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394話:イトコ、アヤ

「なあサツキ、絶対に分かったら教えてくれよ」


「分かってるよヤス兄、しつこいなあ」


だってさ、全く顔が思い出せないんだもん。

……今日は4月2日。俺とサツキで2人で愛知県常滑市にある中部国際空港へ来ている。施工されてから数年、まだまだとてもきれいで、中規模空港部門で旅客満足度調査世界一に選出された経験もあるとかあるとか。ただ、万博が終わってから徐々に利用者は減っていて、経営者はキュウキュウしているらしい……閑話休題。

そんな中部国際空港に、俺とサツキの従妹が来るらしい……。『らしい』というのは、従妹のことを全く思い出せないから。昨日サツキから懇切丁寧に容姿や特徴を教えてもらったのに、全く想像ができず、アルバムの中に写っている姿を見てみても、やっぱり全く思い出せなかった。確かに俺とサツキと誰かが3人で並んでいる写真があるのに……誰だこいつ、って言う気分になった。

ほんとに従妹なんて俺にいたっけかなあ……全然思い出せん。


「ヤス兄ってばほんとに思い出せないの?」


「思い出せん、昨日その従妹の声も聞いたけど、初めて聞く声な気がした」


「うっわあ……アヤちゃん、それ聞いたら怒るよー?」


だって知らんもんは知らんもん。


「で、フィリピンからは何時頃到着するんだ?」


「大体11時くらいって言ってたよ。もうそろそろなんじゃない? さっき降りてきた飛行機がきっとそうだよ」


はあ、そうなんかあ……。


「とにかく、ツインテールの茶髪で小麦色の肌をしてて、目はパッチリしたすっごいかわいい子を見つけたらそれがアヤちゃんだから。絶対絶対気づくから!」


……はぁ……気づくもんなんかなあ……。


「ねえ! みんな、どこお?」


あ、なんか手を振ってる子がいる……ええと髪型……ツインテールの茶髪、小麦色の肌……目はパッチリしてる……あの子かな?

俺に向かって手を振ってるみたいだし、あの子だろ。

そう思い、あの子に向かって腕をぶんぶんと振り、こっちもお前に気づいたよーとアピールしてみる。お、気づいてくれたかな。俺のほうに歩いてきてくれた。


「お父さん、たっだいまあ!」


お、お父さん? その呼び方はさすがにないだろ!? 俺はまだ16歳だぞ。


「お帰り、エリ! フィリピンはどうだった?」


そう返事して、俺の背後からにゅっと出てきて女の子に抱きつく40歳くらいのおじさん……あれ? この子アヤじゃないの? エリなの?


「もう興奮の連続だよー! 行ってよかったー」


親子が再会して喜び合ってるみたいだけど、この思いっきりぶんぶんと振ったこの両手の行き所はどこへもって行けばいいんだろう?


「ヤス兄、見れば分かるでしょ? アヤちゃんは日本人とフィリピン人のハーフだよ。さっきの子どう見ても純日本人だったじゃん」


……純日本人とか分かるわけないやん。どうやって判別すればいいんだよ。

キョロキョロと周りを見渡してみるけれど、白人黒人黄色人種の3通りくらいは見分けられるけど、どれが日本人でどれが中国人でどれが韓国人かなんて、外見だけじゃさっぱりだ。

向こうから声をかけてくれないかなあ……。


「おっにいちゃーーーん! おっはー! ひっさしぶりー!」


「んぎゅっ!?」


と、突然背後からぎゅっと抱きつかれた。だ、誰だこの女の子とか思いつつ、うっわ、めっちゃやらかい……と思ってしまう、ダメダメな俺。

多分この子がアヤちゃんなんだろうけど……実際に会ったのに全然思い出せん。後ろから抱きつかれてるので顔がしっかり見えない。ちゃんと見れば思い出せるかなあ……。


「おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん! 会いたかったよー! あ、サツキもおひさー」


「おひさー、アヤ。10年ぶり?」


「そうだねー、10年ぶりだねー、サツキ。10年前よりクールになった?」


「アヤが前と変わらなさすぎなだけじゃない? 一目見てアヤだって分かったよ」


「そっかなー? これでも結構私、おっきくなったよー?」


ああ、うん、おっきいねー……、俺がそう思った瞬間、サツキにギロッとにらまれた。

何で俺が思ったことがさつきにはまる分かりなんだろう。


「それにしても、アヤってそんなにヤス兄に懐いてたっけ? 私の中では、アヤってヤス兄をいじめてた記憶しかないんだけどなー?」


「そんなことないよー、私は10年前からこんな感じだよー。それに10年ぶりなんだもん、しっかり充電しないとー! ねー、おにーちゃん!」


「んきゅう……」


いつまでも抱きつかないでえ……俺の理性がどこかへ行ってしまいそうですぅ……。


「ほら、ヤス兄、いつまでも惚けた顔してないでよ。だらしないなあ、アヤもそろそろ恥ずかしいから離れてよ。私、2人おいて先に帰るよ」


「いいよー、サツキが先に帰るんだったらアタシが帰り道、ずっとおにーちゃん独占するんだから。ねー、おにいちゃん!」


「……………………」


「おにいちゃん? どうしたのー?」


「ヤス兄、抱きつかれるのに耐性がないから、頭のねじが吹っ飛んだんじゃない? だからそろそろ離れなよ、アヤ」


「あー、やっぱりサツキはサツキだねー。イライラしてるのが丸分かりー。このブラコンー」


「うるさいなあ……私、先帰るよ」


「あ、ごめんごめん! 離れるから許してよー。『今は』だけど」


……あ、ようやく抱き疲れた感触がなくなったあ……ちょっと残念だけど、ほっとしたー……。

ようやくマジマジと顔を見ることが出来た。確かにサツキの言うとおり、ツインテールの茶髪で小麦色の肌をしてて、目はパッチリした子。うん、しかもめっちゃかわいい……けど、誰だったっけなあ。


「改めまして、お久しぶりです! 近藤彩、10年振りに日本に帰ってきました! これから最低3年間、出来れば一生、お世話になります! よろしくお願いしまーす!」


……はあ、すっごい元気な子やなあ。

まあ、とりあえずよろしくです。

こんばんは、ルーバランです。


祝? 100万字突破です。


アヤちゃんは父の兄の娘ですので、名字は一緒の近藤です。イトコ、好きになってくれれば嬉しいです。


それでは今後ともよろしくです。

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