299話:Sなポンポコさん
今日は12月20日土曜日。
昨日で授業も終わり、気分は完全に冬休み気分。夏休み同様、冬休みの宿題も課題を出された瞬間に英語はアオちゃん、社会はポンポコさん、数学と理科は俺、と分担してさっさと終わらせたので宿題も残ってない。後は冬休みを満喫するだけ!
……そのはずなんだけど、すごく気が重い……。
「そんな真っ暗な顔をするなヤス」
するよ、そりゃ真っ暗にもなるよ。1000×7ってなんだよ。
今日は毎週恒例、陸上競技場で練習の日。そこでポンポコさんに言い渡されたメニューが1000メートル×7のインターバル走。間を200メートルでつなぐ。
タイムは1000メートルを3分25秒、200メートルを1分15秒と言い渡された。
この前の400×15のインターバル走を考えると、今回の練習もめっちゃきついに違いない。
「ヤス、もしかして練習メニューが少なくて暗い顔をしているのか? それなら1000×10ぐらいに増やしてみるか?」
「いえ! 結構っす!」
1000×7でも気が重いのに、1000×10なんて言われたら逃げ出します。
「そうか? 設定タイムはそんなに速く設定していない。代わりにあまり400メートルの部分、リカバリというのだが、を短くしてみた。頑張れヤス」
頑張るよ、頑張るけど……。
「ポンポコさんってさあ、絶対Sだよね」
「……ヤス、突然ひどいことを言い出すものではないぞ」
「や、だってさあ。ポンポコさんのメニューって絶対なっがいしきっついもん。俺、ポンポコさんが陸上に詳しいって知らなかったら絶対ついていってない」
「……? 何言ってるのだヤス? 私は陸上については全然詳しくないぞ」
……またいきなり。だったら何でそんなに練習メニューが詳しかったりすんのさ。
「確かに、本を読んだり、一兄に練習メニューを教えてもらったりして知識は蓄えたが、実際に実践させているのはヤスが初めてだ」
……どういうこと?
「『これぐらいのタイムが出せるなら、もう少し練習をきつくしてもいい』というのは、知識として知っているだけで、実際に私自身が目で見て知っているわけではないからな。私にはまったく陸上の経験はない」
そういえば、ずっとずっと昔、陸上の経験はないって言ってたような気がしないでもない。練習方法いろいろ知ってるから、いつの間にか陸上経験あるものだと思ってた。
「というか、今までヤスに話した事はなかったか? 私の中学の頃の部活は美術部だぞ。陸上の経験なぞあるわけがないだろう」
そうなんだ、美術部だったんだ……運動部ですらないのね。今度どんな絵を書いたのか見せてもらお。
「まあ、つまりは今私は具体例を覚えているわけだ。意外と練習をきつくしても、人は壊れないものなのだな」
……え? つまり俺ってポンポコさんの実験台ってことっすか?
「大丈夫だ。経験者の一兄からしっかりアドバイスをもらいながらヤスに指導をしている。陸上に関する本も何冊も読んだ。陸マガは毎月欠かさず買って読んでいるぞ」
それはすごい……のかな?
「大丈夫だ、きっとなんとかなる。2人3脚で頑張っていこうと誓ったではないか」
誓ってはいないけどな。
「……はっはっーはぁ……」
「お疲れヤス。やればできるではないか。設定タイムはあまり守れなかったが」
……ごめん、話しかけないでくれ……。い、息が……酸素が……。
「リカバリ中、ヤスは歩こうとするが、どれだけきつくても走らないと余計にきつくなるぞ。練習も効果が薄れるぞ」
き、きついんすもん。歩かせてくれよ。
「これから冬休みだから、毎日陸上競技場にも通える。思う存分こういう練習ができるな。楽しみだ」
まじか……俺にとっては悲しみだ。
今日の交換日記 あおい
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こんばんは、あおいです。
ヤス君、交換日記、自分のところで止めすぎです。私ちょっと怒ってますよ。
今度こんなにとめたらメンバーから抜けてもらいますからね。
……それで、文系か理系かですか。
私は文系に行くつもりなんですよ。法学部か経済学部のどちらかに行くつもりですから。
ただ、進学するお金があるかどうかが微妙なところなんですよね……お金がないので高校卒業したら働こうかなとも思ってるんです。
この前調べてみたら、国立でもありえないぐらいお金が高いんですね、大学ってそういうところなんでしょうか?
1年目で82万円払えって書かれているんですよ、毎年54万払えって書かれてるんですよ。税金ふんだくりまくってるくせに、国立でも全然安くないんですよ? 国のお偉方ってまったく何やってるんでしょうか。
だから法学部か経済学部にいって、うまく抜け道を勉強したいんですよね。
……そういえば、今のうちにバイトしてお金ためた方がいい気がしてきました。
ユッチ、ヤス君、一緒にどこかでバイトはじめませんか?
それでは失礼します。
こんばんは、ルーバランです。
国立大学なのに、何であんなに高いんだろうとしばしば思います。
それでは今後ともよろしくです。