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249話:部内抗争

10月31日、金曜日。天候曇り。

学校も終わり、今日の部活が始まる。

今、準備運動してる最中、ポンポコさんと今日のメニューについて話し合ってる。


「ヤス、そろそろ調整をした方がいいぞ」


「調整?」


ポンポコさん、なにをおかしな事を。


「明後日が駅伝なのだ。今日も明日も思いっきり練習してしまったら、体力が残らないだろう?」


「あれ? でもポンポコさん、新人戦の時には『ヤスなんぞが調整したってどうにもならんわ、このボケ』って言ってなかった?」


「誰がそんな事を言った!」


……あれえ? そう言われたような記憶がかすかにあるんだけど……違ったかなあ。


「全く……変な事を言うな。私はそこまで毒舌ではない」


「…………そうだっけ?」


ポンポコさんほどの毒舌なんてそんなにいない気がするんだが。


「そうだ! 私は毒舌などではない! ……まったく、話がずれたな。 確かに私は新人戦では調整するより練習した方がいいと言った。なぜなら十分に実力がついていないのに調整だけしてもタイムがそこまであがると思えないからだ」


「お、って事は俺って結構実力ついたって事?」


「ふっ……寝言は寝ていえ」


うわあ……鼻で笑われたあ……。


「だが、ヤスは言ってくれたではないか。『駅伝は私の為に走る』と」


うん、言った。今でももちろんそのつもりだぞ。


「だったらそう言ってくれた人に、1秒でも速く走って欲しいと言うのが乙女心というものだろう?」


乙女? 誰が? 男心の間違いじゃね?


「……………………今思ったことを口にしてみよう、ヤス」


「いえ……結構です」


何か絶対怒りそうだもん。


「大丈夫、私怒らない、私嘘つかない」


いや、絶対怒ってるだろ! ポンポコさん、口が笑ってるけど目が怒ってるんだもん。口調も片言になってるもん。


「いいから言うのだ!」


……はい。















両ほほが真っ赤になるぐらいビンタされた……ジンジンする。とっても痛い。


「くそお……口だけじゃなく、心も災いの元なのかなあ……」


しかし、どうしろと言うのだろう。何も考えるなと言う事なのだろうか……。


「…………こ……こんに……ちは……」


「ういっす、ヤマピョンか、こんちはー」


いやー、今週から一緒に練習する相手ができてめっちゃ楽しい。1人で走るより、仲いい誰かと一緒に走るのって本当にサイコー。仲いいメンツとじゃなくても、誰かの歩調に合わせて走るのって気持ちがすごく楽になる。ヤマピョン様々だね。


「………」


「………」


のんびりとストレッチ中。背中をグーッと伸ばす。気持ちいい。


「………」


「………」


今度はふとももー。


「………」


「………」


ふくらはぎー……。


「………」


「………」


アキレス腱ー……。


「………」


「………はぁ」


「な……な、な……なに……?」


「いや、何でも無い。ただ、いいなあと」


「…………?」


ヤマピョンといると何だか和む。静かな時間を過ごすには最適な相手だよな。


「そういやポンポコさんから聞いたんだけど、今日から駅伝まで、2日間しか無いけど、調整に入るってさ」


「……そ、そう……な、な…………やる…………?」


「んーと、ポンポコさんいわく、40分から50分ぐらいジョグした後、駅伝で走る位の早いペースで外周を1周走って、その後流しを3本暗いやっとくといいんじゃないかなと言う事だ」


「…………わ、わか……た」


「わからん」


……何だよ、突然口を挟むなよ。


「……え…………だ、……だれ……?」


「中長距離のキャプテンをつとめてる2年の先輩。先輩、何ですか?」


ウララ先生の特権を使って3区4区で走れる事が決まった時点で、先輩たちなんてどうでもいいやあと言う気持ちになってしまっている。

……俺って嫌なやつだ。


「駅伝についてだ。ウララ先生が勝手にお前らを3区4区に決めてしまったが、俺らは全くもって納得していない」


「え? 何でですか?」


そもそも先輩たち、駅伝に出たいかどうかすら分かんなかったし。


「俺たちは俺たちで、もう区間も決めていたんだ。3区は俺が走る予定だった」


はあ……そですか。


「ヤスは5区か6区を走ってもらう予定だった」


5区と言うと……3キロか、6区は確か5キロだったな。


「ヤマピョンの出場する区間は無い! そもそもヤマピョンは補欠に名前がのっている事自体がおかしいと思っている。だいたい今まで幽霊部員だったやつになんで3区なんて花形区間をまかせなきゃならないんだ」


……自分が花形区間を走りたいだけじゃね? この先輩。


「幽霊部員なんぞに3区は任せん。同時に一緒に練習をしていないヤスに重要区間の4区は任せん!」


……この自己中心的野郎め……。


「別にいいじゃないですか。俺、先輩より頑張ってきた自信がありますよ。頑張ってきた人が走る。何か問題ありですか?」


「問題ありだ! 駅伝はチームだ! タスキをつないで初めて駅伝だ。つなぐ相手によって士気が変わる!」


……何を言ってるんだか。


「だったら俺とヤマピョンを6区7区、もしくは1区2区に置いてください。つなぐ相手は1人ですみます」


「ヤマピョンは走らせないと言ってる」


……強情な。


「それなら、部内レースで決めましょうよ。速い人が代表として駅伝を走る……何か問題ありですか?」


「だから幽霊部員なんて走らせたくは」


「幽霊部員なんかに負けるような練習しかしてこなかったんですか? 先輩。大口叩くなら勝ってくださいよ」


「……やってやろうじゃん」


挑発に乗りやすい先輩だな。


「今日、外周5周して、速い方から順番に駅伝を走ると言う事で決定だからな」


「了解です」


めっちゃ短っ! って思ってしまったが、ここは同意しとくか。

……絶対勝って駅伝に出場してやるからな。

こんばんは、ルーバランです。


駅伝は高3の秋までやってました。高3の秋、駅伝前日の練習が『試合のペースで自分の区間の1.2倍の距離』……先生、いじめですか? と思いました。最初は1.5倍だったのをみんなで言い合ってやめてました。


高校の先生は調整をほとんどやろうとしない先生でしたねー。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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