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310話:大晦日

「もーいーくつねーるーと、おーしょーおーがーつー♪」


「もう後1回寝ればお正月だなー、サツキ」


「もうヤス兄、せっかく気分よく歌ってるんだから、チャチャ入れないでよ」


すまんすまん。

今日は12月31日、2008年の最後の日。世間で言うところの大晦日というやつだ。


12月25日に5人で行ってきた教会のクリスマスは、結構よかった。結構教会って入りにくそうなイメージがあったんだけど、ケンがいってたとおり、別にそんなに気構えして入るようなところじゃなかった。

俺らが行った教会は保育園も隣で運営してる教会で、ちっちゃい子たちも大勢、自分達と同じくらいの年齢の人もちらほらいた。

意外や意外だったのは、クリスチャンってのはすっごい聖人君子っぽい人を想像してたんだけど、全然そんなことなく話してみると結構適当だったり、ごまかそうとしたりするもんだって言うのが分かった。

……うん、変な色眼鏡をかけてみるのはやめた方がいいよな。

まあでも、別に信者になろうとかそんな気持ちには全くならなかったなあ……5人とも25日に教会に行って、それからはもういっかなあって話してた。




今日は家族みんなで大掃除。普段掃除しないところ、窓とかたんすの裏とか、物置とか1日中ドタバタしてた。いやあ、ほこりって見えないところに結構たまるよな。




……ようやく夜の21時も過ぎて、一区切りついて今はサツキと2人で年越しそばをすすりながらテレビを見てる。


「大晦日といえば年越しそばだよな、サツキ」


「そう言えば何でそばなんだろうね? うどんでも冷麦でもそうめんでもきしめんでもいいと思わない?」


や、冷麦とそうめんは夏だろ。冬に冷麦とかそうめんはしないと思う。


「そばのめんってのは細くて長いだろ? だから『細く長く生きれますように』っていう思いを込めて大晦日にそばを食べるようになったらしいぞ」


「だったらうどんの方が太くて長いんだから『太く長く生きれますように』っていう思いが込められるでしょ? 大晦日にはうどんを食べるべきなんじゃない?」


ああいえばこういう妹め。屁理屈をこねるな。


「香川ではうどんを食べるらしいぞ……ってかさ、別にサツキってそば好きだろ?」


「うん」


「じゃあ別にうどんじゃなくてそばでいいじゃん」


「なんかヤス兄の話に納得しそうになったのが悔しかったんだもん」


納得すればいいじゃん! 何でそこで悔しいって思うのさ!?


「全く、父さんと母さんの話は素直に聞くくせに、何で俺にだけはそんなにひねくれるんだろな?」


「それはヤス兄だもん、しょうがないよ」


しょうがなくないから! 別に俺にも素直になったっていいんじゃないのか!?


「そう言えばお父さんとお母さん、大丈夫かな?」


「今頃後悔してるんじゃん? だって大晦日の神社なんて、近所でも大混雑だぞ」


今年は父さんと母さん、大晦日デートをしゃれ込むんだって言って伊勢神宮まで行って、そのまま1泊してくるらしい。

……そんな元旦の日に行ったら混むだろうに、父さんも母さんも物好きだなーとちょっと思ってしまう。


「お父さんたちが帰ってくる時にはもう来年になってるんだね」


「そだな、もう来年になってるな」


「ヤス兄、今年も終わりだね」


「そだな、今年も終わりだな」


「大晦日になると、なんだか今年のことを振り返りたくなってくるんだよね」


「そだな、振り返りたくなってくるな」


節目節目のたびに、思えばこんなこともあったなあと、なんだか振り返りたくなる。

春夏秋冬、すべての季節にそれぞれの思い出が残ってる。


「……ヤス兄、ちゃんと返事してよ」


あれ? ちゃんと返事してたつもりだったけど。なんか変な返事したかな? ……したんだろな。サツキがちょっと怒った顔してる。

ま、まあいいや。早く話題変えよ。


「ちなみにサツキ、サツキにとって今年の一番の思い出といえばどれなんだ?」


「んー……やっぱり私はテニスだよ。あれだけ熱くなれた夏はなかなか来ないね」


「大丈夫だって。サツキなら陸上部に入って、やっぱりまた熱い夏をすごすことになるって」


「そうだね……私ね、まだ高校に入学もしてないのにもう高校生活が楽しみなんだよね」


いいな、そのポジティブ思考。


「ヤス兄の今年の思い出といえば何になるの?」


「俺? 俺はそだなー……たくさんありすぎて、ひとつに決められないや」


「そうかもね、入学して、合宿に行って、駅伝に出て……それ以外にもたくさんしたもんねー」


そうそう、いろいろあったし、いろいろ経験した。


「来年こそは陸上では県大会に出場したいな」


「……ヤス兄、なんだか目標が低いよ? 毎日屋上で叫んでるんでしょ?」


叫んでるけどさあ。なんか俺、何やってるんだろうって気分なんだよな。

や、だって俺の実力考えたら県大会出場とかそれぐらいがせいぜいなんだもん。


「ま、そんな煮え切らないところもヤス兄だけどね」


……すんません。


「何はともあれ、また来年もよろしくね。ヤス兄」


「あいあい、よろしく、サツキ」


それでは、よいお年を。

こんばんは、ルーバランです。


この作品って季節が逆転してるんですが……なんだかほんとに今日が大晦日な気分になってくるので不思議です。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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