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271話:禁則事項です

11月22日土曜日。天気は曇り。今日もまた陸上競技場へ。

陸上競技場に来てみたら、1つの人影……あれは、アオちゃんか。


「おはようございます、アオちゃん先輩」


「あ、おはようございます。サツキちゃん」


「おはようさん。 アオちゃんさ、何でマスクしてんの? この時期だったら花粉症も関係ないし……風邪?」


「いいえ。なんでしているのかと聞かれましたら、風邪の予防と答えます」


……なんのこっちゃ。


「……そういやさ、今日ポンポコさん来てる?」


「いいえ? まだ来てないですよ? あとヤマピョン君もまだ来てませんね」


そっか、まだ来てないかあ。


今週ずっとヤマピョンもポンポコさんも来なかった。

まあいつか来るだろうと思って、ポンポコさんのクラスまで見に行く事もしてない、ウララ先生によると学校を休んでる訳ではないらしい。学校に来てるんだったら何で部活に来ないんだろうな。


「大丈夫ですって、きっと新型インフルエンザを警戒して、2人とも家に引きこもってるんですよ」


「……アオちゃん、何の話?」


「海外では既に死者も出てますし……今日本でも感染者が150人を超えたそうですよ? とりさんが危ないって言ってたはずでしたのに、実は危険だったのは豚さんだったんですね」


「だから何の話?」


「大阪や兵庫では休校してる学校も4000校を超えるとか超えないとか……お悩み相談室ではそんな電話対応で追われっぱなしになったとからしいですよ? ほんと怖いですね。ヤス君もサツキちゃんも家に帰ったらうがい手洗いをしっかりして、外に出たら人ごみに行ったらダメですよ?」


「だから何の話だよ!?」


「禁則事項です♪」


唇に人差し指をあててにっこり笑うアオちゃん……ちょっとだけかわいいとか思ってしまったけど、それ以上にアオちゃんをどつきたくなってしまった。アオちゃん、お前は未来人か。


「おっはろお! ヤス、サツキちゃん」


「おはようさん……ユッチは今日も元気だな」


「ボクはいつだって元気だよお?」


嘘をつけ、ついこの前ものすごくしょぼくれてたやんけ。


「ちなみにユッチ、『おっはろお』とは『おはよう』と『はろー』を混ぜ合わせたもので、午前と午後の境目あたりに使うセリフだ。午前中に使うのは変だぞ」


「いいじゃんかあ、ボクがどういう風に使ってもお」


「ヤス兄、理屈っぽいよ。基本的に通じれば何でもいいんだよ」


「や、でも日本語はできる限り正しく使ったほうが」


「ヤス兄、正しい日本語なんてないんだよ。本人と話してる相手がいいと思えば、それが正しい日本語だよ。そもそも『やんけ』なんて言葉使ってるヤス兄がそんな事言っても説得力ないよ」


何で俺の心を読まれているんだろう? そして正論を話したはずなのになぜ俺がせめられる事になったんだろう……。









結局ヤマピョンもポンポコさんも部活に来ないまま土曜日の練習が終わってしまった。

練習内容、いっつもポンポコさんに考えてもらってたもんだから、何すればいいか分からず、先週と全く同じ練習メニューをこなす事にした。15キロ、1キロあたり4分……つらかった。


「ヤス兄、お疲れー」


「ありがと、サツキ」


短距離の練習は俺が走りきる頃にはもう終わってて、ストレッチしてる。

ちっくしょ、1人だけひいひい唸ってるのは何だか悔しいぞ。


「まじ疲れたあ……1人で練習ってきつすぎっすよ。やっぱり練習相手が欲しいっす。何でヤマピョンもポンポコさんも来なくなったんだろうね?」


「ヤス兄がなんかしたんじゃないの?」


「した覚え全くないんだけどなあ。ううんと……ちょっといじったりしたのかなあ……」


その記憶すらない。仮に俺が何かやらかしたんだったら、この前のユッチみたいにオーバーな反応してくれたら、分かりやすいのに。


「ヤス兄。ヤス兄はいじられるのが快感なのかもしれないけど、みんながみんなそう言う訳じゃないんだよね。いじられた事をいじ『め』られたと思ったのかもねー」


「や、別にいじられるのが快感なわけじゃないから! そんな爆弾発言しないで!」


俺別にMじゃないっすから! なかなか誰にも信用されないけど、これ、本当に本当だからな!


「でも、些細な事で人って傷つく事もあるんだから注意してね、ヤス兄」


「散々俺をいじって傷つけてるサツキのセリフじゃないよな」


「ヤス兄はいいの」


「何でだよ!?」


差別だろ!? 理由を聞かせてもらわんと納得いかねえ!


「禁則事項だよ♪ ヤス兄」


唇に人差し指をあててにっこり笑うサツキ……うん。かわいいし、理由聞けなくても、まあいっかあ。










今日の交換日記 さつき

ーーー

こんばんはー、サツキです!

今日は部活終わった後、ヤス兄と商店街に買い物にいって来ました!


そしたらヤス兄ったら、あるお店の前で突然立ち止まって、何かをものすごい凝視してたんですよ( ̄_ ̄@) 何みてるのかなあって思ったら、女の子向けの子豚の目覚まし時計( ̄(●●) ̄


『すっげえかわいい……』とかつぶやいてないでね。私、ちょっと恥ずかしかったんだからヾ(- -;)


それじゃあ、また!

こんばんは……そして何か色々ごめんなさい。


インフルエンザには気をつけましょう。私も明日からマスクです。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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ええじゃないか
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