340話:虫歯
今日は1月27日火曜日。
いつものように朝起きて朝ごはんの準備して……その前に顔洗っとこ。
バシャバシャ……ふわあ……目が覚める。やっぱり朝は顔洗うに限るなあ。これをやらないを朝がきた気がしないよなあ。
あ、ついでにうがいでもしとくかあ……。
んが、ガラガラガラガラ……っぺ。
クチュクチュ……キーン!
…………痛い。めっちゃ痛い。歯にしみた……これってやっぱり虫歯だよなあ。
「歯医者に行かなきゃいけないんかなあ……嫌やなあ……」
うん、きちんと歯磨きしとけば別に問題ないだろう。後は冷たいものを食べなきゃしみないわけだし。誰にもまだばれてないし、歯医者に行くのはやめとこ。
「ヤス兄ヤス兄、今日の夕飯そうめん食べたい」
「……何でそうめん? 普通はそうめんを食べるの夏だろ」
冷たいじゃん。歯にしみるじゃん。
「なんとなく食べたくなったんだよ。ヤス兄だって夏に突然おでんとか鍋食べたくなるときあるでしょ?」
「……あるけどさ、今日は別のにしとかないか? そうめんじゃなくてにゅうめんとか」
「じゃあざるそばが食べたい」
だから何で冷たいのをあえて食べようとするんだよ!? 今冬なんだからあったかいのを食べようよ!
「ざるそばじゃなくてきつねそばにしないか、そんな冷たいの食べたら寒いじゃん」
「大丈夫だよヤス兄、コタツに入りながら食べればちょうどいいよ。この前の大晦日にもそうやって食べたじゃん」
ああ、確かに食べた。年越しそばはコタツに入りながらあったかいそばと冷たいそばを2つ準備して食べた……何やってんだよ自分。
「ヤス兄、そばもそうめんも食べたくないの? 何かあった? ヤス兄も好きでしょ?」
「や、何もないぞサツキ。ただ単に今日はあんまりそばやそうめんの気分じゃないだけだ」
「ううん……しょうがないなあ……じゃあそばもそうめんも諦めるよ」
ナイスだサツキ! 今日はあったかく鍋にでもしようじゃないか!
「それじゃひやむぎで」
「おいサツキ、そうめんもひやむぎも似たようなもんじゃん!?」
「全然違うよヤス兄、本来は製法が全然違うんだけど、最近定義されている明確な違いといえば太さだよね。細いのがそうめん、太いのがひやむぎだよ。そうめんは1.3mm未満じゃないとそうめんって名乗れず、ひやむぎは1.3mm以上、1.7mm未満。1.7mm以上のものはうどんになるんだよ。ほら、そうめんとひやむぎ、全然違うでしょ?」
別にそこで豆知識を披露しなくてもいいよサツキ。俺にとってはどっちも一緒だから。冷たいものを食べたくないんだよ。
「あ、そうだ。だったら冷やし中華にしようよ! トマトに、にんじんに、ハムに、いり卵に、きゅうりに……他にも沢山にして、ゴマだれのタレで食べるんだよ! すっごくおいしいよ!」
……なんで今日はサツキそんなに冷たいものを食べたがるんだよ……。いつもは何が食べたいなんてほとんど言わないのに……。
ま、まあ冷やし中華って名前ほど冷たくないし、冷やし中華ならいいかなあ。
「それと絶対に氷を乗せないとね! 冷たくない冷やし中華なんて冷やし中華じゃないよ!」
……サツキ、もしかして気づいてるのか? 俺が虫歯があるっぽいことに。だからそんな嫌がらせのごとく冷たくてしみる食べ物を食べさせたがるのか?
「なあサツキ、別のにしないか? 別に夏になったらそうめんもひやむぎも冷やし中華もざるそばも、毎日のように食べられるんだから」
「……なんか今日のヤス兄って変じゃない?」
……な、なんか変な事言ったっけか? いつもと同じように振舞っているはずなんだけど。
「いつものヤス兄なら、私がこれ食べたいって言ったら絶対に作ってくれたもん。冬にスイカが食べたいって言ったらスイカを探しにはるか遠くのスーパーまで買いに行って、夏に梨が食べたいといったら、りんごに絵の具を塗って梨の色に変えて食べさせようとしたり、そんなヤス兄はどこ言ったの!?」
「……俺、りんごに絵の具塗るなんてやったことあったっけ?」
「やったよ。それを私とヤス兄とケンちゃんの3人でわけっこして食べた。ものすごくまずくて、しばらくりんごが食べられなくなったでしょ?」
……ああ、あったなあ……サツキとケンがおえって顔になった瞬間、自分だけこっそり食べたふりして捨てたんだった。そんなにまずかったんかあ。りんごごめん。
「それで、今日は冷やし中華にしてくれるの? それとも無理なの?」
「ああ、やるやる! 今日はサツキのリクエストにお答えして冷やし中華にするっす!」
「ありがと、ヤス兄!」
……俺、バカだ……。
その後自分で作った冷やし中華に悶絶しながら、何とか完食しきった……。
うん、もういや……すぐにでも歯医者にいこ。
こんばんは、ルーバランです。
虫歯には気をつけよう。
それでは今後ともよろしくです。