表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
311/442

311話:あけましておめでとう

「ヤス兄、あけましておめでとー」


「あけましておめでと、サツキ。もうあけてから12時間くらいたってるけどな」


「別にいいでしょ、正月とは休むものなんだよ。そのために大晦日に大掃除をしておせちを作るんだよ。堂々と休んで何が悪いの?」


それはそうなんだけど……除夜の鐘も聞かずに紅白歌合戦も最後まで見ずに、10時頃には布団に入って起きてくるのは昼の12時ってどうなんだろうな。俺は昼じゃなくて夜中の12時にあけましておめでとうってやりたかったよ。正月の朝に1人で朝ごはん食べるってとてもさびしかったよ。雑煮を1人ですするのって結構さびしいものがあるんだぞ。


2009年1月1日。今日から新しい1年が始まる。

最初の1日くらい、父さんも母さんもいないんだからサツキと同じように朝寝坊しようと思ってたのに、なぜかいつもと同じ時間に目が覚めてしまう。目覚ましもかけてないのに……なんて嫌なんだ、俺の体内時計。

んで、いつまでたってもサツキが起きてこないので、仕方なしにずっとテレビを見てた。うん、やっぱり1月1日はニューイヤー駅伝だよな。

今でもやってるけど……トヨタ自動車九州……何で今年は欠場してしまうんだよ。山の神の走りを見たかったよ。テレビ見ながら「山の神、ここに降臨!」って叫びたかったよ。


「サツキ、俺は言いたい。大晦日くらい夜更かししようよ」


とりあえず、山の神が見れなかった悔しさをサツキにぶつけてみる。


「や」


一言で返答された。なんかあまり発散できた気がしない。


「や、じゃなくてだな。1年間365日のうち、子供達が唯一堂々と夜更かししてもいい日として大晦日は定められているんだぞ。そんな日に10時に寝なくてもいいやん」


大晦日、サツキが寝てからも最後まで1人で紅白を見続けていた。『ずん♪ ずんずんずんどこ♪』が頭からこびりついて離れない。ドリフの人気にあやかりやがって、とか思って聞いてたはずなのに、ついつい聴き入ってしまった自分がちょっと悔しい。うん、いい歌だった。


「私は眠いときには寝るの。人間は夜起きていられるような体じゃないんだよ? 早寝早起きこそが体にいいと思わない?」


「全然早くないけど。今もう昼の12時だぞ、サツキ」


もうちょっと粘って愚痴ってみる。


「ヤス兄さあ、正月から説教したって楽しくないでしょ? もっと正月くらいはのんびりしようよ」


……サツキ、お前は普段から十分のんびりしてると思うのは俺の気のせいなんだろうか。


「ヤス兄、そんな気難しい顔してないで、おせち食べよおせち。私黒豆食べたくて仕方なかったんだー」


……ま、いいか。










『いただきまーす』


大晦日からせっせと作ったおせち。もう何年も作り続けてるから、慣れたもんだ。


「うん、やっぱりヤス兄の作る黒豆っておいしいよねー」


ありがとサツキ。別に何をしたというわけでもなく、ただおなべの中に黒豆と一緒に釘を入れて、ストーブの上においておいただけだけどな。じっくりことこと、時々水がなくなってないかなーと覗きにいく。それだけでおいしく出来上がり。


「これだけ上手に作れるなら、どこにお嫁に行っても問題ないよね」


「や、お嫁にはいけないから」


しいていうならお婿さんな。そんな気はさらさらないけど、高校生だし。


「ヤス兄っておせち料理の中で何が好き?」


「俺? そうだな……甲乙つけがたいけど、俺は伊達巻卵」


「そうなんだ、私はやっぱり栗きんとんが好きなんだよねー、あと数の子も好き……って何で今年は数の子がないの?」


「ん? そりゃ必要ないから」


「なんでー? 私数の子食べたい!」


「数の子ってニシンの卵なんだぞ。んでな、ニシンってのが卵をたくさん産むんだ。そこから子孫繁栄とか子供がたくさん生まれますように、ということを願って元旦に食べるんだけど、別に今年はうちに子供がたくさん生まれるようにって願うような人がいないし」


父さんも母さんも40超えてるし……今から新しく弟か妹ができるって事はないだろうということで、まあ数の子は買わなくてもいいかと思い買ってない。俺もサツキもまだまだ無縁だし。


「そんなことないよ。この前私、『妹がほしい』ってお母さんに言ったら『頑張ってみるね』って言ってたもん」


初めて聞いた……ほんとですか? 母さん。


「なんかねー、お母さんももう一人ほしいらしいよ」


……ほんとですか? 母さん。


「その話したときお父さんもいたんだけど、お父さんも子供ほしいみたいだよ。お父さんもその話聞いたら、『おーし、母さん。旅館行ったら頑張ってみるか』って言ってたよ」


ええと、父さんは何を頑張るんでしょうか?


「それでね、お父さんもお母さんも『子供は何人いてもかわいいもんだよー』って言ってたよ?」


……それはそうかも。


「ヤス兄はほしくない? 弟か妹」


「ん……できるならほしいな」


けど、生まれるとしたら俺が17になってからだよな……すんげえ年の差。サザエさん一家もびっくりだよ。その弟か妹かと並んで歩いてても絶対に兄弟って見られない気がするなー。


「でしょ? ほら、数の子いるじゃん。ヤス兄、この後スーパー行って数の子買って来ようね」


……あれえ? 今の話ってもしかしてサツキ、数の子がほしかっただけ?


「でも、ほんとに妹ができたらいいよね。きっとものすごくかわいがっちゃう気がするんだよ」


や、違うな……ほんとに妹がほしいんだね。すごく期待してる顔だ。

そういえばユッチがはじめて泊まりにきたとき、妹ができたみたいって喜んでたもんなあ。年上だけど。

母さん、無理せず頑張ってください。

こんばんは、ルーバランです。


私の知り合いで一番年の差が離れてるのというと、12歳年の差の兄弟がいます。1番大きな年の差兄弟って言うと、どのくらいなんでしょう?


それでは今後ともよろしくです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ