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391話:うんがない

合宿終わったその日。ポンポコさんも自転車に乗って帰るのはさすがにきついと思ったのか免除してくれた。

とりあえず帰って、さっさと寝たい……と思ってたのに。


「かんぱーい!」


『かんぱーい!』


ううう、何で宴会なんてしてるんだろう。


「だってヤス兄、家に帰ったら盛大にお疲れ様会するんだって言ってたじゃん」


それは言ってたけど、まさか自分の家に帰ったその日、3月31日にやろうなんて思ってなかったよ。

出来れば明日か明後日くらいになってからやりたかったなあ……。

家に帰ってから大慌てで居間を飾って、ピザハットでピザ注文して、スーパーで2リットルのジュースとサラダを買って乾杯。準備する時間なんか全くなかったもんだからほんと適当。

まあ、人が揃えばそれだけで宴会になるよな。


「ヤスう、そんなくらい顔するなあ! もっともっとはしゃげよお!」


ユッチ、絶対すぐにつぶれるくせに。無理してはしゃいでるのが丸分かりなんだよ。なんだか意地悪したくなって、ユッチのふくらはぎのあたりをちょいとつついてやる。


「ふぎゃあ! ……な、なにするんだよお!?」


それだけ筋肉痛がひどいのに、よくお疲れ様会をやりたいなんていうよなあ。自分も足がパンパン。

お疲れ様会に参加しているメンバーはキビ先輩、ユッチ、サツキ、俺の4人。ほとんどの人はさっさと帰った。

キビ先輩とユッチは何で家にくるんだよ……帰って寝たくないのか?


「キビ先輩、ユッチ先輩って家に帰らなくていいんですか?」


ナイスサツキ! よく聞いてくれた!


「だって、家に帰ると気疲れするんだもん。ヤスの家のほうが疲れないし、素が出せるし」


……それおかしいやろ。家が一番落ち着くはずじゃん。


「ボクもお。今アキラお義姉ちゃんが8ヶ月で、マコトお姉ちゃんが3ヶ月なんだよお」


「……はぁ?」


「妊娠妊娠、ヤス兄」


「………………………………ああ!」


「反応鈍いよ。ヤス兄」


や、だって高校生の自分にとっちゃそういう事ってほとんど縁がないっすよ?


「マコトお姉ちゃん、今すっごくつわりがひどいみたいでさあ。家にいるとずっとピリピリしてるんだよお。ほんとはおねえちゃんのために家にいなきゃいけないと思うんだけどお……家にいると息が詰まっちゃってさあ」


はぁ……大変なんすね。うちの母さんは『今回は全然ひどくないから元気元気』って言ってたけど、やっぱり個人差が大きいんだね。


「子供の性別は分かってるの?」


「どっちも生まれるまでは分からないでいたいって言って、知ろうとしないんだよねえ」


ふうん……しかし、いきなり姪っ子か甥っ子が2人も出来るのか、ある意味経験できないぞ。


「そんな気が重くなるような話はここまでにしてさ、ヤス、何か芸やってよ。もしくはすべらない話」


「はあ!? キビ先輩、どんな無茶振りですか!?」


どんな芸人さんだって、前振り無しに何か面白い話してって言ったってほとんど話せないもんなんだぞ。


「ああ、ボクもヤスのすべらない話聞きたあい!」


「いや、無理だから」


あれ、友達同士で1回だけやろうとしたことがあるよ。無理だよ。途中でネタが尽きるよ。めっちゃ面白いと思ってたのにウケなかった時とか、悲しすぎるぞ。


「ヤス兄、大丈夫。すべっても思いっきり笑ってあげるから」


それは笑うの中身が変わっている気がするぞ、サツキ。『あはは』って笑うんじゃなくて、『はんっ』って鼻で笑うってことだろ。

それはいややなあ……ええとええと……。


「俺ってさあ、運がないじゃん」


「うん」


サツキ、ギャグで言ってくれたのか本気なのかどっちなんだろう? 前者で言ってくれたのだと思いたい。


「でさあ、やっぱりついてついてつきまくるようになりたいんだよ。んで、朝の占いで1位! って時があってさ。ラッキーカラーはこげ茶色、ラッキーアイテムは鳩ってあったから、黒糖パンをベンチに座って鳩にあげてたんだ。パンをどんどんあげてたら、鳩がものすごい集まってきてさ、これがいっせいに飛んだら面白いだろなあって思って、ドン! ってその場で地団太をふんだんだ。そしたらバババア! って鳩が飛んで、すっげえ壮観なんさ。おおすげえ、こんなの見れて今日めっちゃ運がいいやんって思ったんだ」


「で、鳩のウンコがついたんだねえ。うんうん、ウンついてるねえ。それでそれでえ?」


……ユッチ、それで終わりだよ。先にオチを言ってどうするよ。

ええと、こっからオチをつけんの? ワクワクしながら聞いてるユッチをどうすればいいんだよ。


「めっちゃ体中ウンコだらけの状態になって、家に帰ったらその日の夕飯がカレーだった」


「だ、だいじょうぶだよお! 鳩の糞とカレーは全然色が違うからあ!」


……もういいよ、ありがとうユッチ。

こんなもんだよ俺の話術は。これ以上フォローするのはやめてくれよ。

次のすべる話、誰かに期待します。

こんばんは、ルーバランです。


すべらない話、大好きです。でも、友達同士でやっても全然盛り上がらない……くやしい。


とりあえず一言、カレーを食べてた人ごめんなさい。


それでは今後ともよろしくです。

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カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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