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245話:ため息をつきましょう

10月26日日曜日。現在、今日の夕飯を作ってる途中。

インターネットでおいしそうなメニューを公開してるレシピを見てて、作ってみようと思ったんだけど……あああ、やっちまったなあ……。

はぁ……。


「ヤス兄、ため息ついてどうしたの?」


「牛すじ肉を煮込んでトロットロにしようとしたんだけど、途中でめんどくなってアク抜きを適当にしたんだよ、そしたら何か少し牛くささが残ってしまった……におう」


「そんなににおう?」


「サツキもかいでみたらきっと分かる」


「んー……ちょっとにおうね」


「だろ? アク抜き適当にやらなきゃよかった……はぁ……」


もうこのメニューは居間でゴロゴロしてるケンに全部食べさせようか。

それはちょっともったいない気がする、それなりにおいしいレベルだし。でもやっぱり、手抜きしちゃいかんなあ……はぁ……。


「ヤス兄、ため息をつくと幸せが逃げるって言うよ。ため息ついちゃ駄目だよ」


「落ち込んでるときくらいため息つかせてくださいな」


「……ヤス兄、ヤス兄は今幸せじゃないの?」


「何言ってんだ? サツキがいて、父さん、母さんがいて、馬鹿な悪友がいて、これ以上の幸せは無いだろうが」


他の人が俺の事をどう言おうと、俺は幸せ。逆に周りから見てどんなに幸せそうに見えても自分自身で不幸だと思ってる人は不幸だと思うぞ。


「なら、その幸せが逃げちゃわないように、ため息つくのをやめようよ」


「ため息つくと、そんなに幸せが逃げてくんかな?」


「そうじゃないの? 私たちのクラス、数学の授業で、ある先生に1時間ずっとその話をされたよ」


……その先生、すげえな。授業をせずにそんな事を延々と話してたのか。


「俺はそんな風には思わないんだけどな、1回ため息つくと気が楽になるし……今から夕飯だし、そんときにケンにも聞いてみよか」


「うんうん、了解」


それじゃこの牛すじ肉の煮込みを持っていきますか。













『いただきます!』


サツキとケンと俺の3人での食事。最近はケンがこの食卓に座ってても全然違和感がない。


「ん? ヤス、今日の料理は失敗か?」


……こう言われた時、食事代を請求してやろうかという考えが浮かぶ。


「ま、ヤスの料理はちょっと失敗しててもうまいけどな」


そしてこう言われて、まあいっかと許してしまう自分がいる。甘いなあ俺……はぁ。


「あ、またヤス兄ため息ついてる! ため息ついちゃ駄目って言ったでしょ」


だからため息ぐらいつかせてくれよ。家の中でまでため息つかないようにって気を使いたくない。


「ねえねえケンちゃん、『ため息つくと幸せが逃げる』ってほんとなのかな?」


「ん? どうなんだろな? 俺は全然違うと思うけど……多分、世間一般的には『ため息つくと幸せが逃げる』って、自分の幸せが逃げてくみたいなイメージじゃん?」


「多分そんな感じだと思うぞ」


「でもさ、ため息ってつくと気が楽になるじゃん」


うん、俺はため息つくと気持ちが楽になる。今日みたいに失敗した時は1回ため息を盛大について気持ちを切り替えてる。


「つらい気分が逃げてくって事は、ついた本人は幸せになるって事じゃね?」


「……って事は『ため息つくと幸せが逃げる』って言うのは迷信なのかな」


むしろ、『ため息つくと幸せになれる』って言い直していいんじゃないか。


「いやいや、迷信だとは思わんぞ。俺はため息つくと幸せが逃げてくのは自分じゃなくてそれを見た周りの人なんじゃないかって思う。例えばさ、朝学校で会った時に、いきなり友達にため息つかれたとするじゃん。なんかブルーな気持ちにならね?」


そんなにため息をつきまくる友達が周りにいないからよく分からんな……想像してみよ。


「普段元気な人がため息ついてたら『どうしたんだろ』って心配になるかもしれんけど……確かにケンの言う通り毎日会う度にため息つかれたら、ちょっとうざいかも」


「毎日ため息ついてる人、私のクラスにいるよ。30分に1回くらいため息ついてる」


そりゃ多いな……だから数学の先生、1時間まるまる『ため息つくな!』って説教したのかな。


「ものすごいたくさんため息ついてるって人は、ほんとに1日1日がしんどいのかもしれんから、そう言う人に『ため息つくな!』って怒ると積もり積もった心のうっぷんが晴らせなくなるかもしれんから、一概に『絶対にため息つくな!』って怒るのはまずい気もするけど……出来る限り人前でため息はつかん方がいいよな」


なるほど。


「分かった。ため息つくのはサツキの前だけにする」


「ヤス兄、何で私の前だけはつくの!?」


「家族だから。家族の前では素の自分をさらけ出したいじゃん?」


「……毎日はつかないでね」


ラジャ。

さて、食事を再開するか……あれ?


「牛すじ肉の煮込み、誰が全部食べた?」


まだ俺、全然食べてない。


「あ、私とケンちゃんでぺろり。ヤス兄、箸置いてるから食べないと思ってた」


そんなわけないやん!

……食事は戦争やな、食事中に話してても箸は休めないようにしよ。しかし、いくら失敗したって言っても、ちょっとくらい食べたかった。

はぁ……心の中で盛大にため息。





今日の交換日記

---

10月26日 ゆっち


やほほーい、ユッチだよお。


まえにヤスが「ひらがなばっかでよみにくい」なんてボクのことばかにしたから、今日はこっからかんじでかいてやるう!


佐津姫ちゃん、安はいつまで立ってもシスコンだよお。姉放れした安なんて創造できないよお。だって安だもん。


あ、ポケモンだけど、居間かすみと大戦中! ヤスはカメール(LV16)に神化したよお! 全然スターミーにかてないい……もうちょっとつよくさせてから朝鮮しないとだめかなあ……。


どうだあ! ボクだって幹事で描こうと想えばできるんだぞお! えっへん!


それじゃ、まったねえ!


こんばんは、ルーバランです。


ため息はストレス発散だったりします。

ため息ついてる人、うざいと思っても生暖かい目で見守ってください。(ため息をよくつく私です)


ユッチの交換日記の誤字は仕様です。

読みづらかったらごめんなさい。


それでは今後ともよろしくです。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
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