表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
345/442

345話:ユッチ、勉強中

まあ、勉強しろと言ったんだし、教えられる範囲では教えるとするか。

んーと、英語と数学を教えないといけないんだよな……。まあ、俺も英語は苦手なので、まずは数学から教えよかな。


「それではユッチ、最初の問題だ! 『1+1』は?」


「にぃー……ってヤスう! ボクをバカにしてるのかあ!?」


や、ユッチ前に九九を間違えてたこともあったし、もしかして小学校1年生からやり直しかなあと思ったんだよ。


「そんなバカにした問題だしてないでちゃんとやってよお!」


……ううん、ユッチの実力が分からないからどのくらいの問題を出せばいいのやらサッパリなんだけど。


「ちなみにユッチって『かげんじょうじょ』はわかるか?」


「かげんじょーじょお? なにその魔法みたいな言葉はあ?」


「ユッチ、『かげんじょうじょ』は小学校レベルだぞ?」


「ええ? そうだっけえ……ちょ、ちょっと待ってよお! 今思い出すんだからあ!」


ユッチ、どんな天才でもな、知らないことは思い出せないと思うぞ。がんばって思い出そうとしても絶対に思い出せないと思う。


「ヤス兄も意地悪だねー。わざわざ『加減乗除』なんて難しい言葉使わなくたって、タスヒクカケルワルって言えば絶対に分かるのに」


サツキがユッチには聞こえないようにひそひそ声で話しかけてきた。


「そりゃサツキ、ちょっと想像してみてくれ。ユッチが分からない問題をだして、頭を抱えてウンウン悩む姿をみる……これほどまでに楽しい事があろうか、いや、ない」


うん、教師になる人って絶対にこれが楽しくて教師になるんだろうな。教えたことをどんどんと吸収していく子供たちを見るのが面白いなんて事はきっとなかなか無いよなあ。

……あ、なるほど。だからこそ『できの悪い子ほどかわいい』なんて言葉が生まれるんだな。納得。


「ヤス兄って心根って真っ黒だねー。それよかユッチ先輩をウンウン悩ませるんならもうちょっとテストで得点に結びつきそうな事で悩ませなよー。加減乗除の言葉の意味知ってたってテストの点には何にも関係ないでしょ?」


まあ、そりゃそうなんだけど。知ってたって損しないんだからいいじゃん。


「ヤスう! かげんじょーじょおってタスヒクカケルワルの事なのかあ!?」


あ、ユッチにもサツキとの会話聞こえちゃってたか。


「そだぞ。よかったなあユッチ、1つ賢くなったぞ」


「ううう……ヤスに、ヤスなんかにここまでバカにされるなんてえ……テストで0点とるより屈辱だあ……」


……ええと、なぜゆえそこまで敵意をむき出しにするんだよ。


「もお、ヤス! ちゃんとボクに勉強教えてよお!」


……教えられる立場のはずなのに、なんでこんなにユッチは偉そうなんだろう。最終手段『そんなに反抗的なんだったら俺教えてやんねえ』って言いたくなってしまった。

まあ、これは絶対に言っちゃいけないセリフだよな。


「んじゃユッチ、タスヒクカケルワルの基本はマスターしてるんだよな?」


「当たり前だあ! バカにするなあ!」


いやあ、よかった。これが出来てると出来てないとじゃ全然違うもんな。


「ユッチ、筆算はできるのか?」


「できるわあ! ボクを何だと思ってるんだあ!」


ええと……今のところ小学3年生くらい。


「もう、そんなのはいいから高校の勉強を教えてよお!」


「……んじゃあ、2月10日にある実力テストに出てきそうな問題を……sin30°は?」


「……サインサンジュード……ええと、ええと、どっかで聞いたことがある言葉なんだけどお……」


ユッチって100%学校の授業、寝てるよな。ただの暗記問題なのに。


「ユッチ、サインコサインタンジェントって聞いたことあるか?」


「あるよお! なんだったか思い出そうとしてるところお! ……胃の奥のほうまで出てきてるんだけど、そっから上がってこないんだあ!」


威張るなよ。胃の奥って全然出てきて無いじゃん。出てくる気配が無いじゃん。


「くそお、それって『ヒトヨヒトヨニヒトゴロシ』とか、『フジサンロクニシンリキョウ』と『ヒトナミニオゴレヨオトコドモ』同じたぐいって言うのはわかってるんだけどお……」


違うし。まったく別のたぐいだし。しかも語呂合わせ、ちょっとずつ間違えてるし。人殺しとか真理教とかこわいよ……誰に教えられたんだよ。


「ユッチ、時間切れ。サインコサインタンジェントってのは三角比で使う言葉だな。細々といろいろ定義はあるけど、最低限sin30゜=1/2、sin45゜=√2/2、sin60゜=√3/2辺りを覚えておけばまあまあ点はとれるはずだぞ。適当に表作ったんで見といて」


「あ、うん。ありがとお……ねえ、こんなに覚えるのお?」


「どんなにめんどくても覚えてくれ。勉強なんてしょせん全て暗記なんだから」


数学だって理科だって、考えるより暗記する事を教える。それが勉強というものなんだ。

「うう……わかったよお……進級の為だもんねえ……」


泣き事を言われても、あれやれこれやれと言うことしか俺には言えねえ、頑張れユッチ。

こんにちは、ルーバランです。


勉強を楽しくやる方法ってなにかないかなあ……


それでは今後もよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ