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329話:頑張ってないように見えたかい?

今日は1月17日土曜日……今日は陸上競技場で部活。

どうやら俺とサツキが一番乗りみたい。ユッチもアオちゃんもポンポコさんもまだ来てない。

……お、見たことない別の高校も今日はいるなあ。


「ヤス兄ヤス兄、今日は人多いねー」


「そだな、いつもなら俺らと他にちらほら何人かいるだけなのに」


なんか結構部員が多い高校が来てるっぽいなあ……。ええと、30人くらいはいそう。

……うらやましい。うちなんて今日来んの7人しかいないってのに。


「お、またどっかの高校のやつらが来たなあ」


「ああ、またおっそいところが来たんだろ。くそ、学校のグラウンドが使えたらこんな所来なくてもよかったのに」


……な、なんか来た瞬間からやな感じだな。


「ってかうざいよなあ……試合とかで、自分よりめっさ遅い人らがのうのうと走ってるのを応援席で指くわえて見てるの」


「そうそう、他の学校の出場枠減らして、うちの学校の枠もっと増やしてくれって思うよな」


……お前ら、俺を挑発してんの? ここ、怒っていい? 


「ま、とりあえずもっと速い人が出場してくれりゃ納得いくんだけどな……あんなタイムなら出なきゃいいのに」


切れる切れる。俺は今ここで絶対に切れる。


「ふざけんなあ!」


……さ、サツキ? 俺が怒ってやろうとした瞬間、サツキの方が先に大声で叫んだ。

向こうも陰口のつもりでしゃべってたのか、俺らが聞いてるのに気づかなかったみたいで、めっちゃびっくりして目をぱちくりさせてる。


「あんたらはそんなに頑張っているって言うの!? ヤス兄は全く頑張ってないとでも言うの!? 頭おかしいんじゃないの! ああ、ごめんね。おかしいからそんな発言がほいほい出るんだね。とりあえず人生1からやり直してきた方がいいんじゃないの?」


……さ、サツキ言い過ぎ。


「あんたらはヤス兄の何を知ってるって言うのさ!? 全く知らないでしょ!? 朝起きたら朝食作って、お弁当作って洗濯して学校行って帰ったら夕飯の準備して掃除して、私が寝た後も遅くまで起きてお父さんお母さん帰ってくるの待って夜食の準備して……夏休みにはバイトしながら家の家事全部やりながら、時間をやりくりして、その中で部活を頑張ってるんだよ! これで頑張ってないって思うの!?」


……うちの家の事情はまあ置いといてくれよ、サツキ。


「ヤス兄なんてあんた達と違って運動神経なんか皆無だよ! バットを振れば空を切り、短距離走ればスタートは出遅れ、ラケット持てばすっぽ抜けて『もうくんな』って怒られ、そんなヤス兄の17分とあんたらみたいにちょちょいと練習すれば16分を切れるような才能人と一緒にすんなあ! それとも何!? 才能なくて悩んでる人、実力がない人はスポーツすんな、走るなとでも言いたいの!?」


俺の運動神経がないの、そこまで強調しないでくれ。なんか自分が惨めになる。


「……や、別にそこまでは……」


「言ってない? 言ったよね? 5分前の自分の言葉を思い出してみたらどう!? 言ったから!」


……確かに似たようなことは言ってた。


「それに、大山高校の部活動がどんな環境でされているかも全然知らないでしょ!? 大山高校陸上部のってね、長距離のほとんどは幽霊部員と同じくらいの状態なんだよ? あんたらみたいに専門のコーチがいるわけでもなく、ちゃんとしたトレーナーがいるわけでもなく、ちゃんとしたグラウンドもなく……その上、みんながみんなさっぱりやる気なくって、だらだら走ってそれで満足して……そんな環境の中、一生懸命頑張るってどれくらい大変なことか分かってんの!? わかんないでしょ? 入部した瞬間から先輩達が引っ張ってくれて、なんも考えないでただひたすらに練習こなしてくればよかったあんたらには全くわかんないよね!?」


……も、もういいって、そんな怒らなくても。


「あんた達にはあんた達の苦労があるのは分かるよ? 鳴り物入りで入部したにもかかわらず、どんだけ苦労しても、毎年毎年すっごい新人が入ってきて、もしかするとあっさり自分の今のポジションを奪われて……3年生になってももしかすると試合にも出れず、しょぼしょぼとした3年間になるかもしれない。そんな苦労があるのは知ってるよ? でもね、だからってあんたらがヤス兄をバカにするのは絶対許さないから!」


「……ま、まあサツキ。それくらいにだな」


「まだまだ言い足りないよ、ヤス兄! あんな人をバカにしくさったやつなんてもっと言ってやらないと気がすまないよ! 私、頑張ってる人を鼻で笑う人だいっ嫌い! ヤス兄をバカにする人はもっとだいっ嫌い!」


サツキ……俺のためにそんなに怒ってくれて嬉しいです。


「もういいから。サツキが怒ってくれたおかげで俺も胸がめっちゃすっとしたから……ありがとな、サツキ。」


そういってさつきの頭をぽんぽんと叩く……サツキも言いたい放題言ったからか、ちょっとだけ落ち着いたみたい。


「ふう……じゃあ、このぐらいで怒るのやめるよ。ヤス兄は私の自慢の兄なんだから、今度変な事言ったらズッタズタのボッロボロにして、一生消えない心の傷を作ってやるんだから!」


「……」


「返事は!?」


「は、はい……」


こ、怖いぞサツキ……なんか相手方には既に心の傷が出来ている木がします……でも、ほんとにありがと。

こんな妹がいるから、また明日もがんばろって思えます……これからもよろしく、サツキ。

こんばんは、ルーバランです。


自分では精一杯頑張ってるつもりなのに、『もっと頑張れ』とただ突き放されると、何をどうすればいいか分からなくなりますよね(−−; けど、それでも出来ることはただ頑張るしかないんですよね……ガンバろ、自分。


それでは今後ともよろしくです。

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カカの天下
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