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279話:のんびりと夕食中

部活も終わって、今は居間にいて夕食中。

今日の夕食は天ぷらなり。ちくわ、カボチャ、いんげん、いも。どれもこれもうまいけど、今日はタマネギの天ぷらがうまくできた。

ふう……でも料理はうまくできても『ただしイケメンに限る』んだよなあ……。


「大丈夫だよヤス兄、私イケメン嫌いだもん」


「……ほんとか?」


「ほんとだよ。だってイケメンの人って大抵ボケないんだよね」


「ほうほう」


確かに、イケメンがボケてるのは見ないよなあ。


「かといっていけるツッコミをする訳でもないんだよね。おいしいところしか突っ込まないんだよ」


「そうなのか!?」


ズリイなイケメン。それはダメだろイケメン。滑ったボケも拾ってこそ本当のツッコミだろ。


「やっぱり話術の巧みな人か、体張ってる人がいいよねー。顔はとりあえずどうでもいいよね」


うんうん、そういう言葉が聞きたいよ。『ただしイケメンに限る』なんて聞きたくないよ。


「んでもさ、聞いてみたいんだけどサツキの一番好きな顔ってどんな顔?」


「え? んーとね……それじゃあヤス兄にしとくよ」


「おお、ありがと! 俺も一番好きなのはサツキだから」


そう言った瞬間ちょっとサツキの顔が赤くなった。多分ちょっと俺の顔も赤い……。

くさいセリフは俺に合わないな……。


「……お前らさあ、兄妹で見つめ合うのも、俺無視するのもやめてくんないか」


ち、兄妹のひとときを邪魔するやろうめ。ケンはとりあえず天ぷら食べとけ。


「ケンちゃんってば無視されてひがんでるー」


「はいはい、ひがんでるひがんでる。だから無視すんな」


そこまで無視してたつもりじゃなかったが……そんなにうっとうしかったか?


「しかし……話し変わるけどユッチの落ち込みっぷりどうにかならんかな? ヤスもサツキちゃんも現場にいたんだろ? 慰めようがないのか?」


「サツキが頑張ってずっと励ましてくれたんだけど……全然やね。俺としてはアオちゃんがユッチに『ひどい事言ってごめんなさい。私、ユッチが大好きです』って言ってくれればそれだけで解決だと思うんだけど」


アオちゃん、自分は悪くないって相当意固地になっているみたいだしなあ。


「ケンカでも何でも、謝るのが遅れれば遅れるほど、何だか謝りにくいよな。ヤスとサツキちゃんはそんな経験ない?」


それは確かにそうだよな。でも頭では謝らなくちゃ分かるけど分かるけど、謝れないんだよ。

謝れてしまえば何でこんな簡単な事ができなかったんだろうって思うけど、その一言を言う事がすごく難しいんだよな。ほんと『ごめんなさい』の一言ってとっても難しい……。

自分もケンカしたらきっと中々謝れないだろうなあ……。


「そう言えば、俺とサツキとケンのこの3人でケンカした事って何かあったっけ?」


「私とヤス兄は全くないよー。ヤス兄、私にはホント怒らないから。ヤス兄と私ではケンカした事あのとき1回きりだと思うよ」


ああ……サツキを大泣きさせた時の話な。確かにあれから1回も怒ってないなあ。


「俺とヤスもそんなにケンカしないよな」


「そうだよな、なんでだろ?」


もうそろそろケンとの腐れ縁も10年になろうと言うのに、ケンカした事なんて片手で足りるからな。


「ヤスが俺に怒らないからだろ? あれだけいじられても怒らないヤスは貴重だと思うぞ」


「んー……やっぱりその理由は怒ると楽しい空気がなくなるからだな。ピエロが怒ったらサーカスは台無しだろ? それと一緒だよ。どれだけムカつこうが、いじられてる間は俺はピエロを演じるのだよ」


決まった……なんて名セリフだ。


「今、『決まった……』とか思ったでしょ。ヤス兄」


うん、なかなかうまい例えを思いついたなと思ったぞ。


「でも、ヤス兄っていじられててもそんなにムカついてないんだよねー、本物のピエロとは違うよね」


うん、その通りだぞ。でもそれをわざわざ言わないでくれ、妹よ。


「私とケンちゃんは結構ケンカしてるよね」


「そなの? なんで?」


ケンからもサツキからもそんな話は初めて聞いた。


「最近ケンカしたのは、ヤスが寝てる時に額に『肉』と書くか書かないかで議論になって」


……しょうもない事でケンカしてんな、2人揃って。


「後、ケンちゃんが俺も交換日記やりたい! って話でケンカになったね」


別にケンが入ってええやんと思ってるけどダメなんか?


「サツキちゃんが『ユッチ先輩、ケンちゃんの事苦手だからダメ!』って言ってケンカになった。なんか俺ユッチに嫌われるような事したか?」


「ケンちゃんは男だからダメなんだよ」


……サツキ、俺男だよ? ユッチもアオちゃんもサツキも、俺の事どんな風に思ってんの?


「そうか……じゃあしょうがないな」


ケン! そこで納得しないでくれ! ケンもどう思ってんだよ俺の事!?


「ま、いずれにしてもアオちゃんとユッチ、早く仲直りして欲しいよな」


だよな、今日の部活ユッチが1人落ち込んでるだけだったのに、本当にお通夜にでもいるみたいな雰囲気だったもんな。

ユッチ、この半年間でほんとに陸上部のムードメーカーになったんだなあ。

……色々仲直りの手段、考えるか。


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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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ええじゃないか
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