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268話:握手で仲直り

ただいまユッチの家で晩御飯中。バンバンジーを食べながら、会話に花が咲いてます。

それにしても……このバンバンジー、うまい。特にこのたれ……絶対に市販のバンバンジーのたれとかじゃないよな。ユッチの家で作ったたれっぽいんだけど……ほんとどうやって作ってるんだろう。なんかユッチ家代々に伝わる作り方とかあるんだろうか……後で教えてもらえないかな。


「そういえば、ゆうとヤス君って何でけんかしたの?」


お姉さん、聞かないで! せっかくユッチが機嫌直して普通にしゃべってるのに。


「………………………………別になんにもないよお」


「あ、そうなのユッチ? もう怒ってない?」


怒ってないんだったら嬉しいんだけど。


「……」


「おーい、ユッチ?」


「……」


返事がない。返事をしてくれない。ここで『返事がない。ただの屍のようだ』って言ったら、きっとまた怒るんだろうな……。


「ユッチ、返事して」


「……」


ああ、せっかく普通に話してくれるようになったのに、まただんまりになっちゃった。しかも俺の顔を見ないよう、俺に背を向けて、誰がお前と話すもんかあって雰囲気をぷんぷんとかもし出してる。


「もうゆうってば。黙ってちゃ何にもわからないでしょ!」


「……ボク別に何にもないもん。ヤスとなんか、いっつも話してないんだもん。ボク、いつもと一緒なんだからあ」


「何言ってるんだか。いっつもヤス君の話ばっかりしてるくせに」


え、そうなん?


「してないしてないい! お姉ちゃん、変な事言わないでよお!」


「ユッチってば毎日ヤス君の話してるんだよ。今日はあのヤスがまた変な事してたあって」


へえ、そうなんかあ。って変な事って……ユッチの家で俺はどんな風に話されてるんだろう?


「してないしてないい! お姉ちゃんのバカあ!」


「ええ? そうだったかな? 昨日なんて『ヤスがまたボクのお「言うなあ! お姉ちゃんのバカあ!」


『ボクのお』……続きはなんなんだろう? すごい気になる。


「で、ヤス兄、結局ヤス兄とユッチ先輩って何でけんかしてるの?」


別にけんかしてるわけじゃないんだけどな。ユッチだけが怒ってて、一方的に話してくれないだけだから。


「うーん、俺がユッチにひどい事言ったから」


「ひどいこと?」


ええと……あのときの話をすればいっか。








ユッチのお姉さんとサツキに、ユッチを怒らせてしまった経緯をかいつまんで話した。


「……とまあ、こんな感じです」


「ヤス兄ってば空気読めないねー」


……はい、反省しています。


「それにしても……ゆうもそれぐらいで怒らないの」


「だってだって、ヤスってばボクのこと仲間はずれにしようとするんだもん! ボクの事いらないって言うんだもん!」


「そんな事言ってないでしょ。ヤス君はわさびが苦手って言っただけじゃない」


「ボクわさびだもん!」


……ごめん、訳がわからない。


「そうなの? ゆうはわさびだったんだね。だったら明日の晩御飯はわさびたっぷりつけたさしみにでもしようかな」


「だめだめだめえ! さしみは大好きだけど、わさびはだめえ! さしみはおしょうゆだけつけて食べるのがおいしいんだあ」


おいユッチ、今聞き捨てならんことを聞いたぞ。この前俺がわさびが苦手だって言ったときに怒ったくせに、ユッチもわさび嫌いなんじゃんか。だったら怒るなよ。


「ゆうはわさびでしょ。だったらお仲間のわさびも好きに決まってるでしょ」


「わさび鼻にツーンと来るから嫌いなんだあ! お姉ちゃんだってボクわさびが嫌いだって知ってるでしょお!?」


嫌いな理由も一緒やん。だったら何で俺、この前怒られにゃいかんかったんだろうと思ってしまう。


「でも、ゆうはわさびなんでしょ?」


「ボクわさびじゃないもん!」


……30秒前に行ったことがもう覆された……すまん、俺会話についていけてないわ。

普通の姉妹の会話ってどこの家庭でもこんな風なんだろうか?


「ほら、ヤス兄。黙って聞いてないで、悪いなって思ってたらユッチ先輩に言うことがあるでしょ?」


ああ、そうだった。なんだかんだ言っても、俺がユッチを傷つけたんだから、俺がわるいのには違いない。だったらユッチに言わなきゃならないことがあるよな。


「ユッチ、ごめんなさい」


「……ふんだ。ヤスなんて知らないんだからあ」


「ごめんなさい」


「……ふ、ふんだ!」


「……ごめんなさい」


「ふんだ、謝ったって許さないんだあ!」


……どうやったら許してくれるんだろう。


「ヤス君、もう謝らなくていいよ。ゆうったら怒ってないんだから。ヤス君に謝らせていい気分になってるし」


「お姉ちゃん! そんなことないもん! ボク怒ってるんだからあ!」


「ゆう、いい加減にしなさい!」


「……はあい」


……さすがお姉ちゃん。お姉ちゃんパワー恐るべし。ユッチってばさっきからお姉さんの言うことをすっごいよく聞いてる……あれが普通の年上の姿だよなあ。俺なんてサツキに馬鹿にされまくり。どっちが年上だかわかんなくなるときもあるし……威厳も尊敬もあったもんじゃないもんなあ。


「しょうがないなあヤス。もうボク怒ってないから仲直りしてあげるよお」


「……ゆう、ゆうは本当に仲直りする気あるのかな? ちょっとお姉ちゃん、イライラしてきたなあ……」


「お姉ちゃん、ごめんなさいい! ボクが悪かったから怒らないでえ!」


ほんとユッチってばお姉ちゃんに頭が上がらないんだなあ。


「ヤスう、仲直りしてもいい?」


「こちらこそ。仲直りさせてください」


すっと右手をユッチの前に差し出す。


「……うん! 仲直りの握手だあ!」


ユッチとぎゅっと握手。ぶんぶんと上下に振り回す。ものすごく嬉しそうに笑ってるユッチ。

……あ、ようやくユッチが俺に向かって笑ってくれた……よかったあ。

こんばんは、ルーバランです。


わさび、私は好きなんですよね。

好きなんだけど、ついつけすぎて涙を流してます。

ほどよい量を上手につける方法、何かないかなあ。


それでは今後ともよろしくお願いします。


2009/5/17

追記:120話の『ダークヤス、降臨』でユッチがわさび嫌いって事書いてましたね。

完全に忘れてました(ーー; 別に矛盾が生じた訳ではないですが、書いた事はできる限り忘れないよう気をつけます。

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