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373話:ぶたじる? とんじる? 

今日は3月26日、通知表ももらって、とうとう春休み突入。春休みになったからといっても、部活が毎日あって学校に通ってるので、あんまり春休みという気分にはならない。

今日の夕飯はサツキと2人で食べてる。昨日まではユッチとケンもいたけど、明日からの春合宿の準備で、今日は家に帰っている。

夕飯メニューは筑前煮とほうれん草のおひたし、豚汁。和風に取り揃えてみた。

……豚汁、うめえ。


「ヤス兄、豚汁ってさ、ぶたじるって言うの? とんじるって言うの? どっちで言えばいいんだろうね」


「そんなの決まってるじゃん、ぶたじるだろ?」


「ええ? なんで?」


「理由は簡単だ。2つの漢字で成り立つ単語は、音読みには音読みを、訓読みには訓読みをつなぐべきというルールがあるんだよ。具体的な例として、牛丼という言葉をみてみよう。そうそうすると、『牛』という字は音読みをしていて、『丼』も音読みをしているだろ? 野原も『野』が訓読み、『原』も訓読みで『のはら』って読む。決して『やげん』とは読まないだろ? こうやって考えていくと、『豚汁』は『ぶたじる』と読まれるんだ」


どうだ、完璧な回答だ!


「それじゃあ豚丼は?」


「とんどん」


間違ってないだろ。ぶたどんというのは間違いのはずだ。


「朝夕は?」


「あさゆうでも、ちょうせきでもよろし」


どっちでも間違いではない。


「反物は?」


「たんぶつ」


「……ヤス兄、それは『たんもの』って読むんだよ?」


あれ? そうだったっけ? でも音読みには音読みをってルールから行くと、明らかにたんぶつのはずなんだけど。


「野宿は?」


「の、のやど?」


あ? あれ? 俺、どこかで間違えたかな? 何でこいつ、のやどって言わないんだろう?


「牛鍋は?」


「ええと……う……うしなべ?」


きっとあってるよな。うしなべだろ。


「鶏肉は?」


……ええと、け、けいにく? けいにくなんて言わないよなあ。けいしし? ……絶対に言わない気がする。


「じゃあ『豚肉』って『とんにく』って言わなきゃいけないの?」


……うう、兄をいじめないでくれよサツキ。


「ま、まあさ、ぶたじるでもとんじるでも好きなほうを言えばいいんじゃないのかな? そ、それよりさ、明日から春合宿だよな」


「あ、逃げた」


逃げたさ、悪いか。都合が悪くなったら話題から逃げるさ。


「ま、いっかあ。そだね、とうとう明日から、春合宿だねー」


「そだな、そろそろ春合宿だな……」


自分で話題振っといて、自分で企画したはずなのに、何でこんなにローテンションになるんだろう、俺。


「私、すごい楽しみなんだよね」


「なんで? この前ウララ先生に聞いたけど、短距離もすっごいきっつい練習メニューを予定してるって言ってたぞ。内容は教えてくれなかったけど……なんか俺、想像するだけで憂鬱なんだけど」


「ヤス兄ってばネガティブだねー」


悪いか。どうしても悪い方悪い方に想像しちゃうんだよ。悪い方に想像しといた方が、ショックも少ないし。

ってかさ、ポンポコさんから1日40キロメニューを組むとか言われたら、ネガティブにもなるだろ……ほんとポンポコさん、ごっつキッツいメニューを組むんだからなあ。


「確かにちょっと練習メニューは怖いんだけどね、この春合宿の成果しだいで、もしかすると春のインターハイ予選に1年の時から出られるかもしれないでしょ? 私、今度のインターハイ予選は400メートルと800メートルに出場するつもりだから。それとマイルのリレーメンバーの1人にも選ばれるつもりだから。私、マイルは2走走るのが目標だよ」


……2走て。マイルの2走ってエースナンバーなんですが。

サツキ、部活でめっさ燃えてたけど、そこまで野心を持ってたんすね。ちょっとびっくりです。


「ってかものすごい野心家だな、サツキ。それってユッチとアオちゃん、キビ先輩にも勝つってことだよな」


まあ、400を走れば現在アオちゃんには走り勝ってて、ユッチ、キビ先輩ともいい勝負してるから、1年生だから外す、とかウララ先生が言わない限り、多分マイルメンバーに入ることは出来るかな。


「もち。ゴーヤ先輩にも負けるつもりはないよ」


後1歩で東海大会出場というゴーヤ先輩にも負けるつもりはないって……ほんとに負けず嫌いだね、サツキ。

まあ、当たり前か。選手としては、試合は出てなんぼだよな。んで、やっぱり試合に出たら、勝ちたいと思うよな。そう思って当然だよな。


「チームの空気が悪くなるかもしれないから言ってないけどね」


「言わなくていいから!」


後輩がそんな生意気なこと言って笑って聞いてくれるなんてきっとキビ先輩くらいっすよ!? ゴーヤ先輩とか、意外と厳しいから!

……でもまあ……。


「……うらやましいよなあ……」


「え? 何がうらやましいの? ヤス兄」


「や、だってさあ。選手が5人もいて、切磋琢磨してるって思うとさ、やっぱりうらやましいじゃん」


「後輩に期待だねー、ヤス兄」


まあ、そうなんだけどな……ってか最近、いつもいつも来年に期待してる気がする……これじゃダメだよな。もうちょっと今も大事にしないとな。

こんばんは、ルーバランです。


音読み+訓読み=重箱読み

訓読み+音読み=湯桶読み


というそうです。初めて知りました(^^;

ちなみに、うちの地方では「とんじる」でした。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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