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354話:オレオレ

今日は2月20日金曜日。

ユッチもケンもおらず、サツキもちょうどコンビニに買い物に行ってて居間でひとりテレビをのんびりと見てる。


TRRRRRR……TRRRRRRR……。


あ、電話だ、俺の携帯からか。非通知になってる、誰だろ?


「もしもし、近藤ですけど」


「あ、もしもし、オレオレ!」


……誰だよ。


「俺だってば俺!」


……ケンの声じゃないし……クラスメイトかな?


「ええと、何様ですか?」


「……はぁ?」


しまった! どちら様ですかと聞くつもりだったのに。


「すみません、どちら様ですか?」


「俺様だよ!」


……うん、別に何様ですか? って聞いててもよかった気がする。なんかうまい返しは……。


「ああ、剛田様ですか」


「オーレはジャイアーン、ガキダイショー……って違うだろ!?」


……なかなかノリのいいオレオレ詐欺師様だな。


「ああ、ジェイリーガーですか?」


「オーレーオレオレオレーウィアザチャーンポン! ってだから違う!」


……チャンピオンじゃなくてちゃんぽんになっちゃった。頑張れジェイリーガー。


「ああ、スペインの闘牛士様ですか?」


「ランララランララ ランララランラン ランララランララ ランララランラン ランララランララ ランララランランラン オレ! って俺はトレロカモミロかよ!?」


この歌を知ってるとは。なかなかやるな、オレオレ詐欺師。


「そうじゃなくてだな! こんなことをしてる場合じゃないんだよ!」


「ほおほお」


こんなことにノッてくれたのはオレオレ詐欺師さんだけどな。


「今な、お前の子供がコンビニで万引きをしてつかまったんだ!」


「俺、独身だけど」


『俺、16だけど』って言うと『なんだよ、金持ってなさそうだな』って会話が終わってしまいそうな気がしたので独身って言ってみた。さあ、オレオレ詐欺師さん、どう返答してくるか。


「今な、お前の兄弟がコンビニで万引きをしてつかまったんだ!」


「はあ、サツキがコンビニで万引きしたのか」


……ありえねー。


「そうなんだよ! お前の弟のサツキが」


「妹だけど」


「……っ、妹のサツキがコンビニで万引きして捕まったんだ!」


何でお前が知ってんだとかツッコミを入れたいけど、このオレオレ詐欺師さんの話がどのように迷走していくかも聞いてみたい。


「その後、店長が現れてだな、『いいことさせてくれたら見逃してやんよ』って言い始めて、お前の妹に手を出そうとしたんだ。それを危険に思った妹さんはとっさに万引きしたハサミを取り出してグサッと店長のわき腹に刺しちゃったんだよ!」


……ハサミってそんなに簡単に刺さるもんなんだろうか? つーかハサミを万引きする万引き犯ってなかなかいなさそー。


「ただいまー……ヤス兄、誰から電話? にやにや笑ってどうしたの?」


「ああ、お帰りサツキ。今な、お前がコンビニで万引きして捕まって、店長に暴行されそうになったところをハサミでグサッと刺したって連絡があったんだよ」


「……? ヤス兄、頭大丈夫?」


俺は大丈夫だ。慌てているのは今の会話を全て聞かせたオレオレ詐欺師さんだ。向こうの慌てている声が聞こえてくるのが面白い。


「ち、違うんだ間違えた、万引きをしてつかまったのはお前のもうひとりの妹のメイちゃんだ!」


「俺兄弟はサツキひとりだけど」


「……」


……おい、沈黙するなよ。オレオレ詐欺は勢いが基本だぞ、きっと。


「ち、違うんだ間違えた、万引きをしてつかまったのはお前の腹違いの弟のイツキ君だ!」


「すごいな、店長って男に手を出そうとしたのか」


「……っ」


あ、言葉に詰まった。


「あ、ええとだな……違うんだ間違えた、万引きをしてつかまったのはお前の種違いの妹の葉月ちゃんだ!」


「うん、まあ、母さんが種違いとかありえないんだけど……ええかげん、失礼なやっちゃな。きるぞ」


「すまん、待ってくれ! 違うんだよ、万引きをしてつかまったのはお前の種違いで腹違いの妹なんだ!」


「それって赤の他人だよねー」


……サツキ、顔近い。俺のケータイにサツキの耳を当てないで。ドキドキするからちょっと離れて。


「赤の他人なんかじゃないだろ!? 人類は皆兄弟なんだ!」


なんだか宗教じみてるぞ。俺にどないせいっちゅうんだよ。


「だから助けると思って俺の口座に10万円振り込んでくれよ!」


「……ああ、わかったよ」


なんだか面倒くさくなってきたので適当に返事をした。これで電話きってくれたらいいんだけど。


「ありがと、それじゃな!」


ガチャ、ツー、ツー、ツー……あの、口座番号言ってくれないとどう頑張っても振込めないんだけど、オレオレ詐欺師さん。


「ヤス兄、面白い人だったねー」


「オレオレ詐欺師さんな。ほんと笑いを抑えるのがきつかった。たまにはああいう人から電話かかってくるのも面白いな」


「そだね……あ、電話だー。私とって来るね」


俺とサツキが適当に談話してる時に、家の電話がなったのでサツキがとりに行った。




サツキ、電話長いなー……『え!?』とか『ほんとに!?』って30分くらいキャーキャー騒いでるけど、いったい誰からの電話なんだろうな……あ、終わったみたい。


「ヤス兄ヤス兄!」


「んあ? そんな血相かえてどうしたー?」


「お母さん、妊娠したんだって!」


「……はあ?」


なんか聞きなれない単語がサツキの口から飛び出た気がする……。


「私たちに妹か弟が出来るんだって! 出産予定日は10月1日らしいよ!」


「……マジで!?」


ちょっと前にそんな話してたけど、マジでそんな話になろうとは……いや、びっくりだ。


「はあ……オレオレ詐欺師さん、予言者みたいだねー」


そだな……これがほんとの『嘘から出た真』というやつだな。

うん、新しい兄弟か。妹かな、弟かな……楽しみだ。

こんばんは、ルーバランです。


3人目の兄弟を作るつもりはなかったのに、いつのまにやらこんな展開になってました(汗


それでは今後ともよろしくです。

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