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368話:ホワイトデーのお願い

今日は3月15日、日曜日。

一昨日はあれから、一生懸命サツキをなだめ、ようやく夕方に、何とか機嫌を直してもらった。

それからユッチとサツキと俺の3人で鬼まんをつくり、3人で食べた。

2人ともおいしいおいしいって食べてくれたけど……これ、サツキへのホワイトデーにするつもりだったのに、3人で作って食べた、じゃあんまりホワイトデーのお返しっぽくないよな……うーん、どないしよかな。


「ヤス兄、難しい顔してどしたの?」


今はもうユッチも家に帰り、サツキと2人で夕飯を食べている。

今日の料理はシチュー。ビーフシチューとクリームシチュー、どっちにするかを言い争ったが、結局クリームシチューになった。にんじん、ブロッコリーといった色とりどりの野菜と、あっさりとしてるけど食べ応えのある鳥もも肉が食欲をそそる。うん、うまい。


「んー? ちょっと考え事」


奇をてらうと料理って失敗するし……、かといってクッキーじゃな。去年も一昨年も3年前もクッキーだったし。

今年もクッキーにすると毎年毎年ワンパターンだから、『ワンパタ兄』とか変な称号をつけられそうだ。3月15日になってからホワイトデーの内容に悩むと言うのも変な感じがするけど。


「それにしても最近お父さんとお母さん、仲いいよねー。毎週デートしてる」


毎週というか、毎日みたいだけど。サツキが寝てから『今日はデートしてくる♪』みたいなメールが送られてくる。『今日は』じゃなくて、『今日も』だろって突っ込みを入れたくなるが、我慢してる。自分の子供にのろけないでくれ。


今日も父さんが母さんを夜景デートに誘って出かけていった。バレンタインのお返しらしいけど……あかん。かゆすぎる。

ううん、俺にもサツキを夜景デートに連れてけるくらいの金があれば、俺も連れてくんだけど。

やっぱりクッキーかなあ……でも、4年連続クッキーはダメだよなあ。


「サツキ、何がホワイトデーのお返し、何が欲しい?」


「安らぎ」


……サツキ、俺にどうしろと。安らぎを与えるには俺は何をすればいいんだろう?


「サツキ、それ以外で」


「くつろぎ」


「……それ以外で」


「癒し」


……サツキ、お前そんなに病んでいるのか? 何でそんなに安らぎとか癒しとか、疲れた30代サラリーマンが言いそうなことばかり要求するんだよ。


「冗談だよヤス兄。そんなに頭を抱えないでよ」


「サツキ、冗談でもそんなことを言わないでくれよ、あせるから。んでさ、サツキは結局何かほしいものある?」


「ええと、じゃあ『ホリエモン』」


サツキィ……勘弁してよ。


「あはは、ごめんごめん。でも、今年はどうしたの? いつもクッキー焼いて、それでおしまいだったでしょ?」


『ワンパタ兄』になりたくなかったのに、すでにサツキのイメージは『ワンパタ兄』だったのか。


「今年はまた別のにしよかなと思って考えてたんだけど、何にも思いつかんまんま、今日になってしまった」


「別にそんなに気にしなくてもいいのにー。ヤス兄のクッキー、私好きだよ」


ありがとです。サツキ。


「けど、今年はそれじゃおれの気が済まない。できればおいしくてうまくてお手軽でサツキを満足させるそんなのを作りたいんだ!」


「ヤス兄ってばせっかく私がいいよっていってるのに、頑固だねー」


うるさい、これは俺の意地だ。


「というわけでサツキ、サツキが欲しい物を言ってくれ。俺が想定の範囲内でかなえるから」


「私が一番欲しいものは、どんなに頑張っても絶対手に入らないものだから、言ってもダメだね」


なんだそれ、ものすごく気になるセリフを……。


「それに向かって頑張っていけば、もしかすると叶うかもしれないだろ? とりあえず言ってみろ?」


「んーと……『笑い』」


「『だっふんだ!』『かいーの』『あいーん』『だっちゅーの』『ゲッツ!』『エスエージーエー佐賀!』『ぐー』『間違いない』『そんなのかんけいねぇ!』『おっぱっぴー!』『ふぉー!』『アヘアヘ』『あんめーま』『コマネチ!』」


「……」


「……」


「……」


笑えよ、サツキ。


「ヤス兄、人まねだけじゃいつまでたっても人より上には立てないんだよ。初めは人まねでも、いつかは自分って言うオリジナルを作らないと」


……何で突然そんなことを言われるんだろう。ってか1個くらいちょっとくらい笑ってよ。


「まあ、俺のすべった話はおいといてさ、サツキさん、とりあえず他にもうちょっと簡単そうなことでお願いします」


お願いだから、ほんとにもっと出来そうなのを頼んでよ。クレープとかケーキとか。ホワイトデーなんだし。


「ええとねー、それじゃ『奇跡』」


……だから無理だから。さっきからなんでそんなに想定の範囲外のことばかりを言うんだよ。


「ヤス兄。私、ヤス兄なら奇跡を見せてくれるって信じてるんだけどなあ」


「や、サツキ、奇跡の意味知ってるか? 『常識で考えては起こりえない、不思議な出来事』の事を奇跡って言うんだぞ。サツキの想定する奇跡ってどんなの?」


「んー……えっとね、内緒。ヤス兄ならきっと見せてくれるって信じてるから。頑張ってね、ヤス兄」


……ど、どんなことをサツキは期待してるんだろう?

でも、サツキの期待にこたえられるように頑張らないとな……うん、頑張れ、自分!

こんばんは、ルーバランです。


最近スガシカオの『progress』と言う歌にはまってます。

この歌、めっちゃいいです。


ぜひ、聞いてみてください。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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