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303話:ジェンガ

「おっまたせえ! やっぱりクリスマスと言ったらチキンだよねえ!」


ナイスユッチ! 重苦しいこの空気を吹っ飛ばすには、ユッチって最高だ。


「冷蔵庫の中漁ってたら、手羽元がみつかったんだあ! ぱりっと唐揚げにしてみたよお!」


……手羽元? ……手羽元……その言葉を聞いてユッチの手に乗っている皿をちらっと見てみる。

ああ、それ明日の主食! 父さん母さんが好きな手羽元のサッパリ煮を作ろうと思ってたのに!

……仕方ない、ユッチには何使ってもいいって言ってあったからなあ……手羽元だけはダメって言っときゃよかった……はぁ……。


「な、なんだよおヤスう。ため息なんかついちゃってさあ! ……も、もしかしてヤスって、唐揚げ嫌いだったあ?」


「そんな事ないぞユッチ。むしろ唐揚げは大好きだ」


ってかそんな不安な声ださなくてもええのに。


「そっかあ……よかったあ」


……や、そこまで安心せんでも。俺好き嫌いは少ないぞ。


「キビ先輩もサツキちゃんもどんどん食べてねえ。ボクの自信作なんだからあ」


ユッチ、ケンを忘れてる。今ケンが手を伸ばそうとして、自分は食べていいものかどうか悩んじゃってるぞ。自分の宙に浮いた手をじっと見てる。


「ヤスヤスう、これ食べたらそろそろ何かして遊ぼお。ヤスの家って色々ゲームがあるんだよね?」


……ふむ、確かにアナログゲーム系は各種取り揃えているけど、どれがいっかなあ。

オセロとか将棋は2人までしか遊べないし、モノポリーはユッチ苦手そうだし、人生ゲームは1回にちょっと時間がかかりすぎるよな。


「ヤス兄、パーティゲームと言えばあれじゃない?」


「ふむ、あれか……そうだな、あれでも持ってくるか」


「ヤスう、あれって何だあ?」


ん、まあ見てのお楽しみって事で。






ドン、っと自分の部屋から直方体の箱を持ってくる。

久々にやるなあこれ。


「おお、ジェンガだああ! ボクジェンガ大好きい! ボク、ジェンガやって負けた事ないもんねえ!」


「ホントかよ? 悪いけど俺とサツキもケンもすごく強いから、そのつもりで」


以前、やりまくったからな。抜く時のコツとか全て頭に入ってるぞ。


「ふっふー、ヤスには負けないんだからあ! 鼻面をあかしてやるんだからあ」


「ユッチ、それを言うなら鼻をあかすだぞ」


……あ、赤くなった。


「うるさいうるさいい! 絶対負けないんだからあ!」


ユッチめ、このゲームは冷静になれなかった方が負けだぞ。この時点でユッチの負けは見えたな。


「ヤスヤス、私ジェンガってやった事ないんだけど、どういうゲーム?」


キビ先輩はやった事ないのか。


「ジェンガって言うのはこんな感じにきれいに積み上げたタワーの中から、自分の好きなところから抜き取って、一番上に置いてくんですよ。上においてくにしたがってどんどん不安定になっていき……最後このタワーをぶっ倒した人が負けです」


シンプルだけど奥が深い。戦略も駆け引きも重要。それがジェンガ。


「へえ、なんとなく分かったよ。とりあえずやってみよっか……あ、あと負けた時の罰ゲーム、私とヤスで勝ってきたからそれ使おうね」


そっか、あの何に使うかよく分からない変なのシリーズは罰ゲームの為にあったのか。ようやく判明した。


……ジャンケンの結果、

1.ユッチ

2.ケン

3.サツキ

4.俺

5.キビ先輩

という順番でブロックを引っこ抜いていく事に決定した。

……うし、それじゃゲーム開始。


「それじゃボクからだねえ! まずは安全なところから……」


3本並んでるうちの真ん中、するするっと抜けるブロックを抜いて一番上に乗せるユッチ。

……もっと大胆なチャレンジばかりをするかと思ったら、なかなか堅実なプレイをする。


「んじゃ、次は俺だな」


ケンはジェンガをやる時だけは慎重になる。崩れなさそうなところをとにかく狙う……今回も簡単なところを探し当てて、するっと抜いて上に乗せる。

確かにチャレンジャーになるより簡単なところを選んでいった方が、どっかで誰かがミスってくれるからな。


「私だねー、ヤス兄にちょっとくらいプレッシャー与えとかないと」


「サツキ、やめてえな。共同戦線はろうよ」


「だめだめー、戦いの場では人は非情にならないとダメなんだよ。ヤス兄」


そう宣言して、影響の大きい一番下からえいやっと抜き取るサツキ。

……今、いきなりぐらぐら揺れたんすけど。まだ1ターンめなんだからもうちょっと慎重になろうよ、サツキ。


「ささ、どうぞどうぞヤス兄」


……どこ抜こう。まだ1ターンめなんだから俺も慎重にいこうかね。


「ヤス兄、手が震えてるよー」


「震えてないから! 集中してるから話かけるな!」


「ヤスってば怒鳴っちゃってこわあ。邪魔しちゃおっかなー」


「キビ先輩、テーブル揺らすの反則ですから!」


「あれあれヤスう、ビビってるう!」


「ビビってない!」


……くそお、何で俺が抜く時だけこんなにチャチャが入るんだよ。

そっと上の方で抜きやすそうなブロックを抜いて、一番上に乗せる。よし、揺れなかった。


「最後は私だね。どっから抜くのがいいかな」


「次の人にプレッシャー与えるんだったら、不安定になりそうなところを抜くと言う選択。とりあえず自分の番をしのぎたいんでしたらどこからでも抜きやすそうなのを選べばいいっすよ」


「ケン、抜きやすそうなのなんて全然分かんないよ」


「ジェンガのブロックっていっこいっこ大きさがちょっとずつ違うんで、分かりやすいところだと浮いてるのが丸和借りだったりするのもありますよ。それでも分からない時は触ってみれば分かりますよ、揺れない程度に指で押してみればいいんです。まずは適当に勘でやるんす」


「分かった……よっと。あれ? 意外と簡単に抜けるもんだね」


「まだ序盤ですからね。どんどん難しくなりますよ」


「はーい。コツは今ので何となく分かったし……負けないよ!」


おお、キビ先輩が燃えている……俺も負けられねえ。次からが勝負だな。

こんばんは、ルーバランです。


うたた寝してたらおでこと唇を蚊に食われました。

もともとたらこ唇なのですがさらに膨らみました。

めっちゃ変……。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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