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346話:なんとか力

今日は2月2日月曜日。すごく寒かったのでマカロニグラタンにしてみた。マカロニたっぷり、チーズたっぷり、牛乳たっぷりのマカロニグラタン……あつあつのうまうま。冬場はやっぱりこういう熱いものを食べるに限るな。

そしてデザートにはモモ。桃缶のモモだけど、甘くてとてもうまい。

ユッチは久しぶりに自宅に帰っていった。なんかどうしても帰らなきゃいけなかったらしいんだけど、何かあったんだろうか? ってかまあ、帰るのが普通だよな。

という訳で今日はサツキと2人での夕飯……ほんとに久しぶりだ。ユッチには悪いがなんだかうれしい。


「ヤス兄、鈍感力って知ってる?」


「ちっちゃな事にくよくよしないでいる力のことだろ? そんな細かいところばっかり見てるから成功できないんだ、そんなこと気にしないでドッカーンとどでかいことをしろってことだろ」


毎度毎度、ずれた言葉を言うと完全にスルーし続けるからなサツキは。今日はもうさっさときちんと返事をしたぞ。


「ヤス兄、今のってもしかしてドッカーンと鈍感をかけたの?」


「そうそう、サツキ採点採点。何点だった?」


「んー、5点くらいかな? ギャグってのは聞いた瞬間に分からないと面白みがないよ。ヤス兄」


……なかなかきついな、妹よ。


「じゃあじゃあヤス兄、常識力って知ってる?」


「ええと……どれだけ自分に常識があるかってことだっけ? 手紙を書くときに『前略 毎日毎日寒い日が続いてますがいかがおすごしでしょうか』と書くのは間違いとかそんなやつ」


『前略』じゃなくて『拝啓』って書くのが正しいんだったかな? ……まあ別にそんな細かいことは気にしなくてもいい気がするけど。


「じゃあじゃあ、人間力って知ってる?」


……知らないなあ……なんだろう? 常識力を参考に言い換えると……『どれだけ自分に人間があるかってこと』……ってことは人間力が低い人は人間じゃなくなるんだろうか?


「ヤス兄、人間力って言うのはね、人間が持ってる力のことなんだよ」


「まんまじゃん! 最初にそんなことを言ったやつに『だからどうした!』って突っ込みを入れたい……つーかさサツキ、何でもかんでも『りょく』ってつければいいもんじゃないだろ?」


「別に鈍感力も常識力も人間力も私が言い始めたことじゃないよー」


そりゃそうかもしれないけど。


「こうさあ、最近『ちょべりばー』とか『エムケーファイブー』とかさ、変な造語めっちゃ増えてきてるけどさあ」


「ちょべりばもエムケーファイブもすごく古いと思うよ、ヤス兄」


うるさい、思いつかなかったんだよ。


「それで若いもんらはけしからんって大人は怒るけどさ、鈍感力とか女性の品格とか変な言葉を増産してんのって大人たちじゃん。それにのっかって騒ぎ立てんのも大人たち、俺ら子供は冷たい目線でそんな大人達を『あんな大人にはなりたくねえなあ』と見下すんだよな」


「なんかヤス兄、『真剣10代しゃべり場』に出てくる10代代表みたい」


褒められてるのかけなされているのか、はたまたただの感想なのか……どう評価されたのかよく分からん。


「とりあえず適当な言葉に『力』ってつけてさ、『お前に足りないものは『なんとか力』なんだ!』って言われてもさあ……どうしようもないよな」


「それはあるよねー。『何とか力』って大抵、当たり前のことをさも難しそうに言ってるよね」


「もしくはものすごく難しいことをさも簡単そうに『なんとか力を身に付ければいいんだ!』とかなー」


「鈍感力とか敏感力とかスルー力とか動力とか道力とか浮力とか富力とか巫力とかだね、ヤス兄」


……何か変なのばっかりだぞ、サツキ。スルー力以降は全滅な気がするぞ。


「ってかさ、『なんとか力』って適当に名前を付けてさ、それで適当に持論を並べ立ててさ、それを適当に編集者が読みやすいように書き換えて、出版したらベストセラーになって金が儲かるって……なんておいしい商売なんだろうな」


おお、考えてみたらその商売ってすっごいいいな、将来は批評家になろうかな。


「ほとんどの『なんとか力』はつぶれていくと思うけどねー」


いやいや、うまく当てればものすごく儲かるぞ。印税がっぽがっぽだぞ。


「例えばさ、『眼力』ってのがDSで大ヒットしたから次は『口力』とかで一発当てれる気がするなあ」


「何? 口力って? 口臭がどれくら強いかで勝負するの?」


いやいや! 口臭力とかきつすぎだろ! 絶対売れなさそうだよ!


「口力……すなわち口がどれだけ早く回るかを勝負する力だ。いかにして相手を言いくるめるか、これが口力につながるんだよ。今の時代はしゃべれないと勝ち残れない世の中になっていくんだから、これからは眼力よりも口力の時代だよ!」


「ああ、要は口論に勝てる力って事だね。ヤス兄の口力じゃ、どう頑張っても勝ち残れない気がするけどねー」


……俺ってそんなに口論弱いかなあ?


「ヤス兄はそれ以外の口力も弱いよね。ご馳走さまー」


「早いなサツキ……って俺の分のモモは!?」


「ヤス兄、早い者勝ちだよー。これが口力だよ、ヤス兄」


話に夢中になっている場合じゃなかった……なんか悔しい。

こんばんは、ルーバランです。


今日新書をちらちらと見ていたら、『教育力』やら『勉強力』やら、とにかく『なんとか力』って話が多かったのでつい書いてしまった話です。


安易に『なんとか力』ってつけないでほしかったりします(−−


それでは今後ともよろしくです。

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