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24話:正式入部

土日を過ぎて、今日は4月21日月曜日、部活の正式入部が決まる日だ。


土曜日は居心地が悪かった。ケンが遊びに来て、ひたすら俺のこの前の話をサツキに話そうとした。

どうやら、本当に話す気はないようなのだが、ケンに完全に弱みを握られてしまった。

あの話は全部俺が家族にばれないようにこっそりとおこなった事だ。

家族にばれれば何言われるか分からん。両親は日曜日以外は家にいないから何とかなったが、サツキにばれないようにするにはほんとに苦労した。


今となってはただの思い出だ……



「さて、今日は自分たちの入る部活を決定する日です。みなさんはもう決めたかな?」


帰りのホームルームで、ウララ先生が確認をとっている。


「じゃあ、今から入部届けのプリントを渡すので、それを各部の部長に渡して下さいね、それを渡した時点で正式に入部した事になるから」


プリントが配られる。陸上部、1年3組近藤康明っと。よし、書いた。


「今日部活が無い所もあると思うけど、これからの初めての部活の時に渡してくれれば大丈夫。……後、今週末には新入生の集団宿泊研修があるから、忘れないようにしておいて。……以上で終わります」


「きりーつ、れい」


『さよーなら!』


俺は号令係、兼クラス委員。毎日号令してる。

最初は渋々だったが、もう慣れた。人間とは慣れる生き物だ。とは誰かが言っていた気がするが、誰だったかな?


俺は陸上部にケンと行く。ついでにアオちゃんも一緒だ。

マルちゃんも陸上部に入るらしいけど、一緒にはいない。マルちゃんは俺のこの前の豹変っぷりにびくついてるのか、完全に俺を避けるようになってしまった。

アオちゃんは俺の豹変が見られなくて残念ですと、馬鹿な事を言っていた。


自分のクラスからは計4人が陸上部に入る事になったのか……。









「新入生のみなさん、陸上部に入部してくれてありがとう。知ってる人も多いけど、私が顧問のウララです。」


先ほど、さよーならって言ったけど、ウララ先生にまた会ってる。

今は陸上部の練習前の集合だ。ウララ先生が挨拶してる。

ってか、自分の名前すら言わなくなったな。あだ名しか紹介してない。

そのうち本名が忘れられるんじゃないか?


……新入生は全部で10人か。男子が7人、女子が3人。

今、2年生が9人、3年生が10人いるから、大体例年通りなのだろう。


「今日から部活が本格的に始まりますが、陸上部のモットーは『ノビノビと楽しく明るくたくましく』です。きつい練習も当然ありますが、そんなときもたくましく頑張って、楽しく明るく声を掛け合っていきましょう」


5・7・5になっているのは覚えやすいようにわざとしてるんだろうな。

まあ、どうでもいいか。


「今日、練習後に歓迎会やりますから、自己紹介はその時にしましょう。」


先生公認の歓迎会か……自己紹介をまたしなきゃいけないのか。めんどい。


「それでは、今日の練習を始めましょう」


その声とともに、短距離と中長距離に別れる。





長距離グループに来た1年は全部で4人だった。


俺、ヤマピョン、マルちゃんにもう一人、初めて見るやつだな。

今まで練習に来た事が無いんじゃないか?今まで来ないで決めてしまって大丈夫なんだろうか?


まあ、そいつは先輩達の中に知り合いがいるらしく、先輩達に混じって話しながらストレッチしてるから、特に問題はないだろう。

俺も本当は長距離のストレッチについて、短距離と違いがあるのかを聞いておきたいのだが、ヤマピョンが何故か先輩と距離を置こうとし、それに俺が付き合わされているので、聞けない。

何でヤマピョンはこんなに先輩に対してびびってるのだろうか?先輩達、一体何をしたんですか?


マルちゃんは俺から距離を置こうとしてるのか、先輩達の方へ行ってしまった。

必然的に、ヤマピョンのお世話は俺がしなきゃいけなくなる。

……人との付き合いは最低限にって決めてたはずなんだがな……


「じゃあ、ヤマピョン。とりあえず、ちゃんとストレッチしておくか」


「……う、うん……」


ヤマピョンはぼそぼそとしゃべってても、怒鳴ってもビビる。平坦な調子でおだやかにしゃべらないと、びくつく。

単語でしか話さないから、何を言いたいのか、理解に苦しむ場合が多い。


「…………」


「…………」


お互いに体が硬い。ヤマピョンがつい息を止めて踏ん張ろうとしてしまってるが、それでは逆効果だ。


「前にも行ったと思うけど、呼吸はゆっくりとする事。息を止めるのは効果が薄い」


「……ご、ごめん……」


ごめんって言うなって言うと、またごめんと謝るから、謝られてももう反応しない事に決めた。

だが、このまま、放っておくと、怒っちゃったのかとまたびくつくらしい……しょうがないから適当に話を振る事にする。


「それにしても2回参加したけど、2回とも外回り回るだけだったよな。他の練習ってしないんかな?」


「……え、と……」


何か言おうとしているのは分かるんだが、気が長い方ではないぞ。いや、最近はこいつのおかげで気が長くなった気がする……。


「……い、一緒……たくさん……ざ、残念……」


……難しい……、適当に単語をつなぎ合わせてみる。いつも一緒の練習ばっかりたくさんしているから残念だ。と言いたいのだろうか?

やっぱり、他の練習もしたいって思ってんのかな?


「おーい、そっちの2人!今日の練習内容発表するから、こっちに来い!」


「……はい……」


「…………」


俺とヤマピョンは呼ばれて、全員の所に集まった。


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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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