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296話:スルー力

ふう……今日の部活はしんどかった。や、練習がしんどかった訳ではなく、空気がしんどかった。ユッチが昼休みに覗き見された事を未だに怒っていて、部活の最中もアオちゃんとケンに対して一言も口聞こうとしてない。アオちゃんがどんなに話かけようと無視したまんま。

帰りの電車の中でもむっすーとした顔をしたまんまずっと黙りこくって……3人の間に挟まれた俺とサツキの身にもなってくれ。







ま、何はともあれあの重苦しい空気から解放されて、今日はケンも来ず、サツキと2人。ただいま夕飯中。

カチャカチャと静かに食器と箸の音が響く。会話はないけど、電車に乗ってる時のギスギスした感じとは違って穏やかな空気が漂う感じ。

……ああ、なごむ。


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


静かな時間は終わり、今からはおしゃべりタイム。こういう時間も好き。

ふむ、スルー力か。何か以前に読んだ事がある気がするが……。


「スルーってするう?」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「それがスルー力だぞサツキ。ところでそこまで華麗にスルーされると『スルーってするう?』って言っちゃった自分ってどうなの? とかちょっと思ってしまう。だからそんな簡単にスルーなんてしないでくれサツキ」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「やっぱりスルーするんだなサツキ。ところで『スルー力』ってカタカナで『するーか』って書いてあるように見えるな。『スルー力』、『スルーカ』……うん、すごく似てる。スルー力って言葉、初めて目にする人は『するーりょく』って読めるのかな?」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「だからそんなに華麗にスルーするなと言うに。華麗にスルーと言えば聞こえはいいが、スルーされたほうとすれば無視されたと言う事なんだぞ。スルー力なんて言うかっこいい言葉を使うのはやめたほうがいいと思うぞ。プー太郎もニートと言う『なんか響きよくない?』みたいな言葉が出来てから一気に増大したのかもしれないし」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「ああそうか、どこまでもスルーすると言うのだなサツキよ。もしもスルー力検定と言うのがあったら今のサツキなら100点満点を取れると思うぞ。だがどんなに華麗にスルーされても俺はめげないぞ、いつまでもギャグを言い続けてやる。『カレーってかれーなー』とか」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「今のは華麗とカレーと辛いの3つを掛けた自分としては改心のネタだったのだが、それまでもスルーすると言うのかサツキ。ってかカレーってかれーとか、今でこそ親父ギャグと何故かバカにされてしまっているが、古くは掛詞として短歌や俳句の重要な表現のはずだったのだが、なぜゆえそこまで『さむー』と言われたりスルーされたりしなきゃいけないんだろう? どう思うよサツキ?」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「俺の発言は全スルーなわけだな、サツキ。いいよいいよ。それなら俺もサツキの返事スルーするからー」


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


……返事しないぞ。


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


……返事するものか。


「ヤス兄、スルー力って知ってる?」


「……ああ、知ってるよ」


俺、意思弱いなー。まあ、俺が根負けするのはいつもの事だ。今さら気にする事じゃないな。


「スルー力ってのは物事をスルーする能力の事であり、ここでいうスルーはやり過ごしたり見て見なかったことにしたりすることを言うんだぞ、サツキ。それで、これがどうかしたのか? 何か言いたい事あんの?」


「うん」


「ふう、ようやく違う言葉を話し始めたなサツキ。ところで聞きたいんだけど、俺がずっと返事しなかったらサツキってずっと『スルー力って知ってる?』って言い続けたのか?」


「全然? ヤス兄がずっと返事しないなんてありえないもん。そろそろちゃんと返事してくれるかなーって思ってた」


……俺、いつも思うけど行動パターン読まれすぎじゃないかな。


「それでサツキって突然スルー力について話し出しちゃって、どうかしたのか?」


「んーとね、今日ずっとユッチ先輩、アオちゃん先輩の話スルーしてたでしょ?」


「ユッチのあれはスルーとは言わないんじゃないか? スルーって言うのはさも何もなかったかのごとく振る舞う事をスルーって言うんじゃないの? ユッチの場合はアオちゃんの言葉はすっごいよく聞こえてるんだけど、ボク無視したいんだあみたいな態度があからさまに出てたし」


「私ね、電車の中、すごく居心地悪かったんだよね」


「俺も俺も。もうあんな居心地悪いのこりごりだ。アオちゃんかケンと話しようとするとユッチが睨んでくるし、かと言ってユッチに話しかけたらアオちゃん達が神妙な面持ちで見つめてくるし」


「それでね、ユッチ先輩がアオちゃんの話スルーしないようにしてほしいなと思ったんだよ」


「それはすごくそう思うんだけど、人のことを言う前にまず俺の発言をスルーしまくっているサツキが見本を見せるべきだと思う。今日何回俺の話スルーしたんだよ、サツキ?」


「ヤス兄ならいいの」


何でやねん。ぐれるぞ。


「ヤス兄だから気楽にスルーできるんだよ。私がこんな事出来るのヤス兄だけなんだからね」


……よろこんでいいのか、悲しんでいいのかよく分からない褒め言葉、ありがとう。

とりあえず、喜んどきます。


……こんな感じで今日も夕飯を食べている俺とサツキ。

こんばんは、ルーバランです。


昨日投稿できなくて、来てくださった方すみません。

ネコネコパニック1、2と言うゲームをダウンロードして遊んでたら、いつの間にか24時になってました。面白かったですよー…………ホントごめんなさい!


スルー力については下記から借りました。

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%EB%A1%BC%CE%CF


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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