろよ! ウイルス入れたら悪化しちゃうじゃんか!?」


「だって、恋の病は治療したくないんだもん。もっと悪化してほしいでしょ」


「サツキ……結婚しよう!」


「ごめんなさい」


「なんでだよ!? 悪化させたんじゃなかったのか!?」


「だって兄妹だもん、どうしようもないでしょ」


「またそれかよ!? もういいよ」


『ありがとうございましたー』









……おし、このまま別の席へ逃げよー。

こんばんは、ルーバランです。


これは多分きっと陸上小説だったような……。


「高校生の半分以上は付き合ってたりする」というヤス君のセリフは下記を参考にしてます。母集団が分からないし、調査方法も分からないのでどこまで参考にしていいか分かりませんが……35%くらいの人は『付き合ってない暦=年齢』(2004年調べ)ってあってびっくりしました。そんなに多いんでしょうか。


高校生が異性とつきあう〈きっかけ〉とつきあいの〈深さ>

http://www.crn.or.jp/LIBRARY/KOU/VOL720/GIF/S8720017.PDF


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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