表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
353/442

353話:言葉遊び

2月18日水曜日、そろそろ学年末テストも近づいてきた……。けれど、ユッチの勉強は全くはかどっていない。

……ユッチの勉強のやりたがらなさはマジすごいな、このままじゃ留年してしまうんじゃないかってすごく思う。


「というわけで、今日はポンポコさんが教師になって、ユッチに国語を教えてくれます!」


「……ヤス、教師と言うのはやめてくれ。なんだかむずがゆい」


「それじゃあポンポコ先生かなあ」


「……ユッチ、先生もやめてくれ。私のことはいつもどおり呼んでほしい」


まったく、ポンポコさんってば照れ屋さんだなあ。

今日は俺の家にポンポコさん、ユッチ、俺の3人が集まって勉強会を開いてる。せっかくポンポコさんもいるからということで、今日の科目は国語。


「さて、ユッチとヤス、国語を勉強する時に勉強すべきなものはなんなのだろう?」


「……国語って勉強する必要あんのか?」


「そうだよお。勉強しなくたって点数取れるじゃんかあ」


「成績1のユッチがそれを言うな」


「う、うるさあい! ボクはテスト用紙に名前を書き忘れただけだもん!」


……嘘っぽい。高校生にもなってそんなミスをするやつはなかなかいねえよ。


「ヤスもユッチも間違いだ。確かに国語なんてものは何を勉強すればいいのか意味が分からない」


「だろだろ? 最近教科書に載ってたのでさ、森鴎外の『舞姫』っての読んだんだけど、何が面白いのかさっぱり分からなかったんだよ。男が女を身ごもらせておきながらも、女を置いて逃げようとして、そのショックで女は死んだ……これのどこが面白いんだ? 教科書に載る意味が分からない」


……自分で言っといてなんだけど、歯に衣を着せない言い方をすると、舞姫ってものすごく黒いな。ありえないぐらい黒いな。


「……それは置いておいて、登場人物の感情なぞ、書いている人でもその内分からなくなる。では、一体何を勉強すればいいのか……それは、漢字や文法などの基本的なところだ」


「はああ? そんなのなのお? もっとすごいことを教えてくれるんじゃないのお?」


「ユッチ、テストと言うものは『誰もが解けるだろう』と思われるサービス問題、『半分くらいの人が解けるだろう』という中級レベルの問題、『誰も解けないのではないか』という上級レベルの問題の3段階で出るものだ。それでだ、『誰もが解けるだろう』というサービス問題だけでも取れるようになれば、赤点にはならずにすむことが多いのだ」


へえ、そうなのか。


「他の科目も同様だ。時間もないし、簡単な問題をひたすら反復することで、取れるところから点をとる。これを目標に頑張ろう」


「イエッサあ! ポンポコお!」


……ほんと、最初の10分くらいはユッチってやる気満々なんだよな。10分経つと必ず眠りだすか遊びだして、それ以降勉強したがらない……集中力が10分しか持たないってどうなんだろう。


「よしユッチ、それじゃ俺が適当にお題を出すぞ。副詞の勉強、『にわかに』を使って文を作りなさい! 例えば、『あのアオちゃんが彼氏と別れたなんて、にわかには信じがたい』とかか……用法あってるよな」


ちょっと心配、教える立場なのに間違えてちゃ恥ずかしいし。


「ええとお……思いついたあ!『はにわかにわとりか、それが問題だ』……どおどお?」


「……ええと、ユッチ、もうどこからつっこめばいいのか」


それを言うなら『生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ』もしくは『卵が先か鶏が先か』のどっちかだと思う。つーかはにわはどこから来た?


「ええ!? なんでだあ! ちゃんと『にわかに』って使ったよお?」


……ま、まあそうなんだけどな。


「んじゃ次のお題、『つらつら』を使って分を作りなさい! 例えば……『日々の出来事をつらつらと日記に書き記していく』とかかな」


「ふむふむ……『オロナミンC飲んで、元気はつらつらあ!』、どお?」


「ユッチ、それを言うなら『元気はつらつ!』じゃね?」


「元気はつらつらあ! って言った方がもっと元気そうでしょお?」


すげえこじつけ……いいのかそれで。


「もういい、次のお題! 『したたか』を使って文を作りなさい! 例文としては……『タンスの角にすねをしたたかに打ち付けた』とか」


「ふむふむ……『あした隆夫さんと走りにくぞお!』」


「ユッチ、隆夫さんって誰やねん」


「ボクのいとこ。もう30過ぎのおじちゃん。ボクのいとこってねえ、上は40から下は1歳までいるんだよお?」


……ええと、ユッチに対してものすごく言いたい。


「だからどうしたあ!」


「すごいだろお!」


「知らんわあ! どうでもいいわあ!」


…………だ、だめだ……ユッチとじゃ勉強にならねえ。どうしてもいつの間にやら言い争いになってしまってる。


「ヤス、お前はとりあえず退場しろ。ヤスがいたらユッチが勉強できないではないか」


「ええ? 俺そんなに邪魔してないよ? むしろユッチがはしゃいでるだけじゃん」


「ヤスがノるからユッチがはしゃぐのだ。お邪魔虫は退場していてくれ」


……お邪魔虫か……まさか、俺が邪魔になっていようとは。ポンポコさん、相変わらず言葉キツイっすよ。


「やあい、おっじゃまっむしい」


「ユッチもバカなこといってないで勉強するぞ」


「は、はあい!」


ざまあみろ。ポンポコさんはドSだからな、俺がいて欲しいって後から思っても後の祭りだからな。

……ま、暇になってしまったし、俺は部屋で漫画でも読んでるかな。

こんばんは、ルーバランです。


言葉遊び、どこが出展か知りませんが

『みるみるうちに』を使って文を作ってください。

というお題があり、

『ヤクルトおばさん、ミルミル家に持ってくる』

という回答を最近読みました。


このうまさには勝てません……。


それでは今後ともよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ