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304話:ジェンガー!

第1戦目、サツキ以外の全員が堅実な攻めをして、なかなか崩れると言う事がない。

……ってかサツキ。お前が引っこ抜いた後必ずぐらぐら揺れるんだが。

そんな中自分の番にされる俺の身にもなってくれ。


……またサツキがチャレンジして、何だか難しいところを引っこ抜く。

サツキのところで倒れればいいのに、なぜか後一歩のところで倒れないまま、俺の番……だめだ、どこを抜いても倒れそう……ぐらぐら揺れるよ、ジェンガがゆれるよ。

そーっと、そーっと……どこが安全だろう……この右端のやつが一番安全そうだよなあ……おっとと、今ちょっと揺れた。


「ジェンガあ!」


「うわっ! 何だ!?」


俺が抜いている時に叫ぶなユッチ!


「ああ、残念。もうヤスが倒すかなあと思ったんだあ」


だからって叫ぶなユッチ。これで倒れても俺の負けになるんだから。


「ってか何で『ジェンガ!』って叫ぶんだ?」


「ヤス、知らないのお? ジェンガでは倒れた瞬間にみんなで『ジェンガあ!』って言うんだぞお!」


「知らねえよ! それ絶対どっかのローカルルールだから!」


「そんなことないもん! ボクの家ではいっつも言ってたもん!」


ユッチの家だけだろ? ユッチ家ルールなんじゃないのか?


「そう言うルールもあるよ? ヤス兄」


「……え? まじ?」


俺が知らないだけか?


「まじだよ。ヤス兄が遅れてるだけじゃない?」


……まじかあ。ちょっとショック。何がショックってユッチが誇らしげにしているのが一番ショック。


「ってかまだヤスの番だぞ、終わった気になってちゃダメだろ」


分かってるよケン、そんなに急かすな。さっき途中まで抜いたブロックは、これ以上抜くと本気で崩壊しそうだったので、ここでストップ。


「ええ!? ヤスってばそこでブロック止めるの? そんな後少しで抜けそうなのに抜くのやめるのやめてよ! ものすごく不安定になってるよ!?」


や、だってそこ抜くと絶対倒れそうなんだもん。まあ、これも戦略の1つだ。

別のところで抜きやすそうなものを探して……お、これなんか良さげ。


狙いを定めてそーっと抜いていく。


「たあおれろ、たあおれろ! たあおれろ、たあおれろ!」


……やばい、ユッチがまじうざい。

この緊迫している中、全然集中できん。次ユッチの番になったとき覚えてろよユッチめ。


「……」


ゴクリ……と喉の鳴る音が聞こえる。スッと俺の右手に一本のブロックが握られる。

おし! 峠は越えた!

後は上に置くだけ……おし、置けた!


「見たか、これで俺の負けはないだろ!」


もう目の前のジェンガはそよ風が吹くだけでも壊れそうな様相になっている。

キビ先輩、ユッチ、ケン、サツキの4人が抜く間にこのジェンガは倒壊するに違いない。


「ささ、キビ先輩の番ですよ、どぞどぞー。どうぞぶっ壊してください」


「ヤスってば何かムカつくねー。絶対もう1回ヤスの番にさせてやるんだから!」


……ふっ。人の事考える前に、まず自分の現状を見ないとダメですよ。キビ先輩。

そーっとね、そーっと……ち、成功したか。


「ヤス、ヤスへの番がまた一歩近づいたよ」


キビ先輩、うっさいとです。まだ3人もいます、ユッチ、ケン、サツキの誰かがミスしてくれます。


「ねね、みんなにジェンガの大技見せてあげるよお!」


……ジェンガに大技もくそもあんのか?


「さっきヤスが引っ張って、でっぱっちゃってるこのブロック。このままどんだけ慎重に慎重に引っ張っても絶対に抜けないんだあ」


その通り。だから俺は諦めて別ブロックを抜いたんだ。


「これをお……えいっ!」


ピコンっ。

デコピンの要領ではじく……すげえ! とれちゃった!

しかも引っこ抜いた後の塔はぐらぐら揺れる事もなく、安定してそびえ立っている。


「後はこれを上に載せるだけえ……えっへん、すごいだろお!」


「ユッチ、すごいすごい!」


「でしょでしょお!」


「あんな技初めてみた! なかなかあんな技真似できないよ」


「へっへえ。ヤスもボクの事見直しただろお! ボクが特訓に特訓を積み重ねて編み出した技なんだあ」


「てりゃ」


ピコンっ。


「…………」


「…………」


ケンがユッチのやったデコピンジェンガを模倣して成功させる。

吹っ飛ばしたブロックをひょいっと一番上に乗せて、ケンの番は終了……。

あれ? 何でそんな軽々とやってんだ?


「あ、なんだ。ユッチ、意外と簡単にできるもんだな、これ」


……ケン……ユッチを立ててやろうぜ。あれだけ得意げになってたユッチが可哀想じゃん。


「ううう……ボクが1月かけてようやく編み出した技なのにい……ケンのバカあ」


それに1月かけるユッチもユッチだと思うけどな。


「ヤス兄、私が成功したらヤス兄の番になっちゃうね」


……そうじゃん、今は落ち込んでいるユッチの事を気にしてる場合じゃないじゃん。


「……サツキ、ミスれ!」


「ヤス兄ってば私の失敗を祈るんだねー」


や、だって俺次の自分の番、成功させる自信ないんだもん。

サツキが負けるなんて言うのはちょっと嫌だけど、俺の負けってのはもっと嫌だ。


「でも、ヤス兄の番まで回るんだからねー、ずっとブロックを見続けて、浮いてるブロックを見つけたんだから」


そう言うと、サツキはある1つのブロックを見定めて、するするとブロックを抜いて上に乗せる。

……ここへ来て安パイを見つけ出すか。やるなサツキ。


「ヤス兄、私が見てるかんじ、もう安全なのは1個もないよ? どうする、ヤス兄?」


安パイはないのか……試しに何本かちょんちょんと指でつついて抜けそうなブロックを確かめたけど、どのブロックを動かしても崩壊しそうだ。

それじゃここはやっぱり、俺もユッチのあの技、デコピンジェンガを成功させるしかないよな。成功させればぐらぐら揺れる事もなく、ブロックを引っこ抜く事が出来る。


狙うは右端と真ん中の2本のブロックが残っているところ。

勢いよく右端を引っこ抜けば、真ん中のブロックだけで支えられるはず……上手く右手の中指に力を入れて……。


いけえ!


べコンっ、がらがらがらがら…………。


「……」


塔が崩れ落ちた……。

デコピンを食らわせる時に、1つ上のブロックにも少しかすってしまったのが原因だ……ちっくしょ、俺の負けか。


『ジェンガー!!』


……てめえら、声を揃えて叫ぶなあ!

こんばんは、ルーバランです。


遅くなりすみません。


デコピンジェンガ、下の動画のような技です。

http://www.youtube.com/watch%3Fv%3DJMyteHPvsiA


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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