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393話:4月1日

ショートコントについてボソッと適当に感想を言ったら、ユッチにはぽかぽかと殴られ、サツキには『あんなに一生懸命考えたのに!』と文句を言われ、キビ先輩には『口は災いの元だよー』と苦笑いされた。

……そんな事言われたって、じゃあなんて言えばよかったんだよ。

その後もがやがやと盛り上がっていたけれど、結局20時になる頃にはユッチとサツキがウトウトしはじめて、布団敷いて寝かしつけていたら、その間にキビ先輩が俺の布団で寝ていた。

まあ、疲れてたもんなあ……ただ、俺はどこで寝ればいいんだろう? キビ先輩と一緒に寝たら……次の日殺されるよなあ……サツキと一緒に寝ても殺されるよなあ……。しゃあない、居間で寝るか。






「おはよー、ヤス兄」


「おはよ、サツキ。と言ってももう12時だけどな」


9時に起きてから、ずっとずっと暇で仕方がなかった。もう少し寝たいと思っても、居間で座布団を敷いて寝てたから、なかなかまともに眠れなかった。

今日は4月1日。新年度が始まる。一応、今日から2年生なんだよなあ。入学式とかがないと2年生になった実感がわかないけど。


「かたい事言わないの、まだユッチ先輩もキビ先輩も寝てるんだし」


と俺の嫌味を軽く流して、食卓について朝ごはんを食べ始めるサツキ。

ユッチとキビ先輩はものすごく疲れてたのか、一向におきてこない。家にいても気が休まらないって言ってたからなあ……合宿に行く前から疲れてたのかもな。

まあ、ここでぐらいはゆっくり休んでくれ。


「ヤス兄、今日って4月1日なんだよねー」


「そだぞ、サツキも名義上は今日から高校生だ」


今から楽しみだ。サツキと一緒に通う登下校、一緒に屋上で食べるお昼ごはん、一緒に励ましあって頑張る部活動……ああ、これぞ花の高校生活だよな。


「それでさ、ちょっとだけ真面目な話していい?」


「ん、何だ?」


珍しい、真面目な話し大嫌い、いつでも笑って過ごしたいサツキのはずなのに。


「私ね、今までヤス兄に隠してたことがあるんだ」


「…………え?」


ご飯を食べながら突然打ち明け話を始めるサツキ……サツキの事で知らないことなんてないと思ってたのに、ちょっとショックだ。

一体隠してたことってなんなんだろう?


「実は私ね……ずっと前からケンちゃんと付き合ってるんだ」


「はぁ、ケンと付き合ってるんだ……は!? ケンと!?」


いやいや!? ありえねえだろ!?


「いつ言おうかすごく迷ってたんだけどね、ケンちゃんとも『そういう話をヤス兄にしたら、ものすごく気まずくなるからヤス兄の前ではただの友達のフリしてようね』って決めてたんだよ」


「あ、え、う? は? ケンが? サツキと?」


「でも、せっかく同じ高校に通えるのにコソコソと付き合うって、やっぱり嫌だよね、だから今言おうって思ったんだー。びっくりした?」


「……び? びっびっびっびっびー」


「ありゃ? ヤス兄? 大丈夫?」


「だ、大丈夫だよー? ボクはしにましぇーん」


いや、やっぱり死のう。うん、まず、ケンを殺して、その後サツキを殺して、最後に俺も死のう。いや、ケンは置いといて、サツキと俺だけで死のう。


「あ、あれ? そんなにショックだったの? ヤス兄、目が怖いよ? というか今日は4月1日だよ? エイプリルフールだよ? 1年で1日だけウソついてもいい日だよ?」


「……サツキを殺して、俺も死ぬ」


「ヤス兄! だから嘘だよ! ケンちゃんと私が付き合うわけないでしょ!」


「……嘘?」


「そう、嘘」


……何だ嘘か……よかった! 嘘で!


「ヤス兄、それくらいで無理心中しようとしないでよ。ものすごい怖かったよ」


「いや、サツキが誰かと付き合うことになるなんて、死んでも考えられない」


「まあ、きっと当分はないから安心してよ。と言うかさー、私がケンちゃんのことなんて好きになるわけないでしょ? 友達だったらいいけどさ、ケンちゃんのどこに好きになる要素があるの? そこで嘘だって気づいてよ」


……ケン、なんだかものすごいひどいことを言われてる気がするぞ。頑張れケン。


「いやまあ、やっぱりさ、エイプリルフールでもさ、ついていいウソとダメな嘘があるじゃん? こうもっと、しょうもなかったり、ははっと笑えるような嘘をつこうよ、サツキ」


「んー……ヤス兄だったら分かってくれる嘘のつもりだったんだけどなー……あ、そうそう、もう1個別の話なんだけど」


「ふっ、また嘘だろ? 次はだまされないからな」


「えっとね、ヤス兄、アヤちゃんって覚えてる? 私と同い年の」


ええと……アヤ……アヤ……。


「ええと、小学校6年生の時に俺に告白した子の事か?」


「へえ……ヤス兄ってばもてるんだねー」


はう!? めっちゃヤブヘビ?


「まあ、それは後でじっくり聞かせてもらうねー。私達の従妹にアヤちゃんっていたでしょ?」


「……知らん。そもそも俺たちって従妹いたんだ?」


「私達が5歳くらいの時に会ってるよ。伯父さんも伯母さんもいるんだからいてもおかしくないでしょ? なんで覚えてないの?」


だって会わないし。母方の伯父さんはアメリカ、父方の伯父さんはフィリピン、伯母さんは北海道だったっけか。どうやって集まれと言うのだろう?

5歳の頃、従妹に会ったことを忘れてたって、俺は悪くない……ところでアヤちゃんという従妹はどこの子供なんだろう?


「それでね、今度従妹のアヤちゃんが日本に遊びに来るんだってー。フィリピンから飛んで来るんだよ!」


「ほおほお……いつごろ来るんだ?」


そうか、フィリピンのところの従妹か。ええと……あそこの伯父さんは国際結婚してたはずだから、アヤちゃんってハーフの子だったはずだよな……ううん、全然思いだせん。誰だ、アヤちゃんって。ほんとに会ったことあるんかなあ。


「入学式前から、短くても3年間だって。同じ高校に通うことになるってこの前電話で聞いたよ。3年間よろしくって伯父さんが」


「はあ……よくもまあ、そんな分かりやすい嘘を。なんでわざわざこっちの高校に通わせる必要があるんだよ。さっきの嘘の方がよっぽど真実味があったぞ」


「む、嘘だと言うか、ヤス兄。ほんとなのに。到着は明日だよ。明日中部国際空港に到着するんだから」


「はいはい、分かった分かった」


全く、そんな嘘、誰が信じるんだか……。


TRRRRR、TRRRRR……。


……このタイミングで電話って……すごい嫌な予感するわあ。

そんな嫌な予感を感じながらも、とらなきゃしょうがないので仕方なく電話を取る。


「もしもし近藤です」


「……もしかしてお兄ちゃん? お兄ちゃんだよね!? あたしだよ、アヤだよ! 明日日本に行くから! 迎えよろしくね! お兄ちゃん!」


……ええと、マジですか? 覚えてないのに……。

なんだか2年生になってもどたばたしそうな1年になりそうやなあ……。

こんばんは、ルーバランです。


従妹のアヤちゃんは影さんのアイディアです。これから彼女がどうなるかは未定(^^;

影さん、ありがとうございました。

2年生に向けて、新しい人たち、まだまだ募集してますので、よろしければよろしくお願いします。


それでは今後ともよろしくです。

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カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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