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382話:砂浜ランニング

早朝練も終わり、ついさっき朝ごはんも食べて、いよいよ午前練、本格的な練習が始まる。早朝練習で下見に来た砂浜に、ポンポコさん、ヤマピョン、俺の3人が並ぶ。


「それでは午前の練習を開始する」


「ういーす……」


……ねむい。ポンポコさんの号令に元気よく返事しようとは思うのだが……思いっきり眠い、今ここで砂浜に転がって寝たい。

……ふわあ。今更ながらに朝の4時半におきたのが効いてきた。


「ヤス、きちんとした心構えを持って練習をせねば怪我をする」


「だって眠いんだもーん。寝たいんだもーん」


あかん、眠くてちょっと壊れ気味や。


「……次にそのしゃべり方をしたら竹刀で叩くからな」


「いやあん、『竹刀』でそんなこと、『し・な・い』で♪」


おし、完璧。ナイスギャグや。


「……」


無言で竹刀を振り上げるポンポコさん……ってええ!? そこ、竹刀振り上げちゃだめだろ!?

ヒュッという風切り音が聞こえたと同時に、慌てて後ろに飛んでよける俺。

バシッと竹刀で砂浜を打つ音が聞こえた……こええ。


「ちょちょちょ!? ポンポコさん! 暴力反対!」


「これは暴力ではない。教育的指導だ」


こ、これが暴力じゃないんですか、だったら一体どれが暴力になるんだ……。


「ヤス、もう一度教育的指導をする前にひとつ聞きたい、やる気はあるのか?」


教育的指導をするのは絶対なんだ……。


「あるっす。だが、睡眠量が足りないっす。よく言うっしょ? 『やる気より眠気』」


「それを言うなら『色気より食い気』だ。」


そうだったかな? ま、似たようなもんだからいいじゃん。


「ポンポコさんは色気よりSっ気って感じだよねー」


「……」


ポンポン、と竹刀で地面を叩くポンポコさん。

ええと、悪口を言ったらその時点でまた竹刀で叩くぞ、という意思表示なのでしょうか? 本当にやめてほしい。


「ヤス、ひとつ聞きたいのだが、私のどこがSだというのだ?」


……じ、自覚がないのか。竹刀を持っている時点でかなりSだと俺は思うんだけど。


「いや、俺も去年のポンポコさんはSでもなんでもなかった気がするけど、最近のポンポコさんはすっごいSだと思うんだよね……俺の気のせいかな?」


「ヤス、お前は本当に失礼なやつだな。私のどこがSだというのだ?」


どこがと言われれば、全部と言い返すけど……。


「まあ、私がSかSでないかは今はおいておこう。今日はこの砂浜で練習だ。まだ残り4日あるので、今日はダッシュなどをするつもりはない。ひたすら走ってもらう」


……今、ポンポコさん、『今日は』って言ったよな。合宿中にはダッシュさせるつもりってことか?


「往復5往復程度してくれればいい。久しぶりに参加するヤマピョンもいるし、体を慣らすつもりで走ってくれ。時間は気にせず、ゆっくり走ってくれればいいぞ」


ういうい、了解っす。


「ヤマピョン、んじゃ練習すっか」


「…………………………」


うう、返事なしっすか。


「ヤマピョン、元気だった?」


「…………………………」


首を縦に振ることも横に振ることもしない……や、やばい、言葉が続かない。


「ヤマピョン、練習はしてた?」


「…………………………」


おおい、誰か俺に会話を続ける方法とやらを教えてくれ。この間のもたなさは俺には耐えられないっすよ。ってかヤマピョン、前以上に人見知りがひどくなってないっすか?

前は適当にでも話は続いたというのに……もしかして俺、嫌われたのか?


……も、いいや。練習しよ練習。



アップを済ませ、砂浜でジョグを開始する俺とヤマピョン。俺が前に立ってペースメーカーになり、後ろからヤマピョンがついてくる格好。ヤマピョンが現在どのくらいで走れるかは分からないので、ちょっとだけゆっくりめに走る。

海風が気持ちいい……潮の香りというのはこういうのを言うんだな。こういう気持ちよさがあれば、いくらでも走ることが出来そうだ。

ざっざっと砂を蹴る2人の足音。それを見守るマネージャーが1人。


……おお、すげえ。なんだかすごく部活動っぽい。

頑張るぞ、俺。







「き、きつかった……」


たかだか10キロのジョグだと思って侮っていた。

砂に足をとられ、全然思ったように走れない……足に力を入れないと、全然走れん。気持ちええなあと思えていたのは最初の4キロくらいまで。

……この砂浜で、今度はダッシュをするのか……きつすぎるだろ。


「うい、ヤマピョン、お疲れっす」


ヤマピョンは5キロでダウンした。やっぱりずっと練習していなかったみたい。

そんな状態なのに、何で春合宿に参加する気になったのかは知らないけれど、秋ごろの状態まで戻るには、ちょっと時間がかかりそう。


「…………………………」


ううう、本気で全く返事してくれないよう……。


「ヤス、お疲れ」


「ありがとっす、ポンポコさん」


「ヤマピョンもお疲れ。しっかりとダウンをして、午後からの練習に支障をきたさないようにな」


「…………うん……」


……なんでや、何で俺には返事しないで、ポンポコさんには返事するんだ。俺、何か嫌われるようなことしたかなあ……。

こんばんは、ルーバランです。


最近執筆頻度が落ちていてすみません。


仲があまりよくなくても、2人以上で練習するって、なんだかいいんですよね。

1人での練習ってきっついきっつい(^^;


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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