40話:インターハイ地区予選、開始
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申し訳ないです。
5月4日土曜日、インターハイ地区予選が始まる。
俺は競技場に向かって電車、バスを乗り継ぎ歩いているのだが…………。
「重い……」
「情けないぞヤス!その程度の重さでひぃひぃ言うなんて、それでも元野球部か!」
「うっせえ!ジャンケンに勝ったのに、何で俺が運んでんだよ!めちゃくちゃおかしいじゃん!」
「いじめられっこの本領発揮だな、ヤス」
怒鳴るのも疲れるので、もう俺は無視して歩く。
ジャスト8時、俺たちは競技場前についた。もうみんなそろっている。
「……お、おはよう…………」
「おはよう」
「おっす、ヤマピョン!」
ヤマピョンから声をかけてきたので、俺とケンがヤマピョンに挨拶する。
「全員集合したようね。じゃ、朝のミーティング始めます」
ウララ先生が前に立って、話し始める。
「今日あるのは、短距離男子が400m、110mハードル。女子は400m、100mハードル、後、1人走り幅跳びに出ます。長距離は1500mだけね」
男子と女子では、ハードルで走る距離って違うんだな。知らなかった。
…………俺ってほんとなんも知らないね。
「他の学校では1年生が出場してる所もあるけど、今年の1年は初心者がほとんどだったから、出場は見送りました。ユッチさんも受験期間中あまり走れてなかったみたいだし、止めといた方がいいかなって思って勝手に判断しちゃったけど許してね」
「別に構いません。本当に全く走ってませんでしたし」
ユッチが返事する。ユッチ、結構合格ヤバかったのかな?算数できてなかったし。
「1年生は、応援するとともに、他の選手の走りをよく見ておく事。上の人の走りを見ておく事もいい勉強になるから」
『はーい』
「2、3年生は自分たちの出場にあわせてきちんとウォーミングアップをしておく事。きちんと体が温まってないと、体動かないよ。やりすぎてばてるのも駄目だからね」
『はい』
「じゃ、私は審判しないといけないから、後はみんな頑張ってね、応援してます」
この後、開門となり、競技場に一斉に高校生がなだれ込んでいく。
危ないって!そんなに慌てなくても場所なんてたくさんあるじゃん!
そんな急いでどうすんの!?
競技場に入って、1時間くらいした頃、大会のタイムテーブルを渡された。
タイムテーブルと言うのは、いつ、どの競技が実行されるかと言う事を知る物だ。
ついでだ、見てみるか。
「ヤス、そんなん見てないで、大会観に行こう!」
「ケン、まだ先輩たちは走らない。そんな慌てるな」
「なんか一番最初の種目がスタートしそうなんだって!先輩でないけど、一応見とこうよ」
「俺はどれに先輩が出るかチェックしてから行く、先行っててくれ」
「へーい、俺は先に行っとくよ。そう言うの、見たいやつだけ見ればいいよ。ユッチ、アオちゃん、行こう」
「あ、ごめん、ボクもタイムテーブル見ておきたい」
「えー!?ユッチもかよ。アオちゃん、しょうがないから2人でいこか?」
「はい、行きましょう」
ケンは結局アオちゃんを連れて観に行った。他の連中もほとんど大会を観に行ったみたいだな。
残った後ろからユッチが覗き込んでくる。
「なんだよ?後で見せてやるから、待ってろよ。覗くな」
「うるさいうるさい!ボクにも見せてくれたっていいじゃんかあ!」
「駄目、覗かれてると見にくくなる」
「隣に座れば別に見にくくならないでしょ?」
「やー、見にくいな。影が出来るし」
「それぐらいいいじゃんかあ!」
「だからあとでって言ってるだろ、お子様は待つ事も出来ないのか?」
うーっ!と怒ってそっぽむいてしまった。言いすぎたか?
「私にも見せてくれんか?」
「ん?ポンポコさんか、どうぞー」
「すまぬ」
しゃべり方、ほんと面白いなあ。
「何でポンポコはよくて、ボクは駄目なんだよ!そんなにボクの事が嫌いかあ!?」
「嫌いじゃないよ……でも面白すぎて…………ユッチで遊ぶの」
「ボクは物じゃない!大体いつも遊ばれてるのはヤスじゃないか」
うっ、痛い所をつく……。
「そういや、お前、俺を潰すんじゃなかったのかよ。俺はこの通りぴんぴんしてるぞ」
「いや、その…………」
「ふっ、所詮ユッチはその程度なんだな」
「だって……ケンにあんなにいじられてるのに、ゾンビのごとく這い上がってくるんだもん!どれだけ叩きのめせばヤスは潰れてくれるのさ!」
「ゾンビってなんだよ!もっとかっこいい比喩をしろ!不死鳥とか!」
「はっ!ヤスが不死鳥だって!?いいとこ便所バエがお似合いだよ!」
「鼻で笑うなよ!俺も言って似合わないって思ったさ……でも便所バエは無いだろ!?」
「うーん、蚊とか?」
「どっちもすぐ殺されるじゃん!?」
もっといいの無いの?ユッチの中での俺の価値ってめちゃ低いなあ。
「おぬしら、遊ぶでない。3人で見ればいいではないか。」
確かにそうだな。時間も無いし……結局今日のタイムテーブルはこんな感じだった。
第1日
トラックの部
女子 七種競技100mH 10:00
女子 400m予選 5組2着+6 10:20 ☆
男子 400m予選 10組1着+14 10:45 ☆
男子 1500m予選 4組4着+4 11:25 ☆
女子 1500m予選 3組5着+5 11:55
男子 110mH予選 4組1着+4 12:30 ☆
女子 100mH予選 4組1着+4 12:50 ☆
女子 400m準決勝 3組2着+2 13:15 ★
男子 400m準決勝 2組3着+2 13:30 ★
男子 110mH決勝 14:40 ★
女子 100mH決勝 14:50 ★
女子 400m決勝 15:00 ★
男子 400m決勝 15:10 ★
男子 1500m決勝 15:20 ★
女子 1500m決勝 15:30
女子 七種競技 200m 15:50
跳躍の部
女子 走幅跳決勝 11:00 ☆
女子 七種競技 走高跳 11:30
男子 走幅跳決勝 14:00
投てきの部
女子 砲丸投決勝 10:30
男子 ハンマー投決勝 13:00
女子 七種競技 砲丸投 14:30
とりあえず、マークをつけといた。
必ず先輩が出場するのが、☆で、勝ち進む事が出来れば出場できるのが★だ。
「ユッチ、この『H』って何?」
「ハードルの事だよ、ハードルの頭文字をとってる」
「じゃ、この『5組2着+6』ってのは?」
「これは、全部で5組が走って、その内の2着が進出できる。それで、+6って言うのは、2着以内に入れなかった3着以下の人たちの中で、タイムの速い順に6人が勝ち残って次に進む事が出来るってこと。ヤス、知らなすぎ!それぐらい自分で勉強して!」
その通りです、ごめんなさい。
「知らないついでに、もう1つ教えてあげよう。ここのインターハイ地区予選は、12位までが県大会に出場できるんだよ。だから、もし決勝に行けなくても、予選、準決勝の結果が良かったら、県大会に出れるかもしれないんだ」
「ほほう……なるほど、教えてくれてサンキュな」
「そうそう、ボクにもっと感謝してよ!そしてこれからはもうボクを馬鹿にしないでよ」
「それは無理、だってユッチ……馬鹿だもん」
「ボクは馬鹿じゃないってば!何べん言ったら分かるのさ!」
「……うーん、ずっと言い続けてみたら?」
「ボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃないボクは馬鹿じゃない……!!!」
「大変だ!ユッチが壊れた!救急車!救急車を呼べ!」
「ずっと言っただけじゃん!救急車ってなんだよお!!」
「いや、呪詛のようで怖かったから……ってかずっとって言って普通はそんな事しねえよ。馬鹿だな、ユッチは」
「ううぅ……ポンポコぉ、ヤスがいじめるよお……」
「よしよし、気にするでないぞ。ユッチは馬鹿は馬鹿でも愛される馬鹿だからな」
「みんなボクの敵だあ!!!」
あ、走ってってしまった。
そろそろ先輩が出場するし、俺たちも応援に行くか。