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246話:つるの一声

10月27日、月曜日。

駅伝は11月2日、とうとう駅伝まで1週間きった。なのにいまだに走順すら決まっていない。しょうがないので、もう1度先輩たちと駅伝について話し合うことにした。

今は昼休み。先輩たちを探してあっちをふらふらこっちをふらふらと歩き回っている最中。

……あ、先輩1人見つけた。


「先輩、ちょっといいですか?」


「やだ」


…………え?

その先輩は一言言い捨てると、歩いて去っていってしまった。あれ? なんか俺まずい発言をしたかな?

しょうがない、別の先輩探して話してみるかあ。あ……別の先輩だ。


「先輩、ちょっといいですか?」


「ちょっとならいいよ」


おし、この先輩ならちょっとくらい話を聞いてくれそうだ。


「あのですね」


「はい、ちょっと経った」


…………え?

その先輩も去ろうとしてく。


「や、ちょっと待ってくださいよ! 俺の話し聞いてくださいって!」


「さっき『ちょっと』待っただろう? これ以上お前の話を待つつもりなんてないぞ」


いやいや! そんな小学生みたいな屁理屈してないでさあ! もうちょっとひきとめようと頑張ってみたんだけど、俺を無視してさっさといってしまった……何で俺と会話しようとしてくれないの?

くそお、3人目にチャレンジ! もっといい感じに話し合えたらいいのに。

おし、3人目の先輩を発見、これから任務を遂行する!


「先輩、ちょっといいですか?」


「……なあにい?」


お、今度の先輩はものすごく普通そうだ。この先輩なら話を聞いてくれるかもしれない。


「11月2日、とうとう駅伝じゃないですか?」


「そうだねえ」


おいおい、長距離部員だろう? なんで駅伝の日をきいて『そうだねえ』なんて返事がかえってくるんだよ。


「そうなんですよ。それでですね、いまだに駅伝の走順すら決まってないですしそもそも誰が出場するかどうかも決まってない状態じゃないですか」


「そうだねえ」


『そうだねえ』じゃなくて、そうなの! 何でそんなに他人事なんだよ……ったく、去年は一体どうやって決めてたんだかな。


「俺はこのままじゃまずいと思うんですよ。区間ごとに距離が全然違いますから、早めに区間を決めてさっさとそれぞれの練習に入らないといけないと思うんですよ。といってももう遅すぎですけど」


「そうだねえ」


「とりあえず、俺とヤマピョン、スピード練習は全然してませんから、3キロみたいなスピード区間で使われたらまったく手も足も出ないと思うんですよ。ヤマピョン、足は速いけど緊張しいだから1区は無理だと思うんです。だから3区の準エース区間にヤマピョンをおいと久野がベストだと思うんです。俺は4区がいいです」


「そうだねえ」


……。


「ええと、俺の話聞いてます?」


「そうだねえ」


「話聞いてないですよね」


「そうだねえ」


「まじめに聞いてほしいんですけど」


「そうだねえ」


「あなた、馬鹿ですよね」


「死ね」


聞いてるんじゃん! ちゃんと返事しとくれよ!

最後捨て台詞を吐いて、その先輩も去っていった。……俺ってそこまで嫌われているんだろうか?

軽くへこんでくる。





その後も先輩を見つけては話しかけてみたんだけど、軽くあしらわれるか、逃げ出されるかでまったく相手してくれなかった。何でこんなに避けられなきゃならないんだろう?


「あれ、ヤス? どうかしたの?」


……この声はキビ先輩か。

振り返ってみると、ゴーヤ先輩とキビ先輩の2人が並んでた。2人そろって俺が作った焼きおにぎり弁当をほおばっている。立ち食いはみっともないですよー、とどうでもいい事を思ってしまう。


「いやあ、長距離の先輩に声かけてるんですけど、だーれも俺の話聞いてくんなくって」


「あははー、ヤス、嫌われ者なんだねー」


はうっ。キビ先輩の無邪気な一言にグサッと来た。どんなに笑顔でもそんないわれたらちょっとへこむぞ。


「しかしヤス、何で突然そんな事をはじめたんだ?」


「そろそろ駅伝じゃないですか。自分が走るためにも先輩たちを説得して回らなきゃどうにもならんのです、出場するメンバーも走順も全部先輩が決めてるんだから」


どれだけ強かろうが、上の命令には従わねばならない……厳しい世の中だなあ。


「ヤス、ヤスは先輩たちと仲直りでもしたいのか?」


「いいえ? 自分が駅伝に出られればそれでいいですよ?」


頑張ってきた成果をサツキ、ユッチ、アオちゃん……そしてなによりもポンポコさんに見てもらいたいというだけ。先輩たちなんぞ今はどうでもいい。


「それならヤス、そんなばかばかしいことに時間をとらなくてもいいぞ」


「……なんでです?」


「すぐにわかる」


……なんやろなあ?












「ええ、来週日曜日にある駅伝ですが、3区ヤマピョン、4区ヤスは決定しましたので、よろしく」


先輩たちを差し置いて、1足跳びにウララ先生に直談判してみたら、あっけないほど簡単に物事が決まっていった。

…………権力の力って恐ろしいとです。









今日の交換日記

---


10月27日 やす


どーも、ヤスでやんす。


今日はとってもしんどかったっす。先輩たち1人1人に説得に回ったんだけど、誰1人俺の話を聞いちゃくれませんでした。

嫌われてると思ったけど、まさかここまでとは思わなかったなあ。とりあえず駅伝に出場できるようになってよかったです。


ユッチへ

佐津姫ちゃん← 五月ちゃん

安     ← 康

立っても  ← 経っても

姉放れした ← 妹離れした

創造    ← 想像

居間    ← 今

大戦中   ← 対戦中

神化    ← 進化

朝鮮    ← 挑戦

幹事    ← 漢字

描こう   ← 書こう

想えば   ← 思えば


だぞ。特にサツキの名前を間違えたのは許せん! 今度成敗してやるから覚悟しとけ! 

これだけ誤字が多いと、ひらがなばっかりの方が読みやすかったなあ……適当に漢字使えばいいってもんじゃないんだぞ。漢字の勉強がんばれー。

それでわ。でわでわ。

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カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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