表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
363/442

363話:合格発表日

3月12日……今日の分の試験が終わった後、とうとうサツキの合格発表だ。


「ヤス兄、ドキドキだね」


「そうだな……ドキドキだ」


どうか受かってますように。普段は神様なんて信じちゃいないけど、こういうときだけは神様にお祈りしてしまう。

テスト期間の真っ最中と言うことで、ケンもユッチも、サツキと面識がある人たちはほとんど勉強しなきゃということで帰っていった。残ってくれたのはポンポコさんだけ……まったく、ケンもユッチも、薄情なやつらだ。

今、他の大勢の受験者とともに、サツキと俺とポンポコさんの3人で待っている。


「ヤスもサツキもそわそわしすぎだ。もう受験も終わって結果も出ているのだからな。どっしりと待つのが吉だぞ」


……ポンポコさん、人はなかなかそんな風に強くはなれないものなんですよ。

サツキは、自己採点を見る限り、当日の得点はかなり高かった……けど、内申点が芳しくない。ぶっちゃけ合格ラインにぎりぎり届いたか届かなかったか……そんなラインにしかいない。


「なあサツキ、俺が言うこっちゃないけど、もうちょっと先生にゴマすっておけばよかったのに」


「えー? なんで?」


「だってさ、そうすりゃ内申点あがるじゃん。内申点なんて所詮先生にどれだけ気に入られたかで成績が決まるんだから」


いくら内申点は普段の定期テストで決まるって言ったって、先生だって人間。例えば同じ60点のテストの点数だったとき、授業中グースカねてる人には3を、きちんと起きて真面目にノートをとっている人には4をつけたくなる。それが人間ってもんすよ。

特に保健体育・音楽・美術・技術家庭の実技4教科はテストの点数よりも平常点が重視されるもんな。どれだけ下手な絵を描いてても、先生に媚をうっとくと4がもらえたりするかもしれんもんな。


「無理無理。私嫌いな人には嫌いって言っちゃうもん」


……先生には言わないでくれ。


「その代わり、好きな先生には大好きって言っちゃうけどね」


「サツキ、たまには俺にも言って」


「や」


……1文字ですか。1文字で一蹴ですか。俺のささやかな願い、たまには聞いてくれてもいいのに。


「でもさ、先生の中でひとりだけすっごい尊敬できて好きな先生がいたんだよねー。それで、この前クラスメイトと話してた時に、『あの先生嫌い』って言ってた人がいたもんだから、『私は好き』って言い返したんだよ。そしたら『ゴマすっちゃって、感じ悪う』って言われたんだけど、そういうのがゴマをするって言うのかな?」


……ううん……どうなんだろう? ちょっと違う気がする。


「『本音』と『建前』はうまく使い分けろって言うでしょ? でもでも、不思議なことに『あの人は嫌い』っていうのは『本音』になるのに、『あの人は尊敬できて好き』って言うと、『建前』になるみたいなんだよ。不思議だよねー」


うん、それは確かに。愚痴は『本音』にされるけれど、褒め言葉は何故か『建前』にされる。ううん、不思議だ。


「ヤスもサツキも、発表直前だと言うのにまったく関係ない話の雑談が出来るとは、なかなか落ち着いているな」


「違う違う、どうでもいい話をして気を紛らわせたいだけっすよ……っと、そろそろみたいやね」


先生が合格者が書かれている大きな紙を持ってきて、画鋲を使って掲示板に貼り付けていっている。それにあわせて受験者達がわらわらと掲示板周りに集まってきており、俺たちもその波に乗って掲示板の近くに行く。


「サツキが受かってますように……」


サツキが受かっているかどうかで、俺の残り2年間の高校生活が大きく変わってくる……頼む、受かっててくれ。


「サツキ、サツキの受験者番号は何番なのだ?」


「私ですか? 私は039でしたよ」


「『(39)サンキュー!』か。なかなか縁起がよさそうな数字ではないか」


「いやいや、そこであえて俺はこれ見て『(03)おっさん(9)くさい』って言った。サツキに殴られた」


「……ヤス兄、後でもう1回殴るから」


やめて! サツキ本気で殴るんだから! 痛いから!


……さて、変な話をするのはやめて、合格者番号を見るか……。


002 013 026

003 014 028

005 015 030

007 017 031

009 019 032

010 020 033

012 024 034


……もう少し先か。ふう、なんだか緊張してしまって、該当番号の近くを見るのが怖い。


035

038

039

043

047

048

049


「あった! あったよ、ヤス兄!」


「おお、あった、あったぞ! サツキ!」


ほぼ同時に039の番号を見つける、俺たち2人。


「よかったあ……来年から同じ高校に通えるね、ヤス兄」


「そうだな、サツキ! ほんとよかった……」


どんなに平常心っぽく見せていても、やっぱり合格が決まるまではドキドキしてしまう。すごく安心した……。


「おめでとう、サツキ」


「ありがとうございます、ポンポコ先輩。来年から本当の先輩ですね。よろしくお願いします」


「ああ、よろしく頼むぞ。陸上部の期待の新星として待っているからな」


「はい!」


うんうん、よかったよかった……来年からよろしく、サツキ。

こんばんは、ルーバランです。


すみません、最近忙しくて……。

合格発表日はやっぱりドキドキしますね。

自分の書かれているのを見つけたときのうれしさはたまりません(^^


それでは今後ともよろしくです。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ