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321話:ユッチ、居座る

「おかえりー、ヤス兄」


「おっかえりい! ヤスう」


…………これは目の錯覚なんだろうか?


「ヤス兄ってば今日は遅かったねー。どこか遊びに行ってたの?」


「や、ちょっとアオちゃんとゲーセンに行ってたんだけど」


「あ、そうなんだあ」


…………やっぱりおかしい。ユッチがいるように見える。


「ヤスってば玄関に突っ立ってどうしたんだあ?」


お前のせいだお前の。何でいまだにここにいる?


「ユッチ、一言いいか?」


「なあにい?」


「今日は何月何日だろう?」


「1月7日だよお?」


「始業式は何月何日だろう?」


「1月8日だよお? ヤスってば何がいいたいのさあ?」


「ここにいていいのかユッチは。明日の学校はどうするんだ?」


「大丈夫だあ! ほら、ちゃんと制服持ってきてるんだからあ」


そう言って自慢げに大山高校の制服であるブレザーを掲げるユッチ……違う、俺が言いたかったのはそういうことじゃないんだ。


「そろそろ家に帰らなくていいのか? ということを聞きたかったんだよ。お姉さんとかお兄さんとか心配してないか?」


「大丈夫だあ! 今日制服取りにいっぺん家に帰ったんだからあ」


……いや、そこは違うだろ! 何かが違うだろ!? 一旦家に帰ったんだったらそのまま家ですごせばいいんじゃないのか!?


「……ええとだな、いまだにユッチの家ってお父さんとお兄さんが大喧嘩してんのか?」


「ううん? もうおとうさんもおにいちゃんの結婚のことは『しょうがないな』って思ってるらしいし、昨日なんて2人でお酒飲んでたらしいよお」


「じゃあ、もう家に帰ってもいいんでないか? と思うんだけど」


俺がそう聞いた瞬間、ユッチはがくっとうなだれてしまった……俺、今ひどいこと聞いたりしたか?


「なんだよヤスう……ボクがここにいちゃいけないのお……?」


そういうことが言いたかったわけではないんだけど……ってかそんな言い方をしないでくれ。まるで俺が悪いことをしてるみたいじゃないか。


「ってかユッチは家に帰りたくないのか?」


「ええええ? ええっとお……そ、そんなことないよお?」


めっちゃ帰りたくなさそうだな。まあ、そんな風にしてるユッチを無理矢理帰らせるのはちょっとかわいそうっちゃかわいそうかな。


「サツキはいいのか?」


ユッチが泊まるとしたら、今まで同様サツキの部屋に泊まることになる。サツキが一番迷惑をこうむることになるからな。


「私は別にかまわないよー」


……まあ、サツキがいいって言うならいっかあ……。


「ありがとお! サツキちゃん、ヤスう!」


……そんなに喜ばんでも。ってかなんでそんなに家に帰りたくないんだろう?







時刻は21時。サツキとユッチが寝た後、こっそりユッチのお姉さんに電話してみる……あれだけ帰りたくなさそうにしてるのは何か理由があるに違いないもんな。

……こういう電話ってなんか緊張するな。何も悪いことはしてないし、後ろめたいことなんて何もないのに、サツキかユッチが起きてきたらどうしようってびくびくしてしまっている。


「はい、河辺です」


あ、ユッチのお姉さんだ。


「もしもし、夜分遅くにすみません、近藤と言いますが」


「ああ、ヤス君? ゆうのこと?」


「そですそです、ユッチのことです」


近藤って言っただけで俺ってわかるってすごい。


「ごめんねー迷惑かけて。ユッチがわがまま言ってない?」


「や、全然迷惑なんてかかってないですよ。むしろ料理してくれるし大助かりですよ? ……けど、何でユッチって家に帰りたくないんです?」


「ゆうってば家に帰りたがってないの?」


うん、すごく。もともと感情が表情に表れる性格してるから、わかりやすいやつではあったんだけど。あからさまに帰りたがってないよなあ。


「そうなんだあ……私が思う限りでは、理由は2つあると思うんだよね」


へえ、2つあるんか。


「ユッチって人見知りするでしょ?」


まあ、意外と。最近知ったことなんだけど、知らない人とか親しくない人の前だとものすごく静かになるらしい。けど、俺に対しては初対面のときから思いっきり噛み付いてきたんだけど。何だこの違いは。


「今家に兄の婚約者さんがいるから気を使っちゃってガッチガチに緊張しちゃって、家にいたくないのが1つあるんじゃないかな」


……なるほど。


「それでもう1つの理由ってなんですか?」


「さあ? ないしょー」


おい! 教えてくれるんとちゃうんかい!? 何でわざわざ内緒にする必要があるんだよ!?


「それじゃクイズにでもしときましょうか? 正解がわかったら教えたげるよ」


「ええ? まじですか」


……分かった後に教えてもらってもしょうがないじゃん。


「そんな不満そうな声出したってダメだよ。悩め悩めー」


うわ、ユッチのお姉さんってばめっちゃうざっ。


「まあ、そのうち帰ってこさせるようにするからさ。しばらくゆうをよろしくね。それじゃねー」


ガチャ、ツー、ツー、ツー……切れた。ってまじかよ……しばらくっていつまでだよ。

なんか腹をすかせた子犬に同情してえさをあげたらそのまま居付かれるようになってしまった気分だ……やっぱり最初にちょっと厳しく言っておかなきゃダメだったんだな。

おはようございます、ルーバランです。


昨日の夜投稿するはずだったのですが寝てしまいました……。


それにしても、読者数が分からないと読んでいただけているのか全く分かりませんね(--; ちょっと心配です。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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