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404話:新入生、続々

今日は4月17日金曜日。今日も今日とて新入生勧誘。仮入部期間は今日で最後だから、勧誘も今日で最後。

仮入部が終わろうとしているのに、月曜日以降、誰も新入部員が来ない……。今は昼休み、屋上でサツキとアヤと3人で食事してて、最後の勧誘作戦を練っている。


「サツキ、新入部員が来ないのって何が原因だと思う?」


「んー……ヤス兄の人徳?」


おいこら。俺のせいだといいたいのか、サツキ。


「俺って人徳そんなにないか?」


「ないね、からっきし」


そこまで確信を持って言わないでほしい、サツキ。


「だ、大丈夫だよおにいちゃん! 人徳が全然なくてもヤス兄が気に入ってる人はたくさんいるよ!」


……人徳ないってところは否定しないんやね、アヤ。


「アヤは新入部員が入ってこないのって何でか知ってる?」


「んとねー、あの後何人か勧誘してみたんだけど、『入学式にいた変な人がいる部活でしょ』って嫌がられたんだよー。おにいちゃん、変でもいい人なのにねー」


アヤ、フォローになってないぞ。俺全然変じゃないのに、自分では普通だとずっと言い続けているのに誰も信用してくれない……。


「やっぱり人徳だねー、ヤス兄」


……結局俺が悪いんかよ。


「まあいいよ、人徳ということにしといて、正直、どう勧誘すれば陸上部には言ってくるかさっぱりわからんのやけど。どうすれば入部してくれっかなあ?」


「もうほとんどの人は入部先を決めちゃってるからねー。これからは入部を決めてない人に個人的に勧誘をかけるくらいしかしょうがないんじゃないの?」


「ふむ、なるほどなるほど」


……個人的に勧誘するしかないのか。ってか誰が入部を決めてないのかなんて俺じゃ調べようがないんだが。


「後は新入生同士で友達を連れて来て貰うくらいしかしょうがないんじゃない?」


「なるほどー……サツキ、アヤ、頼んだ」


「私もうシイコとエリの2人も連れてきたんだけど、もっと連れて来いって言うの?」


「あたしもナベ連れてきたよー、残念だけど他に見つかりそうにないよ」


……そうか無理か。


「まあヤス兄の頼みだし、一応めぼしそうな子に声かけてみるよ。でも期待しないでね」


「サツキ、ありがとです」


「アタシも色々聞いてみる。他の陸上部の1年生にも、誰か入部してくれないかお願いしてみるねー」


「アヤ、サンキューです」


……さて、これで陸上部に人が来なかったらもうどうしようもないっすな。







……そして、放課後になり、また1年生がそれぞれ自分の入部したい部活に向かう。サツキ、アヤは色々勧誘してみたけどやっぱりダメだったーって言ってたので、後は他の新入部員に期待するしかない。

しばらく待っていると、シイコが1人男子生徒を連れて陸上部にやってきた。


「おい変態、喜べ、新入部員を1人連れてきたよ」


……シイコ、タメ口使われるのは諦めたから、せめて変態というな変態と。


「ども、シイコ姐さんに連れられてきました、石黒亮太です。もともと帰宅部っぽいダンス部か、練習内容が楽そうな弓道部に入部するつもりだったんですが、シイコ姐に惹かれてやってきました。よろしくっす!」


「シイコ姐……ぷっ」


「そこの変態! 笑うな!」


いや、笑うだろ。シイコ姐。


「石黒君ってシイコ姐さんに惹かれたんだ」


「その通りっす。シイコ姐さん、ものすごいかっこいいっすよ。どこまでもついていきたい気分っす」


『ふふん、どうだすごいだろう』という顔で俺の顔を見るシイコ。


「ちなみに石黒君、シイコと付き合いたいという気持ちはあるんすか?」


「ごめんなさい! それだけは勘弁っす! そんなの恐れ多くってとても出来ないっす!」


「……ぷっ」


「そこ! 笑うなー! どうせあんただって全然もてない癖に!」


まあ、そだけどな……だからどうした。人の不幸は笑うものだ。


「ちなみに石黒君は短距離、長距離のどっちを希望する?」


「えっと、俺は陸上部に入るなら、短距離でリレーやってみたいというのが正直なところなんですが」


……そうか短距離か。残念。ま、でも短距離も先輩達がいなくなったらリレーが組めなくなるくらい人数は少ないからな。入部してくれて助かる。


「ん、俺は長距離だから直接指導することはほとんどないと思うけど、よろしく」


「よろしくおねがいします!」


……これで1人。あと短距離に1人、長距離に2人くらいは最低限欲しい。

次の部員……来ないかなあ……残された希望はユッコ、エリ、リカ、ナベ、キョンの1年生新入生5人組。

その後エリとキョン、ナベの3人がやってきて、勧誘は出来なかった旨を伝えてきた。まあ、それはしょうがない。

あ、ユッコが来た。


「こんちはー! 私の彼氏無理矢理引っ張ってきました!」


「あの、おれ、あんまりやる気ないんだけど……」


「こいつの名前は桜井翔かける! カケルって名前なのに、全然駈けられないんだよね」


「あの、ユッコさん? おれの話を聞いて?」


「嵐の桜井翔君と字だけは一緒なんですよ。病院やお店で店員さんが名前を見るとものすごく嬉しそうに『桜井翔さーん』って言うけど、実物を見てものすごくがっかりされるんです」


「いや、そんなカコバナは言わなくていいから」


「私は短距離だけど、カケルは反応速度の鈍さがあんまりにもひどくて、短距離はどんなに頑張っても勝てないと思うから、長距離部員にしてあげて!」


「や、おれサッカー部に入りたいんだけど……」


「ボールの扱いもド下手だから、他の部活に入ってもしょうがないし、いじられるのが好きだからビシバシいじってやって!」


「おれ、別にいじられるの好きじゃないんだけど……」


「それじゃ私は短距離に行くから、後よろしくお願いします!」


「あの、ユッコさん? ……いや、もういいっす」


……ユッコさん、カケル君の話を何も聞かないまんま部室に消えて言ってしまった。


「なあ、お前ら付き合ってるんよな」


「一応そんな感じらしいんですが、俺、全然実感がないんですが……」


……頑張れカケル君。


「まあ、一応長距離やってる、近藤康明って言います。サッカー部に入りたいらしいけど、もう無理そうなんで長距離で頑張れ」


「……はい、了解です」


うし、なんやらよく分からんけど、とりあえず長距離1人、ゲットだぜ!

……後はラストはリカちゃんだけど……ダメだろうなあ。俺が言うことじゃないけど、結構オドオドしててあんまり人付き合いよくなさそうだもんなあ。

あ、リカちゃんが来た……後ろに1人連れてきてる。あのリカちゃんが連れてくるってちょっとびっくりだ。


「ヤス……先輩……え、えと、1人連れてきた。私の友達」


「どもです、私、山口弘美です、通称グッチと呼んで下さいです」


しかし、ちょっと残念……女なのか。まあでも人数は多い方がいい。


「ども、ヤスです。よろしくー。グッチは短距離? 長距離?」


「私は短距離志望です。もともとリカとは同じ中学でリレーを組んでましたです。目標は全国大会出場です」


……おお、目標たっけー。


「目標達成できるよう、頑張れよ」


「はい、頑張ります」


……うん、中々いい子だ。

これで打ち止めかな。今年の陸上部の入部は計11人。男子3人、女子8人。

これからこのメンバーで頑張るんだ、頑張っていこー。

こんにちは、ルーバランです。


新入生、多すぎる……。

短距離でリレーを組めるよう、長距離でも駅伝を組めるようと考えていたら、増えました。


きっとほとんどの人はどんどん影が薄くなっていくだろう……。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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