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286話:ナンバーワンとオンリーワン

今日は12月5日金曜日。

今日もまた居間でサツキとケンと俺の3人が集まって勉強中。カリカリとシャープペンシルの音が居間に響く。

うん、この調子で勉強してればサツキも志望校合格できるだろうし、ケンも進級余裕だろ……それより今回は自分自身がちょっとやばいんだよな。


「そういえばヤス兄、ヤス兄の自慢って何?」


「なんだサツキ、藪から棒に」


ただいま勉強中。意外とテスト範囲が広くてそんな雑談をしてる場合じゃない。いつまでたっても範囲が終わらない。


「いいから教えてよ」


……しかたない、ここらでいったん休憩にして雑談でもしよか。

俺がシャーペンを置くとサツキもケンも手を止めた……お前らよっぽど休みたかったんだな。


「俺の自慢は、サツキって言う妹がいること」


「それは知ってる」


……知ってるのか。


「そうじゃなくて、自分のことで特技とかってなにかないの?」


「自分のことねえ……別にないな」


家事とか別に特技じゃないしなあ。別に誰かに自慢するようなことでもない。


「駄目だよヤス兄、やっぱり何かひとつ得意なことが1個くらいないと」


「なんでさ? 別に俺は俺。このままでいいっすよ」


「んーとね、なんとなく。確かに特技なんてなくても大丈夫だと思うけど、やっぱり特技が1個ある人ってすごいと思うんだよね。射撃とかあや取りとか」


それじゃのび太くんじゃん。まあ、確かにあれだけ得意だとすごいよな、かくし芸くらいにしか使えなさそうだが。


「サツキちゃんの言うとおりだぞヤス。特技は1個くらいあったほうがいいと思うぞ」


……なんでだよ。そんなにかくし芸の役に立つのが大事か? 俺はかくし芸大会やるときは、こっそりと拍手する黒子役がいい人間だ。特技なんてなくてもいいじゃん。


「自己紹介のとき困る」


別に困らない。趣味とか好きなこととか話しておけば場は持つだろ。むしろ延々と特技を話されても、聞いてる方はめんどくさい。

そういや自己紹介に趣味と特技と書く欄があるけど、基本的に両方一緒のことを書きたいと思ってしまう自分。


「他には……就職のときに困るんじゃないか? 今の時代はやっぱりナンバーワンよりオンリーワンを目指す時代なんだぞ、ヤス。そんな歌もあることだし」


ああ、あの歌な。世界にひとつだけの。


「ところで……あの歌が歌われるようになってからずいぶんたつし、ものすごい今更なんだけど……ナンバーワンとオンリーワンってなんだ?」


歌を聴いてもいまいち分からない。


「ナンバーワンは頑張って世界の頂点に立つことでしょ? それでオンリーワンはみんながみんななれるものって思ってた」


……そうなのか。全然分からなかった。


「ええと、つまりは『がんばらなくたっていいさ、もともと俺らは唯一の存在さ。勉強しなくたって、運動しなくたって遊んでたってもともと俺らは特別なのさ』って頑張らないことを推奨する歌か」


すげえな、ニートがわんさかできそうな歌だ。


「ヤス兄、あの歌はそうじゃないよ。『一生懸命になればいい』っていってるでしょ? 『世界の頂点になんてどうでもいいよ、私たちは我が道を行くんだから!』ってオタクを増やすための歌だよ」


……や、違うと思う。


「違うだろヤス、サツキちゃん。『恋人なんて選ばなくてもいい、たくさん愛人を作るんだ』ってことだろ」


……ひでえ。ケンの解釈のが1番ひでえ。


「ケンちゃん、その解釈はさすがにひどくない?」


サツキの解釈も十分ひどかったと思う。俺もひどかったけど。


「でもさサツキちゃん、この歌詞の花って、『人』の事だろ?」


まあ確かに……僕らは世界にひとつの『花』って歌詞でも言ってるもんな。


「だからこの歌の歌詞に『花』をすべて『男』とか『女』とか『子供』とかにあてはめて考えてみると、俺の解釈がきっと正しいんだよ」


「……そうなのか?」


「そうだぞ、よく聞いてみると……『女屋の店先に並んだ』」


いやいや! 女屋ってなんだよ!? その時点で危険だろ!


「『いろんな女を見ていた』」


優柔不断なのか、プレイボーイなのか、女泣かせなのか……そんな感じに聞こえるな。


「ちょっと中略して、『そうさ 僕らは 世界に一つだけの男、一人一人違う種を持つ その子供を生ませることだけに一生懸命になればいい』」


……異常なまでにエロそうな歌に変わったな……ケン、お前はそれでいいのか。そんなことを考えてていいのか。


「そして2番では『その人が抱えていた色とりどりの女束と嬉しそうな横顔』なんだぞ」


女束……すげえなおい。どんなハーレム状態だよ。

ってかケン、何かこの歌に恨みでもあるのか? あるのか?


「ケンちゃん、さいてー」


「ええ!? ……でもこの歌はきっとこういう妄想から誕生したにちがいないんだって!」


や、さすがにそんなことは無いと思う。


「ケンちゃん、さいてー」


「なあ! ヤスも俺の意見に賛成だろ!?」


「全然」


まったくもって思わない。ケン、さいてーだと思ってる。


「ヤス、お前は最後の最後で裏切るのか!?」


や、俺最初っからケンの味方になってないし。いつだってサツキの味方だし。


「ヤスもサツキちゃんも、もうちょっと俺の話を聞くときっと俺の気持ちが分かるから、もうちょっと俺の話を聞こう」


「サツキ、そろそろ休憩終わらせて勉強しよか」


「そだね、ヤス兄」


「おい! そこの兄妹! 話聞いてくれよ!」


ケンがまだぎゃーぎゃー何か叫んでるけど、俺もサツキも無視して勉強再開……ま、ケン。自業自得と言うやつだ。

こんばんは、ルーバランです。


不快に思われた方すみません。

こんな話ですが、私あの歌好きです。カラオケ行くと大抵歌います……それなのに、なんでこんな話になったんだろう。


それでは今後ともよろしくです。

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カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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