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25話:部内レース

俺とヤマピョンが集まると、部長らしき人が話し始める。


「まず、1年生の現在の実力を知りたいと思ってる。だから、今日の練習は全員でレースをするぞ」


部長らしき人が、今日のメニューを告げる。いきなりレース!?おかしくないか、それ?

大体、体力テストで、実力って分かるもんじゃないの?


「確かに体力テストの結果でも多少は分かるが、実際に走って、その結果を見た方が分かりやすい」


まあ、確かにそうかもしれないが、今日初めて来たやつなんて、いきなりレースはきつくないか?

今まで仮入部期間、どこにも行ってなかったとしたら、運動を今日までほとんどしてないってことだぞ?

そんなやつが走ったら、怪我しやすくなるだろ?


「コースは、この学校の外回りのコースを3周だ。1周が大体1kmぐらいだと思う。途中で無理だと思ったら、リタイアしてくれ」


なるほど、マルちゃんが走りきるのは無理だと思ったんだろうな。この前も1周でばてて休んでたし。


「じゃあ、後5分後に始めるぞ!」


時間みじかっ!レース前って何すればいいの!?

とりあえず、周りの先輩達が、流し(100mくらいの距離を70〜80パーセントで走る事)を始めたので、俺も真似して流しをしておく。

短距離に比べて、ウォーミングアップの時間が絶対短い気がする。気のせいか?


「じゃあスタートするぞ、この校門前がスタートで、ゴールでもあるからな。」


「位置について」


パンと手を打った。あれ?ヨーイって無いの?

一斉に走り出してるし。1年生組は全員で出遅れた。

先輩!教えとけよ!


慌てて走り出す。3周もあるので、50mと違ってこれぐらいの遅れはどうにかなる。時間にして1秒も無いだろう。

マルちゃんともう一人の1年生はさっさと置いてかれてしまった。


俺は、1番遅い先輩の後ろにつく。初めてのレースなんだから、どんなスピードで走ればいいか分からないから、とりあえずついて行く事にしたのだ。ヤマピョンも同じ事を思ったのか、俺の後ろについた。


……しかし、いままでスローペースでの練習しかしてなかったから、きつい。

半周走った時点で、もう息が切れてきた。


と、ここで、ヤマピョンが前に出た。なんかじれたみたいに飛び出した。

……あいつ、意外と速いんだな……もしかすると中学校のときも陸上部だったのかも。


もう俺の前を走っている先輩をも抜かして、ヤマピョンはどんどんと前に行く。

俺はヤマピョンは無視して、この先輩に食らいつく。


……やっと1周だ。あと2周もあんのか……。


まだ半分も走ってないかと思うと、気が遠くなる。

こう言う時は、先の事を考えちゃ行けない……。


俺は前の人の足だけをじっと見つめ続ける事にした。

タッタッと走る音に合わせて俺の足も動かす。

なんかこうしてると、体が勝手に動いているような気分になる。


2周目が終わった。


2周目が終わった時点で、今まで後ろにずっと食らいついていたのに、完全に置いてかれた。


さっきの体が勝手に動いているような感覚はまやかしだったみたいだ。

息もきれて、ゼーゼーいっている。苦しくて仕方が無い。

ぶっちゃけ、もう止めたい気分だ……。


電柱を見るたびに、あの電柱までは知ったら止めよう。そしてそこまで走ったら、また次の目印を見つけて、そこまで頑張ろうと叱咤する。

止めるのは負けた気分だ。とりあえず完走だけはしてやる!


後半周だ!ここまで来たら、ゴールが見えてくる。

重くなって動いてくれない足を何とか上げて、ノロノロと走る。

さっきまではタッタッというリズムだったのに、トテ、トテ、と言うリズムも何もあったような走りじゃない。

そんなに暑くないのに、Tシャツも汗でベトベトだ。


校門のゴールが見えてきた。なんだかゴールが見えた途端に足が回復したのか、全力疾走する。

きつい……もうゴールした人たちが、座って俺の事を見ている。


やっと3周だ……何とか走り終わった……。


俺は地面に倒れ込んだ。ゼハーゼハーとさっきから声を出す事も出来ない。


「お疲れ様」


先輩が声をかける。話しかけないでくれ、きついんだ。


「君が最後だね」


……あれ?俺の後ろにはまだ1年の2人がいたはずなんだが……


「後ろの2人はリタイアしたから、実質君が最後なんだよ」


疑問が俺の顔に出てたのか、先輩が教えてくれる。名も知らぬ先輩よ……ありがとう。







数分経って、息が整ってきたので、俺は立ち上がって長距離のグループにいる所に行く。


「おー、やっと復活したか。今日のレースで、1年生の実力が大体分かった。お前はずいぶん速いんだな」


ヤマピョンに声をかける。びくびくして返事をしない。ヤマピョン、何でもいいから声を出せ。


「……ふぅ……後、ドベだったが、何とか完走したお前、お疲れさん。2、3年の最下位とそんなに差はないぞ。追い抜けるかもな」


「……はい、ありがとうございます……」


俺はとりあえず返事をしておいた。俺にはそこまで期待をかけないでおいてくれよ。

ってかヤマピョン、ため息つかれたぞ。反応しとかないと、居づらくなるぞ。


「後、残りの2人、今後はもっと距離を走れるように頑張るように、特に弟よ。お前もっといけただろう?


あ、まだ名前を知らない1年生のやつ、あの人の弟だったんか?だから入部したんだな。

結局マルちゃんはどれくらい走ったんだろ?


「兄貴、それは無理だ」


「一応、ここでは敬語で話そうな。以上、今日の練習はこれで終わりだ。」


この後、ストレッチをして、ウララ先生の所に挨拶にいった。

今日は歓迎会があるからか、短距離の方ももう練習は終わってたみたいだ。

ふう、初めてまともな練習だった気がするな。


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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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ええじゃないか
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