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386話:しりとり

昼ごはんの最中、昨日までは会話も結構あったけど、今日は午前中の練習がきつかったのと今までの疲れも重なり、誰も口を開こうとしない重苦しい空気。

……きっつう……。


「ううん……3日目、午後練習は自主練習にしましょうか。練習する元気がある人だけ、練習に参加すること。疲れている人は練習せず、休養をとること」


『はい』


全員の食事が終わったころあいを見計らって、ウララ先生が話をしだす……よかった。今日の午後練習もやろうとしたら100パーセント撃沈する自信がある。


「と言っても、ユッチ、サツキ、ヤスの3人は練習禁止。3人ともちょっとオーバーペース気味だしね」


「えええ!? ウララ先生、ひどいよお!」


「文句は認めません。大体ユッチ、午前練習と午後練習以外でも走ってたでしょ? 体を休めないとダメです」


「……はあい……」


……ユッチ、まだまだ走り足りないのか。すげえなあ。俺はもう走りすぎた気分だよ。


「練習に参加する人は13時半に玄関に集合すること」


『はい』


「それでは解散! ご馳走様でした!」


『ご馳走様でした!』









「ううう……暇だ暇だ暇だあ……走りたいよお」


「ユッチ、うるさいっす。疲れてるんす。俺は寝たいんす」


練習にいけないと分かったら、男子部屋に居ついて延々と俺に愚痴ってくるユッチ。ってかユッチ、元気やん。練習に行ってこいよ。完全に寝ていたのに、ユッチが入ってきてたたき起こされ『暇』を連発する。おかげで少々不機嫌な俺。

男子は俺を除いて全員自主練習に行った。女子も練習禁止を言い渡されたサツキとユッチ以外は全員練習に行ったらしい。マネージャーをしてるポンポコさんとミドリちゃんも練習についてった。昼ごはんのときなんてお通夜みたいな顔してたくせに、みんな元気やね。


「ねえねえ、ヤス! なんかして遊ぼおよお」


……ユッチ、人の話をきいとくれ。俺は寝たいんすよ。


「サツキがあっちの部屋で暇してるんじゃないのか? あっちでサツキと遊んでくればいいやん」


「サツキちゃん、部屋に入ったら一瞬で寝ちゃったんだよお」


ユッチが来るまで俺も寝てたのに。ユッチに無理矢理起こされたんだが。


「なんでサツキは寝させてあげておいて、俺は起こすんだよ」


「……だって、サツキちゃんの寝起き、怖いんだもん」


ああ、そう言えばユッチってサツキにめっちゃ怒られた事あったなあ。だからって俺を起こさないでおくれよ。


「ねえねえヤスう、遊ぼおよお」


「……あいあい、分かったっすよ。何して遊ぶ?」


「ええとね、なんでもいいよお!」


……何して遊ぶかは誘った方が決めてくれよ。


「昼寝してあそぼか」


「それ、遊びじゃないだろお!」


ち、同意してくれれば寝れたのに。


「んじゃ、タヌキ寝入りごっこ」


「それも遊びじゃないだろお! というか、さっきのと一緒じゃんかあ!」


くそお、さくっとだまされてくれよ。残念ながら俺にはタヌキのように人をだます能力はないようだ……ううん、残念、ユッチが満足しない限りは、俺、寝られないんだろうなあ。

しゃあない、何かして遊ぶかあ。


「んじゃ、しりとりでもやるか」


「何だよその適当な決め方はあ!」


「いやならいいや、俺は寝る」


寝たいから、やらないほうがうれしい。


「ううう……分かったよお。それじゃ『リス』」


『す』か。『す』ねえ……。


「『酢』」


「ひ、1文字なんて反則だあ!」


そんなことないぞ、これも戦略の内なり。


「じゃあ、スイカ」


「カラス」


「す、スズメ」


「メス」


「す、スズキ」


「キス」


「スロープ」


「プラス」


「う、ま、また『す』? さっきから、『す』ばっかりじゃんかあ! ヤス、ずるい!」


それがしりとりってもんだろ。


「い、いいよおだ。それじゃあ次は『スス』だあ! どうだあ!」


ち、俺が『す』にされたか。ええと、ええと、なんかねえかなあ。


「スモモもモモもモモのうち」


「な、何だよそれはあ! 普通しりとりって言ったら話し言葉使っちゃダメだろお!?」


だって、それじゃ面白くないし。何かないと。


「いいよいいよおだ! ヤスがそういうことをするんだったらボクだってそういうの使うんだからあ! ええと、ええと……『父の恩は山よりも高く母の恩は海よりも深し』!」


す、すげえ。ユッチがそんな言葉を知ってるなんて。


「さあ、次はヤスの番だあ!」


「『シソ餃子、おいしそー』」


「面白くないよお、40点」


おお、思ったより結構高得点だ。サツキにこんなの言ったら3点か4点くらいしかもらえない気がするし。


「『そ』、『そ』かあ……『滄海変じて桑田と成る』、どうだあ!」


んー、すげえなあ。よくそんなのを知っている。


「『留守にするっす』」


「ええとお……32点くらいかなあ」


下がった……残念。


「そ、そう言えばまた『す』なのかあ……『す』、『す』……『据え膳食わぬは男の恥』!」


はあ、まさかユッチの口からそんな言葉が出るとは。


「ユッチ、意味知ってるか?」


「女が男に『好き』って言ったら男は食べちゃえって意味だろお?」


「ユッチ、食べちゃえってどういう意味?」


あ、顔真っ赤になった。こういう恥ずかしがる顔のユッチ、めっちゃかわいい。


「ええとお……ぼ、ボクに言わせるなあ! ヤスのバカあ!」


「ごめんごめん、ついついユッチってからかいたくなっちゃうんだよな。ま、続きやるか」


そんなこんなで、しりとりとも言えなさそうなしりとりを続けてた。

……ま、全然寝れなかったけど、これはこれでいっか。

おはようございます、ルーバランです。


そろそろ新学期の時期ですね~。

新1年生、こんなキャラクターが読みたい、と言うのがあれば、善処します。メールか感想欄にお書きください。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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