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380話:ボクっ子

「ふっふっふ……ユッチ、お前には負けん」


「ヤスなんかがボクに勝てるわけないだろお! さあ、選べえ!」


……ユッチは自分でも見えないように2枚、トランプを裏返しにおく。この2枚の内のどちらかがジョーカーか……。どっちだ、どっちがジョーカーなんだ。

ババヌキの今の状況、アオちゃんが1位でとっくの昔に上がり、ついさっきミドリちゃんが2位であがった。

そして残り俺が1枚。ユッチが2枚。ユッチが持っているうちの1枚がジョーカーで、どちらかもう1枚が俺の上がり札であるジャック……どちらだ。どちらがジャックなんだ。


「くそう、さっきまではユッチの顔を見とけばどっちがジョーカーか分かったのに……なんで教えちゃうんだよ、ミドリちゃん」


「私は上がりましたから、ユッチ先輩の不利がばれても、困りませんし」


「俺が困るだろ。ものすごく。ユッチ、ババを引こうとすると顔がめっちゃにやけるんだぞ。それさえ分かれば、勝つのなんて簡単だったのに」


「それじゃ面白くないじゃないですか。そもそも私はヤス先輩に負けてほしいですもん」


「なんで!?」


全く、ミドリちゃんは何を考えているんだ。あがったからっていい気になるなよ。


「ユッチ先輩が泣きそうな顔するよりも、ヤス先輩がいじられて喜んでる顔を見るほうが面白いじゃないですか」


「いじられて俺は喜ばないから!」


「え? そうなんですか? 今日だってポンポコ先輩にいじめられて喜んでたじゃないですか?」


「喜んでません! 苦しんでます! 明日はもっと苦しみそうで、正直恐怖なんです!」


「でも、それでもポンポコ先輩についていくヤス先輩はやっぱりいじめられて喜ぶ人なんですよね」


「……」


もういいよ、俺はそういう人で。普通のここでの会話は、『なんでそんなにきつい思いをしてでもポンポコ先輩についていくんですか?』『ポンポコさんについていけば速くなれると思うからついていってるんだ。ポンポコさんとは強い『信頼』って絆で結ばれてるから、どんなにきつくてもついてくよ』『ヤス先輩……かっこいいですね』みたいな会話じゃないのか? 俺はそんな会話をしたかった……。


「ヤス、さっさと選べえ!」


……しまった。一瞬自分の世界に入ってしまった。きちんと今の勝負のことを考えないと。負けたら暴露話をしなければならないもんな。ここは絶対勝っとかないと。


「ここは、右だな」


1枚のトランプを選びだし、表に向ける。見えた絵は、ジャックの顔。


「おっし! 俺の勝ち!」


案外あっさり勝負が決まった。もっとジョーカーを引き合うような展開になるかと思ったけど。


「……うぅ、一発で決まっちゃうなんてえ……ヤスのバカ……」


「ヤス君、そこはジョーカーを引いてくださいよ。面白くないじゃないですか」


「そうですよヤス先輩」


……勝つために一生懸命やってただけなのに、何でこんなにぶつぶつ言われにゃあかんのやろ。それを言うならアオちゃんだって一瞬であがっちゃったくせに。


「まあ、勝ちは勝ちだ。ほれ、ユッチの暴露話。ユッチは何を話すんだ?」


「ええ? い、言わなきゃダメえ?」


「そりゃそういう約束だっただろ? ユッチ、どんな暴露話をするつもりだったんだ? 負けるつもりなんて全くなかったから、何も考えてなかったって言うのは無しだぞ」


「え、あ、うう……」


……そうやって考えてたな。ユッチのやつ。


「ヤス君、そんなにユッチを責めちゃダメですよ。そんな風に問い詰めたら言えるものも言えなくなるじゃないですか」


……まあ、そうだな。


「んじゃユッチ、どうぞ」


「ええと、ええとお……ボク、会った時はヤスの事だいっ嫌いだったあ!」


「知ってるよ」


「あ、あれえ? 何で知ってるのさあ?」


思いっきり言ってたし。


「そ、それじゃねえ……ボク、今はヤスのこと嫌いじゃないよ?」


「知ってるよ」


嫌われてて、家に泊まりにこられてたまるか。


「ええと……ボク、中学校1年生でおもらししたことあるんだあ」


「知ってるよ」


どこで聞いたか忘れたけど。ユッチがお漏らしした話は知ってる。


「何で知ってるんだよお!? 言うのすごく恥ずかしかったのにい!」


「大丈夫だぞユッチ、中学1年生でお漏らしするなんて普通のことだ。全然恥ずかしくない。高校生になっても大学生になってもお漏らしする人もいるし。お漏らしなんて恥ずかしくないって。お漏らししても気にすんなよユッチ」


「う、うるさいうるさいうるさい! お漏らしって何べんも言うなあ!」


……フォローしたつもりなのに、いやみっぽく聞こえてしまったようだ。あかんなあ、俺。


「ううん、ううん、ほかにほかに……」


あかんなユッチ、自分の暴露話、中々思いつかないようだ。ここは何かフォローを入れてやらんと。


「んじゃユッチ、前々から俺が疑問に思ってたことを1個聞きたいんだけど、それが罰ゲーム代わりってことでいいか?」


「え? いいよお? 何々?」


「ユッチってさ、何で『ボク』って言うんだ?」


「え? え? な、何か変かなあ?」


「変じゃないけど。かわいいけど。けど、なんか気になる」


女の子は『私』『あたし』『わたくし』とか言うのかなあと思ったりしてたから。ボクって言う女の子ははじめてみたのでちょっと気になった。


「ぼ、ボクが女の子らしかったら変じゃない? 前はボクもボクって言ってなかったけど、変って言われてからはずっとボクって言ってるんだあ……」


「そんなことないぞ。きっとユッチがあたしとか言っても、別に似合うと思うぞ」


ええと、さっきのセリフだと……『あ、アタシが女らしかったら変じゃない? アタシはアタシが一番似合うんだから!』……おお、なんかすごくかわいらしいぞ。


「ほらユッチ、アタシって言ってみ」


「え、ええ……? ぼ、ぼ、ぼく……」


「ボクじゃなくてアタシって言ってみ?」


「あ、あ、あ、あた…………………………」


おお、後ちょっと、もう少し。


「言えるかああ! ヤスのバカああ!」


ユッチは立ち上がって俺の頭をバキッと殴って、ドタドタと部屋を出て行った……頭痛いっす。ものすごい殴られ損な気がするっす。


「ヤス先輩ってMですけど、Sでもありますね。ちょっと感動です」


……ミドリちゃんには変なところを感動させられるし……なんだかなあ……。

……今日はなんだか疲れた。もう、寝よかな。

こんばんは、ルーバランです。


ボクっこは中学校まではみたことあります。高校生はボクっ子はいなくなったなあ……。


どうでもいい話ですが、読売オンラインのトップページに

『招致演説を終えロゲ会長と握手する体操少女・三科怜咲さん』

とありました。

……この見出しを見た瞬間『招致演説を終、『エロゲ会長』と握手する体操少女』と読んでしまった自分……もうなんか自分、終わってると思いました(-.-;


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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