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238話:タコさんウインナー

いつもより大勢での夕食。

食事って友達やら家族やらとたくさんで食べるとやっぱり楽しいっすよね。






夕飯も終わって、いよいよポンポコさんに料理を教える事になった。

今から作るとなると、やっぱり明日のお弁当を作るのがいいよな。

ユッチと俺の間にポンポコさんが立つ。


「まずはボクがお弁当を作るときの基本を教えます!」


「うむ、ユッチ先生、それとヤス先生。よろしく頼む」


「……えへへえ」


なんだユッチ、突然ニヤニヤ笑い始めて。

ちょっと気持ち悪いぞ。


「先生って言われるのって気持ちいいよねえ。ボク、将来先生になろうかなあ」


ユッチが先生なんかになったら……意外と似合うか?

生徒と一緒にキャイキャイ騒いでそうな先生だな。


「じゃあねえ、ポンポコ、お弁当を作る時に一番考えることってなんだと思う?」


「そりゃあ弁当と言えばうまい、やすい、はやいの3原則だろ」


「違うう! ヤスには聞いてないい!」


あれ? 簡単に安くおいしく作ることこそ弁当の極意だと思うんだが。


「いい、耳にタコができるまで言うけど、料理は愛情と真心なんだよ。やすい、はやいなんてのは2の次なんだあ」


愛情と真心があれば、猛勉強してうまくなるからそう言われるだけなんだと思う俺は嫌な人間だよなあ。

……過去にいくらサツキが作ったものでも、食えなかった料理があったもんなあ。サツキにも内緒でこそっと庭に埋めたのは思い出だ。


「お弁当の基本は『色』!」


……色?


「どんな料理でも『色』はとっても大事なんだけど、お弁当はもっと大事なんだあ。だってお弁当ってどうしてもさめちゃうでしょ? いつもの料理なら出来立てほかほかのいいにおいや、あつあつの食感があるからちょっとくらいいろどりが乏しくても食欲がわくんだけど、お弁当はさめちゃってるもんね。いいにおいも出来立ての料理に比べるとなくなっちゃってるから、ボク、お弁当を作る時はいつもどうしたらおいしく見えるかなって考えるんだあ」


……ふむ、なるほど。


「いろどりを考えると言うんだったら……肉そぼろ、卵そぼろ、インゲンを使って3色ご飯にすると簡単だぞ」


「おおお? ……ねえ、何でヤスは簡単なものばっかり考えるんだあ?」


「朝は時間が無い」


朝は毎日が戦争だ。ラジオ体操を始めてからまさに戦争だ。


「ヤス、そんなに朝、時間が無いかなあ? ……1時間あれば作れるよお?」


「サツキと父さん母さんを起こして、洗濯して朝ご飯を作りながらお弁当を作る、合間を見てゴミを出して、晴れてたら時々布団を干して。朝は忙しい。まさにてんてこ舞いなのだ」


「はああ……ヤスってほんとに専業主夫なんだねえ」


「うむ、ヤスはまさに主夫の鏡だな」


……俺、ほんとは高校生なんだけど。しみじみと主夫って言われると、俺って一体なんなんだろうと思ってしまう。


「でもねポンポコ、時間が無くてもちょっと工夫すればすごくいろどり鮮やかなお弁当になるんだあ! 赤色が無いなあと思ったら、ミニトマトを1個ちょこんと入れるとすごく見栄えが良くなるんだあ」


「ミニトマトは旬が過ぎるといきなり高くなるから我が家の食費を握っている身としては年がら年中使えないのが欠点だよな」


うちでは夏休みの間だけ使ってた。


「緑色が足りないなあと思ったら、キュウリを入れるだけで何となくきれいになるんだよお」


「キュウリは生野菜だから夏場には入れちゃダメだぞ。おなか壊すぞ」


一度おなかを壊して一日中トイレにこもりっきりだったことがあるなあ。

授業が始まってもずっとトイレに入りっぱなし。


「黄色が足りないなあと思ったら、卵焼きを入れればいいの」


「毎日卵焼きを入れてると怒るんだよ。たまには別の物が食べたいって」


簡単だから毎日でも使いたいのに。高級な卵を使っても、そんなに高くなく使える財布にも優しい物価の優等生。値上がりしてても物価の優等生には変わりない。


「………………………………」


「あれ? ユッチってば突然黙ってどしたの?」


「ヤスう! 何でボクの言うことイチイチ否定するんだあ!」


……否定なんてしてたっけ?


「いい!? 今日はボクが『先生』なの! ヤスは『生徒』なの! ボクの言う事聞いてよ!」


「俺、生徒なの? 確か俺も先生だった気がするんだけど」


「いいの! たまにはボクが先生になってもいいでしょ! ボクも先生になりたいんだあ! 尊敬されたいんだあ!」


……何かいろいろごめんユッチ。


「それじゃあね、ポンポコ。今日は料理をかわいらしく見せるタコさんウインナーに挑戦!」


「……うむ、分かった」


タコさんウインナーかあ。ってかポンポコさん、そんなに緊張しなくてもそこまで難しくないから。


「まずは大きすぎず、小さすぎずのちょうどいい大きさのウインナーを1個取り出します!」


「……うむ、こ、こうか?」


……ポンポコさん、袋破ってウインナー取り出しただけっすよ?


「そして、ウインナーの下半分に切れ目を入れます」


「……ふ、ふむ……こ、こうだな!」


「ポンポコさん! ウインナーはまな板の上に置いて! 手に持ってやらないで!」


……めっちゃこええ。危うくリストカットする感じに見えてしまった。


「こ、こうだな……ふん!」


「包丁振り下ろすな! 左手は猫の手! 目を逸らさないで!」


こ、こわすぎ……台所にいるのが嫌だ。ポンポコさんと料理をしてるとスプラッター映画になりそうだ。


「うん、切れ込み入れたねえ。そしたら後はフライパンでちゃちゃっと炒めるだけで、切れ込みの部分が丸まってタコさんらしくなるんだよお」


……、ユッチ、ポンポコさんから目を離すなよ。

フライパンで炒めるだけでもなにをしでかすか分からない……!











どうにかこうにかタコさんウインナーは出来上がりました。

その後、まんまるサッカーボールおにぎりと、スクランブルエッグ、ほうれん草のゴマ和えを作って何とか完成……つ、つかれた。

お弁当作りがこんなに疲れるとは思わなかったっすよ。

自分で話を書きながら、いつまで料理をしてるんだと思いつつあります、こんばんは、ルーバランです。


この話、始めて20話くらいで思いましたけど、タイトル間違えてますよね。作者本人がタスキじゃねえなあと思ってしまってます。


今さら変えようが無いので、気長におつきあいいただけたらと思ってます。

それでは今後ともよろしくお願いします。

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カカの天下
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