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355話:やれば出来る子

今日は2月21日土曜日……母さんのドッキリ発言があった翌日。

自分が産む訳でもないのに何だかドキドキしてしまって中々寝付けなかった。おかげで今日はすごく眠い。


「ふわあ……ポンポコさん、おはよー……」


「おはよう、ヤス……1週間に1回はヤスはそんな風になっているな」


なんでだろう? ときどき今日みたいに眠れなくなる日があるからかな。


「弟か妹が出来るって聞いたら興奮してしまって……なかなか寝付けなかった」


「ほお……今になって新しく兄弟が出来るのか」


そうなんすよ。びっくりっす。


「ポンポコさんは今出来るなら、妹と弟、どっちが欲しい?」


「私は母がもう49だからほぼないと思うが……出来るなら妹だな。男兄弟はいらん」


……まあ、5人も男兄弟がいたらそうなるか。


「ヤスはどっちが欲しいのだ?」


悩むんすよー。弟も妹もめっちゃ欲しいし。


「ヤスはどちらにせよ、とても兄バカになりそうだな。今でも兄バカなのだから」


「そりゃそうだ! サツキほどかわいい妹がいたら誰だって兄バカになるだろう?」


「……シスコンは死ねばいい。今日のメニューは400×25で行くか」


ちょいちょいちょい! 待って待って! なんか本数間違ってるって!


「冗談だ、さすがにそこまで練習して壊れたら元も子もないからな」


……ふう……やめてくれよ。びびるなあ。


「そういや、この前ポンポコさん、ユッチに勉強教えてたっしょ? はかどったん?」


「ああ、そこそこにはできたぞ。ユッチはやれば出来る子だ」


そうなのだろうか? 俺と一緒に勉強してた時、やれば出来るやつになったためしがないんだけど。アオちゃんも同じように言ってた気がする……。


「ヤスもアオちゃんも教え方が下手なのだ。ヤスは楽しく教えようとして脱線しすぎている。アオちゃんはきつく教えようとしすぎて、勉強嫌いにさせている。どちらも両極端すぎる」


……そんなこと言われても。というか『元気はつらつらあ!』なんていうやつにまともに教えろと言われても難しいっすよ。


「勉強に必要なのは飴と鞭。ただそれだけだ」


……すげえ、すげえよポンポコさん。どうしたらそこまでの自信がもてるんだよ。夏合宿でユッチを勉強嫌いにさせていたポンポコさんが何言ってやがると言う気分。


「いやでも、ユッチがきちんと勉強しようと思うなんて、とてもじゃないけど考えられないんだよなあ……」


「……ヤス、お前はユッチをなめすぎではないか?」


「や、ユッチなんてなめてもおいしくないし」


「まあそれは確かにおいしくないだろうな……そうではなくて!」


なんか久々にポンポコさん、のってくれたなあ。


「ユッチは一所懸命になればすごい力を発揮する子だ。ヤス、その芽を摘み取ろうとするな」


……いや、俺は何もしないし。というか、発揮する『子』って……ユッチ同い年だぞ。ポンポコさんのが見下してないか?


「そう言えばユッチは理系に進むと言っていたぞ。ヤスとユッチは来年同じクラスになるかもな」


ふうん……来年はユッチが同じクラスになるかもなのかあ……退屈しない1年間になりそうだなあ。


「2年と3年はクラス替えがないそうだから、同じクラスになったら2年間同じクラスになるのだな」


……前言訂正、退屈しない2年間になりそうだなあ。


「ユッチとヤスがいるクラス……と考えるならば、私も理系で出せばよかったな」


「今からでも頼めば変えられるんとちゃう?」


「うむ……それはそうなのだが、クラスが一緒になるとも限らない。そもそも史学科を目指す自分が理系にいてはおかしいだろうし」


「歯学部だったら理系じゃん?」


「史学というのは歴史学だぞ。何か勘違いしているだろう?」


……すみません、勘違いしてました。


「まあいい、今日のメニューは……400×15でやろうか。400メートルは80秒、インターバルは200メートルジョグ、75秒で行こう」


……。


「どうした? ヤス」


「……あのさあ……いつも思うんだけど、ポンポコさんのメニューって長くない?」


インターネットで検索してても、5000メートル走る人で400×10とか12は見るんだけど、15までやるのはあんま見ない。それくらいやってんのってフルマラソン走る人くらいじゃないの?


「ヤスはすぐに気持ちが折れるからな。途中で自分で自分に言い聞かせている、『これ以上は無理』と。試合中、そう思わせないようにたくさん走れ。お前もやれば出来る子だからな」


……ポンポコさんにとっては俺も子ども扱いなのね。同い年なのに。


「さあヤス、やるぞ」


「何を?」


「……ヤス、今日のメニューは400×20に変更だな」


……ほんの冗談なのに……ポンポコさん、ちょっとくらい冗談通じてくれよ。













……。


「ヤス兄ー、生きてるー?」


……。


「死んでたら返事してー」


……死んでたら……返事できない……。


「ダメだー、まるで屍のようだー」


……生きてまーす……はぃ……。動きたくない……。


「ヤス兄ー、もうポンポコ先輩からかうのやめたらー?」


……そうですねー……いつも思うのに、いつもやる。バカな俺です……。

おはようございます、ルーバランです。


『やれば出来る子』と言うセリフを聞くと、ポケビの『グリーンマン』を思い出します。

ウドちゃんが歌ってますが、名曲です。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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