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313話:ユッチ、家出をする?

今日は1月2日。

今日もまたサツキと居間でごろごろとテレビを見てる。

ただいま箱根駅伝、第5区。ものすごく速い人が1人山登りの道を駆け上がっている。

……ってかすごすぎ。あんなスピードで走り続けて最後まで持つのかあの人は。


ピンポーン


んあ、誰か来たみたい。別にうちを訪ねてくるような親戚もいないし……正月早々誰だろ?


「はいはーい」


「やほほーい、ボクボクう」


「我が家には朴簿空という知り合いはいませんが」


「ユッチだよお! ヤスのバカあ!」


分かってたけど。なんとなくやってみたくなった。


「んで? ユッチってば突然どしたんだ?」


「遊びにきたあ!」


……や、今正月だよね? 正月って普通家族で一家団欒するもんじゃないのか? それかおじいちゃんちとかおばあちゃんの家に行ってお年玉をもらうってのが正月の普通の過ごし方じゃないのか? 普段うちに入り浸っているケンですら3が日は家族ですごすって言ってたぞ。


「……もしかしてお邪魔だったかなあ? それならポンポコの家にでも行ってこようかなあ……」


「いやいや!? 大丈夫大丈夫! 大歓迎だから! ちょっと待ってろすぐ開けるから!」


ポンポコさんの家ってめっちゃ遠いやん! 何で家に帰らないの?

慌てて玄関までいってドアを開ける。


「あけましておめでとお! ヤスう!」


「あけましておめでとさん、ユッチ」


ちょっとだけ着物姿のユッチとか期待したけど、いつもどおりのトレーナーにジーパンという、色気の無い格好。

それがユッチらしいといえばユッチらしいけど。


「まま、あがってあがって」


……それにしても何でわざわざうちに来たんだろね。





「あけましておめでとうございます! ユッチ先輩」


「あけましておめでとお、サツキちゃん」


サツキとユッチもお互いに挨拶を済ませて、3人そろってコタツに入る。はああ……あったかい。コタツにみかんさえあれば他に何もいらない気分になってくる。うん、やっぱりコタツは最高だよな。


「あったかあい……」


「そうですよねえ……」


すでに目が別の世界に飛び立とうとしてるユッチとサツキ。コタツの魔力は偉大だ。


「ところでユッチ、突然どうしたんだ? 家出でもしてきたのか? プチ家出なんて流行んないぞ」


「ち、違うよお。別に家出してきたわけじゃないもん」


んじゃなんやねん。ものすごく家に帰りたくなさそうだったけど。


「あ、あのねえ。今ボクの家ドラマなんだあ」


……ごめん、意味不明です。


「昨日ね、おにいちゃんが帰ってきたんだよお」


「そりゃ、自分の家なんだからユッチのお義兄さんも帰ってくるだろ……ええと、薫さんだったっけ?」


「それは義理のおにいちゃん! 本当のおにいちゃんが帰ってきたんだよお!」


……分かりにくすぎ……ええと、今ユッチの家にはお義兄さんとお兄さんとお姉さんがいるのか。


「ずっと1人暮らししてて去年もおととしも3年前も4年前も、正月にもお盆にも帰ってこようとしなかったんだけど、突然帰ってきたんだあ」


「ふうん、よかったじゃん」


全然家に居つこうとしなかった兄が帰ってくる……ってかユッチ、それならなおのこと家でお兄さんと過ごしたほうがいいじゃん。


「でも、おにいちゃんってばお嫁さんも連れてきたんだよお。あ、まだ結婚はしてないんだけど」


……はあ。さいですか。ってことは今ユッチの家にはお兄さんとお義兄さんとお姉さんとお義姉さんがいることになるのか……混乱してきた。


「お父さんがかんかんになってさあ……おにいちゃんだって仕事がすごく忙しかっただけかもしれないのにお父さんなんか『今までふらふらほっつきあるいとったような奴なんぞ知らん!』って言って、それからどんどんヒートアップして、『お前みたいな奴に嫁はいらん!』って言い出したんだあ」


……あれ? 普通って『お前みたいな奴に嫁はやらん』って言うもんじゃないの? 何かがおかしいぞそのセリフ。


「そのあとずっといい争いしてた時に分かったんだけど、おにいちゃんってば出来ちゃった婚みたいでさあ。お父さんが『むこうの親御さんに顔向けできん……』って嘆きだしちゃって」


うあ。大変だあ。ってか昨日帰ってきてから今日までずっといい争いしてたのかな? それは嫌やなあ……。


「映画とかドラマのワンシーンみたいだったよお。あんなビリビリした空気、ボクには耐えられないよお」


……はあ、それで逃げてきたわけね。家出じゃないって言ってたけど、家出みたいなもんだな。


「出来ちゃった婚じゃなかったらユッチのお父さんももうちょっと穏便だったのかな。出来婚って英語だとショットガンウェディングって言うぐらいだし」


孫が出来るからって気に入らん男に自分の娘をやらないといけない娘さんの父親が、新郎に向かってショットガンを向けるからというのが由来。


「そういうことなら、ユッチのお父さんの怒りが収まるまではのんびりしてけば? サツキもいい?」


「うん、別にいいよ」


「ありがとお、ヤス、サツキちゃん」


……ん、まあゆっくりしてけ。


「はあ……ヤスの家っていいよねえ……ポカポカしてるっていうか、平和っていうか、あったかあい……ふわあ……なんか眠くなってきちゃったあ……」


ええとユッチ、それは多分ただ単にコタツに入ってるからだと思うぞ。


「ボクねボクね、今日1個だけ決心したんだあ。ボクが将来大人になって、いつかどこかで誰かと結婚するとしても、出来ちゃった婚だけはしないんだあ」


……それ、俺とサツキに宣言してどうすんだ? 俺らはいったいどんな反応をすればいいんだ?


「はふぅ…………」


あ、寝た。


「ユッチ先輩ってばお疲れだね。昨日からずっとあんまり寝てなかったのかな?」


かもな。そういう仲が悪い空気ってユッチものすごく苦手そうだし、すごく疲れたんだろうな。

……ま、いい夢見てくれ。お休みユッチ……けど、よだれはたらさないでくれ。

こんばんは、ルーバランです。


ふと思ったんですが中学3年生や高校1年生って思いっきり反抗期の時期ですよね?

反抗期の登場人物ゼロですね、みんな親好き……まあいっか。


それでは今後ともよろしくです。

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カカの天下
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