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325話:ぱくり

1月12日月曜日。お姉さんに『そろそろ帰ってきなさい』と言われ、ようやく家に帰ったユッチ。ユッチの兄とその婚約者さんはようやく父親にも認められ、1月18日に内輪だけの結婚式を挙げ、そのまま入籍するそうだ。まあ、よかったよかった。


てなわけで、久しぶりにユッチがいないサツキと2人だけの夕食。

サツキと自分の声しかしないこの食卓……10日もいたユッチがいなくなると、なんだか静かだ。


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


また唐突な話題を。何かあったかサツキ?


「ん? とうとうケンが捕まったか? いつかケンならやると思ってた」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


「ケンがパクられるとしたら、どんな罪状だろうな。ああみえて、傷害罪とか暴行罪みたいなことは絶対やらなさそうだもんな。やりそうなことというと、自転車に乗って調子に乗って手放し運転とかして、目の前歩いていたおばあちゃんをひいちゃって、『やっばー』とか思った瞬間逃げ出して、そしたらそのおばあちゃんが骨粗しょう症の人で倒れた瞬間にそこら中が骨折してしまい重体とかかな?」


……やば、なんかマジありえそうな事な気がしてしまった。骨粗しょう症の人って軽くぶつかっただけでも骨折するっていうもんな。気をつけよ。


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


「いやあ、今度冷えたカツ丼もって面会に行かないとな。パクられた気分はどうやって聞いてみてえ。んで最後にくさい飯でも食って、1からやり直すんだなって言うんだよ」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


……今回もめっちゃ無視っすか、サツキ。や、俺もちょっと悪乗りしすぎたけど。


「おし、今パクリについて考えてみるからちょっと待ってろよ、サツキ」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


……待ってろよって言ってるんだからちょっとくらい待ってくれよ、サツキ。

ええとええと……おし、1個思いついた。


「ショートストーリー、『パクリ』。とある大阪の商店街にて、ある少女が憂鬱そうな顔をして空を見上げている。そこにたまたま通りかかる絶ピー先生。『どうしたんですか? そんな物憂げな顔して』『いえ、ふと上を見上げたら、こんなものが』そこにあった看板は、波平通り。さらにその上には波平の顔をした鉄腕アトム……あきれた顔の絶ピー先生。『パクリです! この世の中にはパクリばかりが世に横行しているのです!』『確かにそうですね……』『絶対に認可をもらっていないけれど、とりあえずドラえもんの絵を描いてパンを焼いて『当店オリジナルのドラえもんパン!』といったり、たまごっちの後のぎゃおっピーだったり……絶望した! パクリばっかりのこの世の中に絶望した!』」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


うあ、ものすごく考えて作ったショートストーリーだったはずなのに、一言も言及されず流されるって……。


「サツキ、そこはサツキが『ヤス兄がパクリだあ!』って行ってツッコミをいれる瞬間じゃないか? ついでにピーって伏字にしてるけど、ぎゃおっピーってピーのところ伏字にしちゃったらそのまんま商品名じゃんっていうつっこみも個人的にはほしかったんだけど、そういうボケ殺しの対応はやめてほしいなとか思ったり。つまらんなら『つまらん!』ってつっこみの方がよいんだけど。別の言葉をしゃべって欲しいなあと思うのは俺だけだろうか」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


延々とスルーかい。ちょっとさびしいぞ。


「サツキ、毎回毎回同じネタって言うのはダメだと思うんだよ。ほら、芸人さんでも毎回毎回同じネタを使い続けているとさ、だんだんと視聴者に飽きられてきて、いつの間にやら消えていくって事が多々あるじゃん。確かに王道という物を確立してしまえば、そのネタは何回でも使うことができると思うんだ。けどな、そんな王道なんてものは確立するのはとても難しいんだぞ。一発屋って言葉ができてしまうのもそういう理由だぞ。ちまたで『フォー!』とか『だっちゅーの』なんてやってる人、全然見なくなっただろ? だからな、サツキがそのネタをいつまでも語ろうとするの、そろそろあかんと思うんよ。というかそもそもネタでもないよな。ただ同じ言葉をしゃべりつづけてるだけだし」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


……これだけ熱弁を振るったのに、無視してばっさり切られるとは。やるなサツキ。


「おし、そんなに意固地になって『パクリってどう思う?』って聞き続けるなら絶対別の言葉をしゃべらせてやるからな」


「ヤス兄、パクリってどう思う?」


ち、まだ言うかサツキ。ええとええと……今度はもちょっとひねらないと駄目だよな……おし、思いついた。


「ショートコント パクリその2。コンビニでパクリをし、逃げた犯人を追っかけるコンビニ店長。走ってこけたパクリ。膝がパックリと割れた。パクリの膝がパックリ割れた。パクリがパックリ割れた。パクリがパックリ!」


「……」


「……ええとサツキ、何かしゃべって」


「……」


「……ええと、『パクリってどう思う?』って言葉でもいいからしゃべって? サツキ」


「0点だね。ヤス兄」


……うん、言葉を変えさせることができたから、俺の勝ちなはずなのに。何でこんなに負けた気分になっているんだろう。

頑張って考えたのに。


「それでヤス兄、パクリってどう思う?」


「ああ、パクリはよくないよな。著作権侵害になるもんな。これでいいのかサツキ」


「うん」


……なんか、とてもむなしい……。


「ヤス兄、もっともっと修行しなきゃ駄目だよ」


はい、精進します……。

こんばんは、ルーバランです。


久々にアクセス解析が復活したと思ったら、閲覧者数が激減しててびっくりしました。

……これが実力ですね、精進いたします。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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