333話:誓いの言葉
新婦、入場……父親と並んで入ってくる新婦さん、白いウェディングドレスを着て……めっさ綺麗。
ほとんどの女の人がウェディングドレスに憧れるのが分かる気がするわあ……。
父親にエスコートされてゆっくりと自分の席に向かって歩き、着席する。そのまま父親は新婦側の席に座る。
「今日皆さまの前で、2人が永遠の愛を誓います。2人はお互いに誓い、ご両親、御家族、今日お見えのみなさまに誓います。そして皆さまに二人の結婚をご承認頂きたいと存じます。それでは、ただいまより新郎、トオルと、新婦、カオルの結婚式を始めます。本日司会は、この店の店長である私が務めさせていただきます」
……何で店長? ま、まあ変なところを思うのはやめよう。
『それでは、お2人の固い意思が込められました、誓いの言葉をお願いいたします』
誓いの言葉? 誰かが新郎新婦に『健やかなる時も病める時も……生涯愛することを誓いますか?』って聞くんじゃなくて、自分達で誓いの言葉を話すのか。神に誓うのではなく、出席者に誓うというこの誓いの言葉が、今流行の人前式というやつなんだな。
『誓いの言葉、私達二人は本日ご出席頂いた大切な皆様方の前に誓います』
2人同時に同じ言葉を話すトオルさんとアキラさん。
「私トオルは、アキラを生涯妻とし、愛し続ける事を誓います。どんなに仕事が忙しくなっても、育児、家事に協力し、幸せな家庭を築きます。結婚記念日にはアキラの大好きなひまわりを満開に咲かせます」
……結婚記念日って今日だよな。今日って冬だよな……ひまわりはどう頑張っても咲かせられない気がするんだけど。
「私アキラは、トオルを生涯夫とし、愛し続ける事を誓います。今以上に料理についても勉強し、彼を喜ばせ、時には共に泣き、時にはけんかをしても、いつも笑っていられる、明るい家庭を彼と一緒に作っていきます」
……トオルさんって笑うんだろうか。アキラさんの前ではすごく笑うのかもしれない。好きな人の前だと人が変わる人っているって聞くし。
『私たち2人はこれから生まれる新しい命と共に、幸せな家庭を築いていきます。どんな時も今のこの気持ちを忘れない事をここに誓います……2009年 1月18日』
「夫トオル」
「妻アキラ」
……ああ、ええなあ……お2人さん、おめでとうございます。
その後、司会に促されて指輪の交換をして、婚姻届にサインをするトオルさんとアキラさん。
「それではここで、とわの愛を込めまして誓いのキスを交わしていただきましょう」
あ、そ、そうなのか。キ、キスするのか……父さん母さんがいつでもどこでも気にせずキスしてんのは見てるんだけど、なんか父さん母さんがキスしてるのを見るのとは違うな……。
うわあ、ドキドキしてきた。ブッチューってすんのか? むっちゅーってすんのか?
……凝視できなくなってしまって、ついついキョロキョロと周りを見てしまう。あ、ダメだ。こんな風に落ち着きなくしてるの自分だけだ。ちゃ、ちゃんと見ないと……。
……………………………………。
チュッとトオルさんとアキラさんがキスをした。時間にしてほんと1秒にも満たないくらいの短いキス……。
……な、なんかあたふたしてた自分がバカみたいだ。何で自分はブチューみたいな濃厚なのを想像したんだろう……何考えてんだ自分。
そして司会が俺達、参列者に向かって呼びかける。
「みなさま方の立会いのもと、今ここに新しいご夫婦が誕生致しました。はれてご夫婦となられました河辺トオルさんとアキラさんのこれからにみなさま方とご一緒に祝福をし、みなさま方にお二人の結婚をご承認をいただきたいと存じます。ご承認いただく方は拍手をお願いいたします」
パチパチパチパチ……今日ここに集まった人たちが、大きな拍手を店内に響かせる。
「みなさま、ありがとうございます。ここにトオルさんとアキラさんの結婚式がとどこおりなく執り行われました。みなさま方のご協力に改めて感謝申し上げます」
ふう……こうやって結婚式って進んでいくんだなあ。
「2人の終生変わらぬ愛と、すえながい幸せを祈りまして、新郎、トオルさん、新婦、アキラさんの結婚式を閉式とさせていただきます」
……あ、これでお開きなんだ。意外と結婚式って短いんだなあ。入学式とか卒業式みたいにとても長いものなんかと思ってた。
「これより、新郎、新婦、ご退場でございます。みなさまの大きな祝福の拍手にて、お二人をお送りいただきたいと思います」
ここで退場なのか。パチパチパチパチ……。
俺達の拍手と共に、店内から出て行くご夫妻……ああ、結婚式でバージンロードをなんで父親と入ってくるのかようやく分かった気がする。
今までの人生においては父親と歩んできた、これからは新郎と歩んでいくんだ……そういう意味が込められてるのか。だから入場と退場で連れ添う相手が変わるんだ。
おめでとうございます。
こんばんは、ルーバランです。
流れはあっていたんだろうか? と心配になりつつ書きました(--;
それでは今後ともよろしくです。