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266話:はばとはぶ

ユッチが部活に来ない……。


「ポンポコさん、俺のせいかなあ……」


「どうだろうな? 原因のひとつかもしれないが」


……あうう。ひどいこといってしまった。


「わたしも詳しく知らないが中学のときに、はばにされた経験があるそうだな」


「はばにされる?」


なんだそれ。初めて聞いた。


「仲間はずれにされることを『はばにされる』と言わないか?」


「や、それは『ハブにされる』じゃなかったっけ?」


「そうなのか? ヤマピョンは知っているか?」


「…………む、村八分?」


「そうそう、それ。『村八分にする』をはしょって『むらはちぶにする』『むらはぶする』『ハブる』から、『ハブにされる』って言うようになったはずだぞ」


うん、なんかすっきりした。だから『ハブにされる』の方が正しいんだよな。

そう言えば、以前にユッチが仲間はずれにされてたって話、聞いた事あるような……仲間はずれと言うか仲直りできなかったと言うか。


「ユッチって1人でいるの嫌いそうだよなあ……」


「そうだな」


「今日の昼休みも、みんなでわいわい騒ぎたかっただけなんだよな」


「……そうかもしれないな」


「ひどい事言ったなあ」


「気にしろ」


……はい、気にします。

気にするなって言ってくれることをちょっと期待してたのに、厳しいです。ポンポコさん。


「それで、ヤスはどうするのだ? 今から部活をサボってユッチに謝りに行くのか、練習が終わってから謝りに行くのか?」


……その2択しか無いんすね。明日謝るとか、電話やメールで謝るとか言う選択肢は無いんだろうか。


「ええと……練習してから謝りに行きます」


ヤマピョンいるし。俺1人先帰ったらまずいだろ。


「そうか。それなら今日の練習は10000mを1キロ、3分50秒のペースくらいにしておこうか」


「了解っす」


いつもよりは短い……きっとポンポコさんなりに早く練習が終わるよう考えてくれたんだろう、やっぱり長いけど。


「ユッチと仲直りするまで、ヤスは顧問探しをしなくていいからな。私とヤマピョンで何人か当たることにする」


……ラジャです。





アップも終わり、スタート位置につく。


「1000mごとにヤマピョンとヤスが先頭を交代するように。自分でペースを作る力をつけよう」


「了解、ポンポコさん」


「それでは行くぞ……ヨーイ……スタート」


ヤマピョンと2人、同時にスタートする。まずは俺が先頭に立つ。

タッタッ、と軽快なリズムで走る。ヤマピョンの足音と自分の足音が重なり、よりいっそうリズムよく走れる。


さてと……練習さっさと終わらせて、ユッチに会いに行かないとな……。








……ひぃ……はぁ……。


「ヤス! 後1000mだ。死ぬ気でヤマピョンに食らいつけ!」


オニ……ポンポコさんの頭にツノが見えるよ……。

3000mあたりからずっとヤマピョンが俺の前を走り、引っ張り続けている。


……ひぃ……はぁ……。


あかん、ここまで頑張ってみたけど、もう無理だって。無理だと思った瞬間から、徐々にヤマピョンとの差が開いてきた。

5m、10m……1度開いた差は中々縮める事はできない。

……つーか、ヤマピョンペースあがってるし。3分50って言ったんだから3分50で走ってえな。


「ヤス! 遅れるな!」


無理……ムリ……むーりー……。






ぜっ……はっ……ぜっ……はっ……。

何とか10000m走りきった。タイムは……38分10秒……はええな。この前キャプテンが駅伝で走った10キロのタイムよりはええ。

ヤマピョンは俺よりかなり前にいたから、もしかすると38分きったのかも知れない。

ヤマピョンを見ると、まだまだ余裕があるのかその辺りを歩いている。もっと走りたいと言う様子さえ垣間見える。

全然呼吸も整ってなく、地面にへたり込んでいる自分とは大違い。


なんなんだろうね、このやるせなさ。高校入学時の実力はヤマピョンのが確実に実力が上ってのは知ってるけど、ヤマピョンが部活に来て練習やり始めたの、ここ最近なんだぞ。俺、ずっと練習やってきてるんだぞ……なんで未だにこれだけ実力に差があるんだよ…………これが才能の差ってやつなのかなあ。ヤマピョンと練習すると、頑張る意味が感じられなくなってくる。


「お疲れヤス。今日はちょっと集中力が欠けていたな。とくに最後1000mは集中力が完全に切れていたぞ」


「……そっすか?」


「そうだ。ユッチの事が気がかりだったのは分かるが、練習をするのだと決めたら、他の事は忘れるように。目の前の事だけに集中するようにする事だな」


……ユッチの事が気がかりだったのもあるんだけど、集中力散漫だったのはそれが理由じゃない。ヤマピョンのせいだよ。


「ダウンをしたらすぐにユッチの家に行くよ。顧問探しのほう、ポンポコさんよろしく」


「ああ、わかった」


「…………やす……ご苦労さま……」


……ヤマピョン、自分が疲れてないからって、どれだけ上から目線だよ。

なんか腹立たしかったので、返事しないままダウンをして帰る事にした。


ユッチは家にいるかなあ。

おはようございます、ルーバランです。


私の地元では『はばにされる』だったんですが、ネットで調べると『ハブにされる』のが多く出てきました。

皆さんはどちらを使いますでしょうか?


それでは今後ともよろしくお願いします。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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